レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/09/02
- 登録日時
- 2014/02/27 00:30
- 更新日時
- 2014/03/29 11:29
- 管理番号
- 横浜市中央2370
- 質問
-
解決
『林芙美子随筆集(岩波文庫)』
林芙美子/〔著〕 武藤康史/編 岩波書店 2003
所収の「平凡な女」p.63、8行目にある言葉「アリチブ」の意味を調べることはできますか。
- 回答
-
林芙美子の関連書や、当時の新語辞典等を確認しましたが、「アリチブ」の意味はわかりませんでした。
『林芙美子の形成』(資料3(14))に、「放浪記」の本文の異同に関する表があり(p.63)、
主な異同の特色の一つとして「片仮名書きが初版本により多い。」ことをあげ、
例として黒板のことを「ボールド」としていることなどをあげています。
またその理由を「元来芙美子がダダイズム系の詩人と交わり、
自らも詩人として出発したこととかかわりがある。」(p.65)としています。
「アリチブ」もそれに近い言葉かと推測し、
『近代用語の辞典集成』(資料2(6))など大正・昭和初期の
新語辞典・流行語辞典などを調べましたが、掲載されていませんでした。
一番近いように考えられるもので「アクチブ」(=active)でした。
また、推論になりますが、日本語について、、
「日本語の音韻」小松秀雄/著(『日本語の世界 7』
大野晋,丸谷才一/編 中央公論社 1981)
p.6「日本語のラ行音とダ行音とは、しばしば、たいへんまぎらわしいのである。
〔中略〕おやつのプリン(pudding)を食べたあとで、」
p.8「ヘボン(J.C.Hepburn)の『和英語林集成』(一八六七年、初版)には、
つぎのように述べられている。ラ・レ・ロ・ルのrは英語のrと同じ音である。
が、リの場合にはdにずっと近く発音される。〔後略〕(序論・正書法、小松仮訳)」
といった特性をふまえると、原語に対し、日本語をローマ字表記するような
対応関係とは異なるカナ表記が選択されている可能性も否定できません。
確認した資料は次のとおりです。
1 本文
次の全集に「平凡な女」が収録されていましたが、意味の記載はありませんでした。
(1)『林芙美子全集 第10巻(日本文学全集・選集叢刊)』 文泉堂出版 1977
(2)『現代随想全集 第24巻』東京創元社 1954
2 辞典
(1)『日本国語大辞典 第1巻(あ-いろこ)』日本国語大辞典第二版編集委員会/編
小学館国語辞典編集部/編 小学館 2000
(2)『広辞苑』第6版 新村出/編 岩波書店 2008
(3)『宛字外来語辞典』宛字外来語辞典編集委員会/編 柏書房 1991
(4)『明治大正新語俗語辞典』樺島忠夫/〔ほか〕編 東京堂出版 1996
(5)『日本世相語資料事典』日本図書センター 2006~2009
(6)『近代用語の辞典集成』大空社 1994~1996
3 林芙美子の関連書
(1)『いま輝く林芙美子』神奈川文学振興会/編 神奈川近代文学館 2011
(2)『林芙美子 「花のいのち」の謎』宮田俊行/著 高城書房 2005
(3)『フミコと芙美子』池田康子/著 市井社 2003
(4)『林芙美子の昭和』川本三郎/著 新書館 2003
(5)『人間・林芙美子』竹本千万吉/著 筑摩書房 1985
(6)『林芙美子』新潮日本文学アルバム 新潮社 1986
(7)『林芙美子』現代のエスプリ 板垣直子/著 至文堂 1965
(8)『現代日本文学アルバム 13 林芙美子』
足立巻一/〔等〕編集委員 学習研究社 1974
(9)『私の林芙美子』斎藤富一/著 崙書房出版 1997
(10)『林芙美子』日本文学アルバム 和田芳恵/構成解説 筑摩書房 1956
(11)『林芙美子』平林たい子/著 新潮社 1969
(12)『秋声から芙美子へ』森英一/著 能登印刷出版部 1990
(13)『林芙美子実父への手紙』佐藤公平/著 KTC中央出版 2001
(14)『林芙美子の形成』森英一/著 有精堂出版 1992
(15)「国文学 解釈と鑑賞」平成10年2月号 至文堂 (特集=林芙美子の世界)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 評論.エッセイ.随筆 (914 8版)
- 語彙 (814 8版)
- 参考資料
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000149907