レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2005/09/21
- 登録日時
- 2006/03/31 02:11
- 更新日時
- 2009/03/17 15:55
- 管理番号
- 埼久-2005-080
- 質問
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解決
雑誌「白樺」に掲載された、柳宗悦が〈民芸〉について書いた論文を探している。
- 回答
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〈民芸〉の概念は「白樺」廃刊後に誕生したため、〈民芸〉について柳宗悦が書いた論文で「白樺」に掲載されたものは存在しないと考えられる。
- 回答プロセス
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雑誌「白樺」複製版別冊『白樺総目次』p138-141に柳宗悦が白樺に執筆した文章の一覧あり。その中には該当すると思われる論文なし。
『現代日本文芸総覧 補巻』『白樺総目次』によれば「白樺」が刊行されていた時期は明治43年4月~大正12年8月であることが判明する。
『日本民俗大辞典 下』、『日本美術史年表』p192、『民芸の発見』p23・69・71・80、『柳宗悦と初期民藝運動』p25・27、『柳宗悦と民藝運動』p13、等によると柳宗悦が〈民芸〉という言葉(概念)を作ったのは大正14年12月であり、「日本民芸美術館設立趣意書」(大正15年4月)で初めて発表されたらしい。
このことから、「白樺」が刊行されていた時期にはまだ〈民芸〉という言葉(概念)は誕生しておらず、従って厳密な意味での「〈民芸〉についての論文」は存在しないと考えられる。
〈民芸〉の語の成り立ちについては『民芸の発見』や『柳宗悦と初期民藝運動』等に詳しい記述があり、柳宗悦が〈民芸〉という言葉(概念)を発見する萌芽となったいくつかの論文について解説がある。
「白樺」掲載 柳宗悦の論文(「『白樺」総目次』で論文として分類されているもの)は以下の通り。
1 「メチニコフの科学的人生観」 2巻8・9号
2 「哲学におけるテムペラメントに就て」 4巻12号
3 「ヰリアムブレーク」 5巻4号
4 「肯定の二詩人」 5巻5号
5 「哲学的至上要求としての実在」 6巻2・3号
6 「宗教的無限」 7巻1号
7 「宗教的自由」 7巻2号
8 「宗教的無」 8巻3号
9 「宗教的究竟語」 8巻4号
10 「「規範経験」の字義に就て」 8巻7号
11 「神秘道への弁明」 8巻9・10号
12 「無為に就いて」 9巻4号
13 「「中」に就て」 9巻7号
14 「種々なる宗教的否定」 9巻9~12号
15 「即如の種々なる理解道」 10巻4号
16 「奇蹟の宗教的意味」 11巻3・4号
17 「宗教的哲学に於ける方法論」 12巻4号
18 「ゴシックの芸術」 12巻11号
19 「李朝陶磁器の特質」 13巻9号
20 「神と吾々との関係について」 14巻4号
21 「埋もれたる一神秘詩に就いて」 14巻6号
- 事前調査事項
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調査済事項:柳宗悦が「白樺」に論文をいくつか発表していたことは他の資料で確認済み。「民芸」についての論文が存在するかは不明。
「白樺(復刻版)第1巻」には該当する論文なし(第8号は未確認)。
- NDC
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- 工芸 (750 9版)
- 特種目録 (027 9版)
- 参考資料
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- 『白樺 複製版』
- 『白樺 複製版 別冊総目次』
- 『現代日本文芸総覧 補巻 改訂増補』(明治文献資料刊行会 1992)
- 『日本民俗大辞典 下』(吉川弘文館 2000)
- 『日本美術史年表』(美術出版社 2002)
- 『民芸の発見』(角川書店 1978)
- 『柳宗悦と初期民藝運動』(玉川大学出版部 1991)
- 『柳宗悦と民藝運動』(思文閣出版 2005)
- キーワード
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- 柳 宗悦(ヤナギ ソウエツ)
- 民芸
- 雑誌記事索引
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000028150