レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/08/31
- 登録日時
- 2022/10/01 00:30
- 更新日時
- 2022/10/01 00:30
- 管理番号
- 6001057882
- 質問
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解決
豊臣秀吉の辞世「つゆとをち つゆときへにし わがみかな なにわの事も ゆめの又ゆめ」には習作があったと聞いた。どんな句だったのか知りたい。載っている資料はないか。
- 回答
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一般に辞世の和歌の習作(草稿)ではないかと言われている句は「つゆとをち きへにしことわ ゆミよたに よものくさきを まほろしとミる」。
大和小泉藩主・片桐家に伝来した、大阪・豊国神社所蔵の豊臣秀吉画像に貼られた紙に秀吉自筆で書かれている。
以下の資料でみることができる。
・『豊臣家の名宝 : 特別展』(大阪城天守閣(大阪市経済局)/編集 大阪城天守閣特別事業委員会 1997)
p.75 「89 豊臣秀吉画像[片桐家伝来] 大阪・豊国神社蔵」
p.101の解説に次のようにあり。
「(前略)画面上部左側には、「つゆのたまくらふちとならましまくらのつゆや つゆとをちきへにしことわゆミよたによものくさきをまほろしとミる」としたためられた秀吉自筆の和歌草稿が貼られているが、これを秀吉辞世和歌の草稿とみる考えも根強い。」
・『秀吉の生涯 : テーマ展』(大阪城天守閣/編集 大阪城天守閣 2020.10)
p.164 「136 重要美術品 豊臣秀吉画像(伝 狩野山楽筆)
解説に、次のようにあり。
「(前略)本品の画面上部には秀頼が自筆で秀吉の神号「豊国大明神」をしたため、その左脇には「つゆ(露)のたまくら(手枕)(『まくらのつゆ(露)や』に訂正) ふちとならまし つゆ(露)とをちき(消)へにしことわゆミよ(夢世)たによも(四方)のくさき(草木)をまほろし(幻)とミる」という秀吉自筆の和歌草稿が貼られている。辞世和歌に似ることから、その草稿ではないかと推測されている。」
ただし、辞世の草稿ではないのではないかという意見もあり、あわせて紹介。
・『豊臣秀吉 (角川新書198)』(桑田忠親/著 角川書店 1965)
著者の桑田忠親は、『豊臣秀吉研究』などの著書もある歴史学者。本書には秀吉の和歌についても記載あり(p.211-215「和歌の自作」)。
辞世草稿とされている和歌については、p.203-204の「秀吉辞世の和歌」の項で触れている。
「(前略)近年、大阪市の豊国神社の所蔵となった片桐家伝来の太閤秀吉の画像に、自筆の和歌の草稿が、はりつけてあり、それに、
つゆとをちきへにしことわゆみよ
たに
も
よものくさきをまほろしとみる
と、ある。
これを、辞世の和歌の草稿と見る説もあるが、おそらく、別の意味の歌だろう。ただ、「つゆとをち」とか、「きへにし」とか、「ゆめ」とかいう語句を用いて、なんらかの思想を表現したいという欲求が、晩年の秀吉を、つねに左右していて、それが、ある機会に、一首の和歌として完成されたものが、ーつゆとをちつゆときへにしー の辞世の一首となったのではあるまいか。そんなふうに思えてならない。」(p.204)
[事例作成日:2022年8月31日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 個人伝記 (289 10版)
- 詩歌 (911 10版)
- 参考資料
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- 豊臣家の名宝 大阪城天守閣(大阪市経済局)∥編集 大阪城天守閣特別事業委員会 1997 (75,101)
- 秀吉の生涯 大阪城天守閣‖編集 大阪城天守閣 2020.10 (164)
- 豊臣秀吉 桑田/忠親∥著 角川書店 1965 (203-204)
- キーワード
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- 豊臣秀吉(トヨトミヒデヨシ)
- 辞世(ジセイ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 大阪,人物・団体,図・絵
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000321968