レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2017/04/28
- 登録日時
- 2018/03/15 00:30
- 更新日時
- 2018/03/15 13:04
- 管理番号
- 千県中参考-2017-24
- 質問
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解決
2015年3月20日付『日本経済新聞』春秋欄に書かれた「獣で機械で悪魔,それが人間なのだ。戦争直後の随想にそう書き記したのが仏文学者の渡辺一夫である」の出典(渡辺一夫の随想)を探しています。
- 回答
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「獣で機械で悪魔、それが人間なのだ」というフレーズについては、見つかりませんでしたが、【資料1】【資料2】に「三分の一獣で、三分の一機械で、三分の一堕天使のや(よ)うな人間」という記述が見つかりました。
春秋の記事の該当箇所の前に「3分の1は獣。3分の1は機械。3分の1は堕天使。堕天使とは「天使であったが神に反逆して悪魔となったもの」(広辞苑)を指すキリスト教の言葉だが、」とあります。
【資料1】『仙人掌の歌』「自由について」(1949)中、p. 72
【資料2】『渡辺一夫著作集 11 偶感集 中巻』「自由について」(1949)中、p. 47
この件については、目次、索引等を手がかりとする合理的な探索方法が見つからず、回答プロセスにある各資料の本文に目を通す方法で探索を行いましたが、各資料を精読してはありませんので、ご了承ください。
また、回答プロセスの最後に、内容未確認の資料を挙げてありますので、必要に応じてご利用ください。
(インターネット最終アクセス:2017年4月28日)
- 回答プロセス
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(1)「日経テレコン」にて春秋の記事を確認
『日本経済新聞』2015年3月20朝刊1ページ
(2)インターネット上の情報源
「物語のキーワードから文学作品を探す(日本)」(国立国会図書館)
(http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-101124.php)
等を参考に、次のようなウェブサイトを検索しました。
ア 「Webcat Plus」(国立情報学研究所)(http://webcatplus.nii.ac.jp/)
「獣で機械で悪魔」をキーワードに連想検索。上位30件には渡辺一夫の著作がヒットしませんでした。
「獣 機械 渡辺一夫」をキーワードに連想検索。トップに次の資料がヒットするも、検索結果を閲覧しても適合した箇所が特定できず、未所蔵のため内容の確認もできませんでした。
『速歩自源流 : 渡邊一夫追想・遺稿集』(渡邊一夫著 中央公論事業出版 1996)
他の上位30件の資料は『渡辺一夫著作集』と自分史、装幀に関する資料。『渡辺一夫著作集』については(3)で調査しました。
イ 「青空文庫」(http://www.aozora.gr.jp/)
「作家リスト:ワ行」に渡辺一夫なし。
ウ 「Googleブックス」(https://books.google.co.jp/)
「"獣で機械で悪魔"」による検索、未ヒット。
「獣 機械 渡辺一夫」による検索、上位20件に該当記述は見当たりませんでした。
エ 「Amazon.co.jp なか見!検索 本」(Amazon.co.jp)(http://www.amazon.co.jp/s/node=2277880051)
※この検索ページの情報は次のWebページから得たもので、Amazon.co.jpの公式情報ではありません。
「Amazonで、立ち読み=“なか見!検索”ができる本だけを探せるTIPS」(株式会社KADOKAWA)
(http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/080/80810/)
「渡辺一夫」をキーワードに検索、ヒットした次の資料について、「悪魔」「堕天使」をキーワードに「なか見!検索」を行いましたが、該当フレーズはヒットしませんでした。
『人間愛に生きた人びと 横山正松・渡辺一夫・吉野源三郎・丸山眞男・野間宏・若松丈太郎・石垣りん・茨木のり子』(新藤謙著 コールサック社 2014)
『最終講義』(西脇順三郎[ほか著] 実業之日本社 1997)
(3)県立図書館蔵書の調査
ア 『渡辺一夫著作集』(全14巻 筑摩書房 1970-1977)
(参考)「渡辺一夫著作集」(神奈川県立図書館)
(https://www.klnet.pref.kanagawa.jp/denshi/g_works/gw38_watanabe.pdf)
うち、14巻「補遺」(1977)(2100668641)と10巻「偶感集 上巻」(増補版 1977)(9100939943)(内容…A 偶感集(1932 年~1945 年)、B 偶感集(1946 年~1948 年))にあたりました。
14巻巻末に「全巻内容」があり、巻により索引のあることがわかりますが、10巻を対象とする索引の情報は見当たりませんでした。
10巻については、目次から主題が異なると判断した作品を除き、目を通しましたが、該当フレーズは見当たりませんでした。
イ 1945年以降発行でNDC049(雑著)、914.6(近代の評論、エッセイ、随筆)の渡辺一夫の著作
次の資料について、アで調査済の『渡辺一夫著作集 10』と重複している作品(※)、目次から主題が異なると判断した作品を除き、目を通しました。(※『渡辺一夫著作集 10』端書末尾に旧稿を「若干訂正削除した」とあり、同名の作品でも表現が異なっている可能性があります。)
『僕の手帖』(渡辺一夫[著] 講談社 1979 講談社学術文庫)(9100712840)
→「平和に耐えること」(1951)中、p. 89に「戦乱の時には、人間が野獣になり機械にもなる」との記述はあります。
『人間模索』(渡辺一夫[著] 講談社 1978 講談社学術文庫)(9100712831)
→収録されている各作品の執筆年代は見当たりませんが、巻末の解説によると「1953年の1篇と不明の3篇を除いて1946年5月から49年11月」とのことです。「揺れ動く人間」中、p. 17に「人間は、(中略)獣になり機械になり植物になってしまいます」との記述はあります。
【資料1】『仙人掌の歌』
→これを受けて【資料2】『渡辺一夫著作集 11 偶感集 中巻』にあたりました。
当館による内容の調査は以上とさせていただきますが、他に次のような資料を所蔵しています。
<当館>
『亀脚散記』(渡辺一夫著 朝日新聞社 1947)
『ぶるいよん』(渡辺一夫著 白日書院 1948)
『宿命についてなど』(渡辺一夫著 白水社 1950)
『まぼろし雑記』(渡辺一夫著 河出書房 1950)
『白日夢 現代日本のエッセイ』(渡辺一夫著 毎日新聞社 1973)
<県立西部>
『うらなり抄 おへその微笑』(渡辺一夫著 光文社 1955)
『泰平逸民独語』(渡辺一夫著 大修館書店 1961)
<県立東部>
『渡辺一夫敗戦日記』(渡辺一夫著 博文館新社 1995)
- 事前調査事項
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(1)日本経済新聞社に照会
不明との回答を得た。
(2)調査したが見当たらなかった資料
『狂気について』(岩波文庫 1993)
『文学に興味を持つ若い友人へ』(彌生書房 1995)
『ガルガンチュワ物語 1~5後書き』(岩波書店 1991)
→(当館補記)渡辺一夫訳の『ガルガンチュワ物語 ラブレー第一之書』『パンタグリュエル物語 ラブレー第二之書』『パンタグリュエル物語 ラブレー第三之書』『パンタグリュエル物語 ラブレー第四之書』『パンタグリュエル物語 ラブレー第五之書』の「後記」か?
『異国残照』(文藝春秋 1973)
『思想との対話12』(講談社 1968)
- NDC
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- 評論.エッセイ.随筆 (914 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『仙人掌の歌』(渡辺一夫著 中央公論社 1950)(9102520869)
- 【資料2】『渡辺一夫著作集 11 偶感集 中巻』(筑摩書房 1976)(9100939952)
- キーワード
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- 渡辺 一夫(ワタナベ カズオ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000232516