レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/02/13
- 登録日時
- 2020/03/14 00:30
- 更新日時
- 2020/08/19 14:30
- 管理番号
- 千県東-2019-0021
- 質問
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解決
幕末~明治期の俳人である東旭斎が師事した、大江由誓がどのような人物か知りたい。江戸時代の俳人である豊島由誓とは別人か。
- 回答
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大江由誓については、【資料1】『俳家古今墨蹟集』の記述によれば、「名は久蔵、他の号に為誰庵や坎窩等があり、江戸の千住に居住、夏目成美に師事」という人物であったと考えられる。
大江由誓と豊島由誓の関係については、【資料2】『俳諧人名辞典』【資料3】『俳諧大辞典』に掲載されている豊島由誓の説明記事と【資料1】の記述がほぼ同じため、同一人物ではないかと推察される。
- 回答プロセス
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千葉県立図書館で所蔵している俳句関係の辞書・事典で由誓という号を調べたが、次のように【資料2】『俳諧人名辞典』「豊島氏。通称久蔵。久藏・坎窩・為誰庵・凌雨堂などと号した。江戸の人。浅草蔵前の札差夏目成美の店員で、俳諧を成美に修め、後には俳諧専門になり、天保江戸俳壇一方の雄であった。」【資料3】『俳諧大辞典』「俳人。豊嶋氏。通称、久藏。坎窩久藏と号し、後、為誰庵由誓に変えた。(中略)江戸の人。成美の家、井筒屋の番頭で、成美より四十年若い。俳諧を成美に学び、(後略)」、その他『和歌俳諧人名辞書』(中野荘次編 臨川書店 1986)p221、『俳諧人物便覧』(三浦若海著 ゆまに書房 1999)p441等、豊島由誓について書かれている資料しか見つけられなかった。
次にインターネットでGoogleにて大江由誓を検索したところ、大江由誓が序文を書いている資料が二つ見つかり内容を調べてみた。一つは早稲田大学古典籍総合データベースで公開されている『今人明題集 後編 上』(双雀菴氷壺輯 安政3)(https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/bunko31/bunko31_a1323/index.html)で、序文に「大江由誓」という署名は確認できたが、由誓についての説明は見つけられなかった。
もう一つは『俳家古今墨蹟集』という資料で、『村松文庫目録』(金沢市立図書館編 金沢市立図書館1969)(https://www2.lib.kanazawa.ishikawa.jp/kinsei/21muramatsu.pdf)に書誌が収録されており、それが検索にヒットした。日本古典籍総合目録データベースの目録検索にて『俳家古今墨蹟集』の所蔵機関を検索し、電子資料が公開されていないか調べたところ、大阪市立大学で【資料1】が公開されていた。内容を確認したところ、序文に「江 由誓 序」と署名があった。また、この資料は俳人の筆跡や略歴を集めたもので、この中に「由誓」が収録されており、「大江氏初■久臧別号為誰菴又坎窩住干武江千住 成美門人」との記述があった。くずし字かつ画像がやや不鮮明なため判読が不確かな文字もあるが、【資料2】【資料3】等の資料に出てくる豊島由誓の説明と概ね同内容と思われるので、大江由誓と豊島由誓は同一人物ではないかと推察される。
その他、国立国会図書館オンラインや日本古典籍総合目録データベースで「大江由誓」をキーワードで検索したが著作等はヒットしなかった。
(インターネットの最終アクセス:2020年1月27日)
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『俳家古今墨蹟集 1~4』(嘉永5-安政2)181,366コマ 大阪市立大学学術情報総合センタートータルシステム OCU 文庫データベース (http://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/mori/599.pdf)
- 【資料2】『俳諧人名辞典』(高木蒼梧著 巌南堂書店 1976)P517-518
- 【資料3】『俳諧大辞典』(伊地知鉄男[ほか]編 明治書院 1978)P775
- キーワード
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- 由誓(ユウセイ)
- 俳家(ハイカ)
- 俳人(ハイジン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献調査
- 内容種別
- 人物
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000275867