レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年01月09日
- 登録日時
- 2013/01/09 17:06
- 更新日時
- 2013/01/17 13:51
- 管理番号
- 20130109-7
- 質問
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解決
ナサニエル・ホーソンの小説「緋文字:(原題)The scarlet letter」について、これまでの邦訳にどんなものがあるか一覧を調べたい。また本邦最初の翻訳は誰の手によるものか知りたい。
- 回答
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以下に古い刊行のものから順に、判る範囲で今日まで都合14名の訳者によって翻訳されているのが見つかる。また本作品の翻訳の嚆矢は、富永徳磨(蕃江)訳であるとする論文がある。
01.富永 徳磨譯.緋文字.東文館,1903,249p.
02.佐藤 清訳.緋文字.日本基督教興文協会,1917.
佐藤 清訳.緋文字(岩波文庫).岩波書店,1929.
佐藤 清訳.緋文字(岩波文庫).岩波書店,1948,292p.
佐藤 清訳.緋文字(岩波文庫):16版.岩波書店,1950,292p.
佐藤 清訳.緋文字(岩波文庫):改訳.岩波書店,1955,
03.神 芳郎訳.スカーレット・レター.精華堂,1923,349p.
04.馬場 孤蝶訳.緋の文字(世界名作大観1部:英国篇14巻).国民文庫刊行会.1927.
05.福原 麟太郎訳.緋文字(世界文学全集11巻ノ内).新潮社,1929.
福原 麟太郎訳.緋文字.大泉書店,1947,180p.
福原 麟太郎訳.緋文字(世界文学全集ホーソーン,マーク トウェーン集ノ内).河出書房,1950.
福原 麟太郎訳.緋文字(世界文学選書91).三笠書房,1951,172p.
福原 麟太郎訳.緋文字(角川文庫).角川書店,1952,275p.
福原 麟太郎訳.緋文字(角川文庫):7版.角川書店,1954,275p.
福原 麟太郎訳.緋文字(白水社世界名作選).白水社,1954,269p.
福原 麟太郎訳.緋文字(角川文庫クラッシクス):改版.角川書店,1995,343p.
06.村上 至孝訳.緋文字(世界文学叢書39巻).世界文学社,1948,385p.
07.太田 三郎訳.緋文字(河出文庫).河出書房,1956,280p.
08.鈴木 重吉訳.緋文字(新潮文庫).新潮社,1957,269p.
09.町野 靜雄訳註.緋文字(kinseido's books).金星堂,1957,269p.
10.刈田 元司訳.緋文字(旺文社文庫).旺文社,1967,373p.
11.大井 浩二訳.緋文字(世界文学全集32).講談社,1974.
12.工藤 昭雄訳.緋文字(世界の文学:新集,7).中央公論社,1971.
13.小津 次郎訳.緋文字(集英社ギャラリー[世界の文学]:アメリカ).集英社,1989.
14.八木 敏雄訳.完訳緋文字(岩波文庫).岩波書店,1992,472p.
八木 敏雄訳.完訳緋文字(岩波文庫)第19刷:原書第二版.岩波書店,2003,429p.
資料1から8までの記述内容とCiNii Bookを調べて作成。
- 回答プロセス
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◆ 翻訳小説全情報/日外アソシエーツ編を使った調査
・資料1のp.974に、“ホーソン,ナサニエル Hawthorne, Nathaniel”の見出しの中に「緋文字」として、1947年の福原麟太郎訳/大泉書店刊のものを筆頭に6名の訳者による11件の訳本が紹介されている。
・資料2のp.876に、“ホーソン,ナサニエル Hawthorne, Nath'e'niel”の見出しの中に、「完訳緋文字.八木敏雄訳(岩波文庫,1992)」と「緋文字.福原麟太郎訳(角川文庫,改版.1995)」の2冊の文献の紹介がある。
・資料3には、“ホーソーン,ナサニエル”の見出しはあるが「緋文字」は見当たらない。
・資料4には、“ホーソーン,ナサニエル”の見出しの中に、「完訳緋文字.八木敏雄訳(岩波文庫,2003.〈第19刷 原書第二版〉)」とあり注釈に「有名な序文「税関」を加え、待望の新訳で送る完全版。」とある。
・資料5には、“ホーソーン,ナサニエル Hawthorne, Nathaniel”の見出しはあるが「緋文字」はなし、また資料6には、ホーソーンの見出しも見あたらない。
◆ 資料8のp.533-534にかけて5名の訳者による13件の訳本が列記されており、この目録を見る限りでは初出は大正6(1917)年の佐藤清訳の「緋文字」日本基督教興文協会刊であることがうかがわれる。
◆ しかし、CiNii Booksでkw:「緋文字 OR 緋の文字 OR スカーレット・レター」で検索する限りでは、富永徳磨(蕃江)譯の1903年刊のものが最初のようである。
(【CiNii】 http://bit.ly/SjwogG last_access:2013-01-09)
◆ NDL-Searchを使って上記kwで同様な検索をする。
(【NDL】 http://bit.ly/RFqCV4 last_access:2013-01-09)
◆ また資料9のp.967-971には[ホーソーン編]として記述が5ページにわたってあり、特に『明治期ホーソーン翻訳年表』の中に以下の2件の記述がある。
・明治36(1903)年2月 「緋文字」 富永蕃江訳 福音新報(12日~6月4日)〔The Scarlet letter〕
・明治36年11月 「緋文字」 富永蕃江訳 東文館〔The Scarlet letter〕
また同資料のp.968には【参考文献】として以下の論文の紹介がある。
・重久篤太郎「『緋文字』邦訳書目」(「主流」第23号 ホーソン『緋文字』研究特集 昭和三十六年十月、同志社大学英文学会)〔24号に補遺あり〕
◆ また資料10のp.492にはホーソン・ナサニエルの項目として以下の記述が見つけられる。
・1954
名作縮刷版 緋文字(西川満編)
◇「キング」〔復刊〕30(15) 12月号 p.251-266
◆ またCiNii Articlesの検索では、下記の論文がkw:緋文字&翻訳の検索でみつけられる。
・鈴木 進著.THE SCARLET LETTER、日本における最初の翻訳『緋文字』と富永蕃江.湘南国際女子短期大学紀要. 7,2000,p.59-74.
(PDF: http://bit.ly/VdJ8EI last_access:2013-01-09)
◆ また資料12のサイトから、ナサニエル・ホーソーン Nathaniel Hawthorne の翻訳作品集成を見つけることができる。
(http://homepage1.nifty.com/ta/sfh/hawtho.htm last_access:2013-01-09)
- 事前調査事項
- NDC
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- 英米文学 (930 9版)
- 小説.物語 (933 9版)
- 特種目録 (027 9版)
- 参考資料
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- 1.翻訳小説全情報 45/92/日外アソシエーツ編. (《本学所蔵 903//H85//45-92》)
- 2. 〃 93/97/日外アソシエーツ編. (《本学所蔵 903//H85//93-97》)
- 3. 〃 1998-2000/日外アソシエーツ編. (《本学所蔵 903//H85//1998-2000》)
- 4. 〃 2001-2003/日外アソシエーツ編. (《本学所蔵 903//H85//2001-2003》)
- 5. 〃 2004-2006/日外アソシエーツ編. (《本学所蔵 903//H85//2004-2006》)
- 6. 〃 2007-2009/日外アソシエーツ編. (《本学所蔵 903//H85//2007-2009》)
- 7. 〃 作家名総索引 1945-2006 (《本学所蔵 903//H85//索-1945-2006》)
- 8.明治・大正・昭和翻訳文学目録/国立国会図書館編. (《本学所蔵 903.16/》)
- 9.文芸雑誌小説初出総覧 翻訳小説編1945-2010/日外アソシエーツ編. (《本学所蔵 910.26//B89//翻訳小説》)
- 10.図説翻訳文学総合事典/川戸道昭, 榊原貴教編著. (《本学所蔵 910.26//Z8》)
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11.国立国会図書館デジタル化資料:富永 蕃江訳.『緋文字』 .東文館.1903.
(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/874627 last_access:2013-01-09) -
12.Takashi Amemiya氏による翻訳作品集成サイト
(http://homepage1.nifty.com/ta/index.html last_access:2013-01-09)
- キーワード
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- 文豪
- 英米文学
- 翻訳文学
- 翻訳小説
- 名作文学
- 本邦初訳
- 富永蕃江
- 富永徳磨
- ナサニエル・ホーソーン
- Hawthorne, Nathaniel
- ナザニエル・ホーソーン
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 文学
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000126601