レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年5月21日
- 登録日時
- 2020/05/21 16:31
- 更新日時
- 2020/05/26 13:10
- 管理番号
- 県立長野-20-013
- 質問
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解決
信濃の国の歌詞について、4番「しるき名所と風雅士が」は「雅男」という字が当てられていないが、何故か。
- 回答
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ア 『「信濃の国」物語』 中村佐伝治著 信濃毎日新聞 1978 【215/ナ】
淺井洌の書「信濃国」には「風雅士」とあり。浅井洌は『万葉集』の終生の研究としていた。
p.98 「和歌、俳句数えきれなし」の中に「なおこの風雅士は、(滝沢)馬琴の文のすぐ前にある
宮岡宗吾の「姨捨山の月にものしける時の文」の中に出てくる「田毎の月とて、このごろ風雅士の
もてはやす名所と成れり」を読んで、自分の感動として「名所」「風雅士」の言葉を生かしここを
作詞したと思う。」と記述あり。
イ 『県歌 信濃の国』 市川健夫著 信濃毎日新聞社 2014 【767.51/イタ】
p.140-141 4番に「しるき名所と風雅士が詩歌に詠みてぞ伝えたる」と記述あり。
また「風雅士:風流な歌人や詩人」と記述あり。
p.168-170 「作詞者の浅井洌は、古典文学に深く通じている旧派の歌人であったので、
(中略)歌詞にも「名所」「風雅士」「詩歌」という言葉がちりばめられている。」と記述あり。
ウ 『大言海 第4巻』 大槻文彦著 富山房 1935 【813/4/4】 p.526
「みやび-を(名)遊士 風流人 雅男 雅たる人。風雅なる男。風流人。風流士。」と記述あり。
エ 『日本国語大辞典 第12巻』 小学館国語辞典編集部編集 小学館 2001【813.1/シヨ/12】
p.834
「みやび‐お【雅男】〘名〙上品で優雅な男。風流を好む男。風流人。みやびおとこ。」と記述あり。
「雅男」でなく「風雅士」となっているのは、上記資料から、浅井洌が万葉集の研究に携わっていた
事や、和歌を詠むことが趣味であったところから、この字を使用したのではないか、と推測される。
イ『県歌 信濃の国』のp.24にあるように「「信濃の国」の歌詞の発想にも、それが現れている」と
されている。
- 回答プロセス
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1 当てられている字を確認するため、浅井洌の書による歌詞を調査し「風雅士」と確認する。
2 「風雅士」について『大言海』を調査。
該当する字では無かったが「風雅なる男」「風流人」「風流士」等の記述を確認。
3 「雅男」について『日本語大辞典 第12巻』を調査。
「風流人・遊士・風流士」等の記述を確認。
4 1で調査した資料のうち『「信濃の国」物語』と『県歌 信濃の国』に「風雅士」についての記述が
確認出来たため紹介。
- 事前調査事項
- NDC
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- 声楽 (767 9版)
- 辞典 (813 9版)
- 中部地方 (215 9版)
- 参考資料
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中村佐伝治 著 , 中村, 佐伝治, 1909-1992. 「信濃の国」物語. 信濃毎日新聞社, 1978.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001393093-00 (【215/ナ】p.98) -
市川健夫, 小林英一 編著 , 市川, 健夫, 1927-2016 , 小林, 英一, 1933-. 県歌・信濃の国. 銀河書房, 1984.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001744028-00 (【767.51/イタ】 p.140-141 4番, p.24) -
大槻 文彦 著 , 大槻‖文彦. 大言海 第4巻 ひ−を. 冨山房, 1935.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I025260942-00 (【813/4/4】 p.526)
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中村佐伝治 著 , 中村, 佐伝治, 1909-1992. 「信濃の国」物語. 信濃毎日新聞社, 1978.
- キーワード
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- 信濃の国
- 風雅士
- 雅男
- 浅井洌
- 信州学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000282353
- 関連ファイル
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