レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2020/08/17 11:48
- 更新日時
- 2020/12/16 09:35
- 管理番号
- 鳥県図20200019
- 質問
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解決
漢数字の七を「しち」ではなく「ひち」と読む場合があるが、これは鳥取県の方言によるものか。
- 回答
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■ 図書
(一般資料)
・『日本国語大辞典 第11巻』
・・・p.314 ひち【七】[名]しち(七)の変化した語。
・『江戸語大辞典』
・・・p.846 「ひちじ(七事)」「ひちめんどう(七面倒)」「ひちりん(七厘)」の項目あり。
いずれも「しち~」の訛と書かれている。
(郷土資料)
・『鳥取県方言辞典』
・・・p.376 ひち[名]①質。②七。「しち」の訛。
・『日本のことばシリーズ31 鳥取県のことば』
・・・p.261 「七里」に「ヒチリ」と読みがなが振られている。
・『とっとり言葉 あるザイゴ医者の覚書き』
・・・p.144 「ヒチテンバットウ」の項目あり。「七転八倒」が訛ったものとある。
・『鳥取ことばは愉し その特色』
・・・pp.26-30 「訛のこと」
「因伯共通ではあるがs音をh音で発音する傾向が強い」との記述あり。例として「シチ(七)」を「ヒチ」、
「シチメンドクサイ」を「ヒチメンドクサイ」、「シチヤ(質屋)」を「ヒチヤ」、「シク(敷く)」を「ヒク」など。
■ インターネット情報
・語形の「ゆれ」について(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kakuki/05/tosin04/index.html
・・・「マ行・バ行」(〔m〕〔b〕),「ダ行・ザ行」(〔d〕〔z〕),「ヒ・シ」(〔〕〔〕),「サ行・シャ行」(〔s〕〔〕),
「ザ行・ジャ行」(〔d〕〔〕)などの相通なども,おおむねなまりとして扱ってよい
と書かれ、例として「七」(シチ(ヒチ))が挙げられている。
※インターネット最終確認日:2020年12月20日
- 回答プロセス
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一般的な辞典類と、鳥取県の方言に関する資料を確認。どちらにも「しち」を「ひち」と読ませる記述や、「ひち」は「しち」の読み方が訛ったものとの解釈がみられる。郷土資料で複数の記述は確認できたが、鳥取県に特有の方言というわけではなさそうである。
- 事前調査事項
- NDC
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- 辞典 (813 8版)
- 方言.訛語 (818 8版)
- 参考資料
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森下喜一 編 , 森下, 喜一, 1934-. 鳥取県方言辞典. 富士書店, 1999.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004200574-00 , ISBN 4938875217 -
平山輝男 [ほか]編著 , 平山, 輝男, 1909-2005. 鳥取県のことば. 明治書院, 1998. (日本のことばシリーズ ; 31)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002677167-00 , ISBN 4625522315 -
森納 著 , 森, 納, 1928-. とっとり言葉 : あるザイゴ医者の覚書き. [森納], 1988.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001962642-00 -
古田恵紹 [著] , 古田, 恵紹, 1923-. 鳥取ことばは愉し : その特色. 鳥取市社会教育事業団, 1983. (郷土シリーズ ; 24)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001701740-00 -
日本国語大辞典第二版編集委員会, 小学館国語辞典編集部 編 , 小学館. 日本国語大辞典 第11巻 第2版. 小学館, 2001.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000003048207-00 , ISBN 4095210117 -
前田勇 編 , 前田, 勇, 1908-1972. 江戸語大辞典 新装版. 講談社, 2003.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000004107776-00 , ISBN 4062653338
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森下喜一 編 , 森下, 喜一, 1934-. 鳥取県方言辞典. 富士書店, 1999.
- キーワード
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- 方言
- 訛り
- 江戸語
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 書誌的事項調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000285923