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レファレンス事例詳細(Detail of reference example)

提供館
(Library)
山梨県立図書館 (2110005)管理番号
(Control number)
9000027414
事例作成日
(Creation date)
2017年08月25日登録日時
(Registration date)
2019年05月09日 08時29分更新日時
(Last update)
2019年05月19日 16時37分
質問
(Question)
評論家の勝本清一郎が、戦中に新聞雑誌への執筆を禁止された事件について詳しく知りたい。
回答
(Answer)
勝本清一郎(M32-S42)は、評論家で日本プロレタリア作家同盟に加入していた。昭和10年11月、日本ペンクラブ創立に参加し常任理事を務めた。
昭和13年春、雑誌「世界文化」の人民戦線事件との関係で京都検事局に召喚された。大岩誠という法律学者が「世界文化」の末端に連なっており、過去のことを調べられた際に、パリ留学時にソ連に入ろうとしたのを勝本が止めたことについて、勝本の指令でしかたなくソ連へ行った、と逆に証言したのが原因とされる。取調べ期間は4月25日~6月15日。その後、ペンクラブの常任理事をやめること、新聞、雑誌への寄稿をやめることを強要され、敗戦まで発表できなくなった。下記資料に記述あり。
回答プロセス
(Answering process)
1. 利用者が読んだという『近代文学ノート1』を確認。
 p.190 1938年4月下旬から6月上旬まで、京都の検事局で思想検事と特高の取調べを受け、日本ペン倶楽部の常任理事をやめさせられ、一切の新聞雑誌への執筆を禁止されたとある。
 p.359 山田博光の解説で、勝本清一郎が京都の雑誌「世界文化」の人民戦線事件との関係で取調べを受けた経緯が書いてあった。「世界文化」の事件については和田洋一『私の昭和史-「世界文化」のころ-』に詳しいらしいが、当館に所蔵がなく、確認できなかった。

2. 他の著書を確認。
『近代文学ノート4』
 p.460 本多秋五による解説で、勝本清一郎は「世界文化」事件のとばっちりで38年春に京都検事局から召喚され、4月25日~6月15日まで身柄不拘束のまま取調べを受けたとある。「世界文化」の末端に連なっていた大岩誠という法律学者が、過去のことを調べられた際、パリ留学時にソ連に入ろうとしたのを勝本が止めたことについて、勝本の指令でソ連へ行った、と逆に証言したのが原因としている。

3. 前記2.の出典として挙げられていた「京都の宿」を調査。
 (1)自館システムで確認→ヒットせず。
 (2)NDLサーチで検索。→「朝日ジャーナル」7(12)に掲載されているらしい。
 (3)当館所蔵の雑誌「朝日ジャーナル」を確認。
  → 勝本清一郎の連載「こころの遠近」の第二回目として「京都の宿」が掲載されている。人民戦線事件で取調べを受けた時に宿泊した宿についてのエッセイであり、呼び出しを受けたときや、取調べの様子についても書かれている。また、自分が召喚された理由について、『灰色のユーモア』(和田洋一)を読んで初めて知った、とあったが、本書は当館に所蔵なし。

4. 前記1.に出てきた『私の昭和史』、3.に出てきた『灰色のユーモア』を探す。
  →両資料とも国立国会図書館及び他の県立図書館等で所蔵あり。『灰色のユーモア』はNDLデジタル送信で閲覧可。

5. 文学事典類を確認 → 勝本清一郎の項目に、事件についての簡単な記述あり。

6. 人民戦線、世界文化、言論統制等の資料を確認
 → 勝本清一郎についての記述は見つけられなかった。

【後日確認】
『灰色のユーモア 私の昭和史』(和田 洋一/著 人文書院 2018.2)が出版され、当館に受入されたので、内容を確認。
人民戦線事件、雑誌「世界文化」周辺が検挙された経緯などが詳しく書かれていたが、勝本清一郎については直接触れられてはいなかった。
事前調査事項
(Preliminary research)
『近代文学ノート1』(勝本清一郎/著)p.190を見て質問。
NDC
文学  (900 9版)
文学史.文学思想史  (902 9版)
日本文学  (910 9版)
参考資料
(Reference materials)
勝本清一郎 [著] , 勝本, 清一郎, 1899-1967. 近代文学ノート 1. みすず書房, 1979.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001419533-00  (p.190、359)
勝本清一郎 [著] , 勝本, 清一郎, 1899-1967. 近代文学ノート 4. みすず書房, 1980.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001481447-00  (p.460)
勝本清一郎. こころの遠近ー第二回・京都の宿. 朝日新聞社出版局, 1965.3.21. 朝日ジャーナル 7(12) (pp.99-101)
磯田光一 [ほか]編 , 磯田, 光一, 1931-1987. 新潮日本文学辞典. 新潮社, 1988.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001896667-00 , ISBN 4107302083 (p.270)
日本近代文学館/編 , 日本近代文学館. 日本近代文学大事典 第1巻. 講談社, 1977.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I000103237-00  (pp.388-390)
キーワード
(Keywords)
勝本清一郎
世界文化
人民戦線
言論統制
プロレタリア文学
照会先
(Institution or person inquired for advice)
寄与者
(Contributor)
備考
(Notes)
調査種別
(Type of search)
事実調査
内容種別
(Type of subject)
人物
質問者区分
(Category of questioner)
社会人
登録番号
(Registration number)
1000255847解決/未解決
(Resolved / Unresolved)
解決
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