レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年11月17日
- 登録日時
- 2019/02/24 22:55
- 更新日時
- 2019/03/27 17:45
- 管理番号
- 名古屋市熱-2018-006
- 質問
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解決
東海道の熱田宮の渡し以西は七里の渡しの船路のはずだが、明治期には陸路の東海道があったとされる。明治の東海道が定められた経緯と位置を知りたい。
- 回答
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明治の東海道は、明治5年の太政官布告で東海道の脇往還だった佐屋路に代わって定められた道のことです。
佐屋川の川底上昇で佐屋湊が機能を失い、明治元年の明治天皇東幸の際に、お召船白鳥丸が佐屋川を遡れず、3,5㎞南の焼田港への着船を余儀なくされたのがきっかけです。
位置は、熱田「宮の渡し」の西、大瀬子橋から南西へ行き、千年からは西へ行き、蟹江川、日光川を渡り、弥富の前ヶ須の木曽川東岸「ふたつやの渡し」まで概ねほぼ真っ直ぐに延びる道です。
- 回答プロセス
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1『なごやの古道・街道を歩く』p.188に佐屋路廃止と明治の東海道指定の経緯が記されているのを発見しました。明治5年の太政官布告の全文や、簡単な地図もありました。(資料1)
2『明治二十一年名古屋近傍図』に、現東海通部分に「東海道」と記され、太く強調された部分を発見しました。1と照合して、前ヶ須まで一致することを確認しました。(資料2)
3 現在の住宅地図と照合すると、弥富市の日之出小学校敷地内以外はほぼ残っていることがわかりました。(資料3)
【現在の住宅地図と照合した詳細】
①熱田「宮の渡」から堀川東岸を北西に遡り、現大瀬子橋南にあった「大瀬子の渡」で堀川を横断。対岸から真っ直ぐ南西に行き、八幡神社の南角を右折。現千年交差点の20m北に出たら左折して東海通の千年交差点を右折。
②千年から現東海通を西に行き、日之出橋を渡って左折。新川西岸を300m南へ行き、天照皇太神宮の南を右折。
③福田新田、西福田新田の南端の道を西に行き、蟹江川の河合小橋から日光大橋、善太橋を渡って左折。弥富市に入る。
④善太川西岸を南へ行き、道なりに直角に西に曲ったら、すぐに北側から逸れていく細い旧道に入る。
⑤旧道を西へ進み、西尾張中央道を横断して、突き当りを左に折れ、子宝橋を南へ渡る。交差点を真っ直ぐ西南西に旧道に入る。秋葉社前を通り、すじかい橋を渡って少し広い新道に出る。
⑥新道を西へ。弥勒寺前を過ぎ、こどもの国北交差点を右折。北西に進んで、六条津島神社の左側を行き、タバコ屋を過ぎてすぐの2本目を左に斜めに折れて筏川沿いに西へ行く。
⑦そのまま進んで旧弥富中学校の校門跡から、おみよし松を過ぎると、日の出小学校の敷地に入って道が消滅する。
⑧西に回り、日の出小学校正門前から真っ直ぐ西へ行く。弥富市歴史民俗資料館前の交差点を突っ切って50m程行き、二股に分かれた細い方の道に入る。
⑧細い道を登って下った突き当りを左折し、20メートル程南へ行くと、現海部幹線水路を渡る橋の手前の右側に終点「ふたつやの渡」の石碑がある。
⑩「明治の東海道」は、当初、ここから船路一里で桑名へ行ったとされるが、既に明治二十一年の地図には、対岸への渡しと、長島を経由して桑名に続く陸路が描かれている。
4 他の地図を確認すると、熱田区内で明治後期に大瀬子橋架橋による大瀬子の渡廃止や、千年交差点付近の道の付替えがあったことが判明しました。『熱田駅・熱田運河・常滑線の今昔』p.83明治42年3月架橋の大瀬古橋の写真やp.68架橋前後の地図が参考になりました。(資料4,5)
5 「歴史ガイドマップ 弥富市の文化財」には、東海道の位置は明示されていませんでした。(資料6)
6 明治元年の東幸の詳細は、『愛知県聖蹟誌』第1巻p.23に記述があります。(資料7)
7 明治元年明治天皇東幸時に尾張藩が用意し、佐屋川を遡れなかった白鳥丸の絵が2枚ある。名古屋市図書館デジタルアーカイブなごやコレクションを調べました。名古屋市史編纂資料『尾州軍船及御召船図』(市20-184)に白鳥丸の絵が2枚収録されていることを確認しました。(資料8)
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本 (291 9版)
- 交通史.事情 (682 9版)
- 参考資料
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池田誠一 著 , 池田, 誠一, 1943-. なごやの古道・街道を歩く. 風媒社, 2007. (爽books)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000008493965-00 , ISBN 9784833101271 (資料1) -
明治二十一年名古屋近傍図. 古地図史料出版.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I026083768-00 (資料2) -
ゼンリン/[編] , ゼンリン. ゼンリン住宅地図 : 愛知県 [2017年−100]. ゼンリン, 2017.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I082905604-00 (弥富市の住宅地図 資料3) -
今枝新三郎 製圖 , 今枝, 新三郎 , 愛知県. 名古屋熱田實測圖 愛知縣廳測量 明治33年8月大増補第4版. 若山文二郎, 1900.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000603099-00 (資料4) -
野村真平/著 , 野村‖眞平. 熱田駅・熱田運河・常滑線の今昔 : 地図と写真から見た. [野村真平], 2013.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I054427049-00 (資料5) -
弥富市生涯学習課文化財グループ(弥富市歴史民俗資料館) , 弥富市生涯学習課文化財グループ(弥富市歴史民俗資料館). 文化財ガイドマップ 弥富市の文化財. 弥富市.
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000025-I003868475-00 (資料6) -
愛知県 編 , 愛知県. 愛知県聖蹟誌 巻1. 愛知県, 1919.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001512930-00 (資料7) -
名古屋市図書館デジタルアーカイブなごやコレクション 名古屋市史編纂資料『尾州軍船及御召船図』(市20-184)
http://e-library2.gprime.jp/lib_city_nagoya/da/detail?tilcod=0000000006-00002081 (資料8) - 名古屋市公式公式ウェブサイト「ミナトガタリ第10弾 なごや古道・街角案内人 池田誠一 第9章 国道 東海道(2016年9月26日)」http://www.city.nagoya.jp/minato/page/0000083528.html(2019年2月24日最終確認)
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レファレンス協同データベース「明治天皇が明治元年に名古屋に来たとき、行ったところはどこか。また、そのとき白鳥丸(船)に乗っていると思うが、白鳥丸の絵か写真はないか。」(名古屋市鶴舞中央図書館)
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000006-I000176199-00
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池田誠一 著 , 池田, 誠一, 1943-. なごやの古道・街道を歩く. 風媒社, 2007. (爽books)
- キーワード
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- 明治の東海道
- 宮の渡
- 前ケ須
- ふたつやの渡
- 東海通
- 照会先
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- 弥富市歴史民俗資料館
- 愛西市佐屋郷土資料室(文化会館内)
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000252104