レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年04月01日
- 登録日時
- 2011/04/02 02:00
- 更新日時
- 2014/08/01 00:30
- 管理番号
- 10-3B-201104-01
- 質問
-
解決
津波による水田の塩の取り除きかたについて知りたい。
- 回答
-
『日本の農業地帯』(立石 友男/編著 大明堂 1983)に、有明干潟の例をもと
に、干拓地の耕地化について記述あり。
湛水法もしくは明渠法と呼ばれる方法により除塩作業を行うとある。
何れも土壌中に含まれる塩分を雨水や河川水で洗い流す方法で、干陸後7~
10年の除塩期間を必要とする。とある。
下記の情報をご紹介した。
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構>平成18年度 農村工学研
究成果情報
「2004年インド洋津波によるタイ南部沿岸農地の被害実態と除塩対策」
http://www.naro.affrc.go.jp/top/seika/2006/nire/no06050.html (2011.4.1確
認)
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所>平成18年
度 農村工学研究所研究成果情報
「2004年インド洋津波によるタイ南部沿岸農地の被害実態と除塩対策」
http://www.nkk.affrc.go.jp/library/publication/seika/seikajyoho/2006/47.pdf
(2011.4.1確認)
農業農村工学会全国大会講演要旨集 pp.166-167 , 2008
「低平地の田越し灌漑区における排水特性」
http://soil.en.a.u-tokyo.ac.jp/jsidre/cgi-bin/anual.cgi?search=08001-
16&mode=1 (2011.4.1確認)
http://soil.en.a.u-tokyo.ac.jp/jsidre/search/PDFs/08/08001-16.pdf
(2011.4.1確認)
三浦昌司「日本海中部地震による津波被害」『農業技術』Vol.39, No.2, Page49
-52(1984.02) 大阪府立中央図書館所蔵
(除塩工事の必要から,被害水田についての土壌調査と,土壌分析,除塩などにつ
いて検討した論文)
AGROLib(農林水産文献ライブラリ)http://www.affrc.go.jp/Agropedia/
(2011.4.4確認)
キーワード“除塩”で、111 件見つかり、本文PDFのリンク掲載されている論文
や抄録も掲載されている論文もある。
当館では所蔵していないが、回答プロセス・事前調査事項記載の雑誌記事等
をあわせてご紹介し、
商用データベース「JDream(ジェイドリーム)Ⅱ」(科学技術・医学文献) での検
索をおすすめした。
論文の入手方法については、大阪市立図書館調べかたガイドシリーズ(24)雑
誌記事・論文を入手するには
http://www.oml.city.osaka.lg.jp/?page_id=493 をご案内した。
2011.9.22情報追加
・「塩害水田 綿花で再生」読売新聞2011年9月16日大阪朝刊 32頁
東日本大震災の津波被害を受けた宮城県で、塩に強い綿花を育てて土壌の
塩分を取り除き、水田を取り戻すことを目指す「東北コッ
トンプロジェクト」http://www.tohokucotton.com/ (2011年9月22日確認)が紹
介されている。
商用データベース「 ヨミダス歴史館(読売新聞記事)」もしくは、新聞原紙または
マイクロフィルムで閲覧可。
・「(現場から 大震災と経済)塩害の田、たわわ 除塩・水管理で「昨年並み」
仙台平野」朝日新聞2011年9月8日朝刊 7頁
仙台市で除塩に成功した例が報告されている。
商用データベース「聞蔵Ⅱビジュアル(朝日新聞 一部記事写真閲覧可)」もしく
は、新聞原紙またはマイクロフィルム、縮刷版で閲覧
可。
2012.5.20情報追加
『農業技術大系 最新農業技術 土壌施肥vol.4』(農文協 2012追録)に東日本
大震災による農地の津波被害、放射性物質による汚染
と対策について科学的な情報が収録されている。
「農地の津波被害とその対策」の特集で「津波,高潮による農地被害の原因と
修復の考え方」(伊藤豊彰/菅野均志)「東日本大震災
における津波被災農地の塩害対策」(後藤逸男/稲垣開生)「灌漑水による除
塩」(原口暢朗)「雨水の浸透除塩と弾丸暗渠」(千葉克己
)の4論文を掲載。
商用データベース「ルーラル電子図書館(農業・食)」で閲覧可。
- 回答プロセス
-
1.商用データベース「JDream(ジェイドリーム)Ⅱ」(科学技術・医学文献)を調査
キーワード“除塩”ד田”で、38 件見つかる。
特に有用と思われる下記論文に与えられているシソーラス用語での、再検索をおすすめする。
・三浦昌司「日本海中部地震による津波被害」『農業技術』 Vol.39, No.2, Page49-52 (1984.02) 大阪府立中央図書館所蔵
シソーラス用語:地震, 津波, 水害, 塩害, 脱塩, 灌漑, 秋田
・木田義信「福島県南相馬市北海老地区の高潮流入による塩害の実態 第1報 高潮流入後の土壌塩分の推移」 『東北農業研究』No.60, Page33-34 (2007.12)
シソーラス用語:*高潮, *塩害, *土壌塩類, 水田, 海水, 実態調査, 土壌分析, 稲藁, コンバイン, トラクタ, 降水, 福島, 水稲, 貯水, 圃場, 植物被害, 脱塩, 水田土, 砕土
準シソーラス用語:塩害圃場, 除塩, 代掻き
2.商用データベース「ルーラル電子図書館」(農業・食)を調査
キーワード“除塩”で、1 件見つかるが内容が該当せず。
“脱塩”・“高潮”等のキーワードでも特に有用なもの見つからず。
2012.5.20再調査
『農業技術大系 最新農業技術 土壌施肥vol.4』(農文協 2012追録)に東日本大震災による農地の津波被害、放射性物質による汚染と対策について科学的な情報が収録されていることがわかる。
3.AGROLib(農林水産文献ライブラリ)http://www.affrc.go.jp/Agropedia/ (2011.4.4確認)
キーワード“徐塩”で、111件見つかり、本文PDFのリンク掲載されている論文や抄録も掲載されている論文もある。
4.新聞記事データベースをキーワード“塩害”、“徐塩”等で検索
読売新聞、朝日新聞で新しい取り組みの記事が見つかる。
- 事前調査事項
-
1 日本における干拓地などの事例を調べ、土壌中の塩分をどのように排したかを確認する。
その過程で検索語となりそうなキーワードを抽出。
『日本の農業地帯』(立石 友男/編著 大明堂 1983)に、有明干潟の例をもとに、干拓地の耕地化について記述あり。
湛水法もしくは明渠法と呼ばれる方法により除塩作業を行うとある。
何れも土壌中に含まれる塩分を雨水や河川水で洗い流す方法で、干陸後7~10年の除塩期間を必要とする。とある。
2 検索キーワードの確認
検索語となるキーワード“除塩”“湛水(法)”“明渠(法)”を確認。
また、レファレンス協同データベース https://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/common.Controler (2011.4.1確認)より
「オランダの干拓地での農業(土壌)について、干拓地で農業をする場合の土壌の塩分を抜く方法などについて掲載されているWebsiteを探している。 Websiteは、欧米のもので本文が英語のものを希望。」という事例を発見。
(国立国会図書館支部農林水産省図書館農林水産技術会議事務局筑波事務所分館)
https://crd.ndl.go.jp/GENERAL/servlet/detail.reference?id=1000038065 (2011.4.1確認)
こちらで列記されているキーワードを合わせると以下の通り。
・除塩
・湛水(法)
・明渠(法)
・干拓地土壌
・開拓地土壌
・脱塩
・塩分調節、塩分対策
これらのうち、“除塩”“湛水”“明渠”“脱塩”を主として検索することとする。
3 当館資料を検索。
フリーワードで下記のキーワードで検索する。
(A)“除塩”・・・ヒットなし
(B)“湛水”・・・15件。農業に関連する資料は見られるが、本件につながりそうなものはなし。
(C)“明渠”・・・1件。本件につながりそうなものはなし。
(D)“脱塩”・・・15件。本件につながりそうなものはなし。
4 雑誌記事検索。
商用データベース「MAGAZINEPLUS」(日外アソシエーツ雑誌論文情報)で下記のキーワードで検索する。
(A)“除塩”・・・41件。そのうち関連のありそうなものを以下にあげる。
・赤江剛夫、濱田浩正、諸泉利嗣(他)「2004年インド洋津波による農村地帯の農業被害実態と復旧対策」『水土の知』2010年9月号 78巻9号 p775~778
・金城和俊、渡嘉敷義浩、鬼頭誠(他)「塩類集積土壌におけるギニアグラスの除塩効果」『日本土壌肥料学雑誌』2007年10月号 78巻5号 p465~471
・山田寧直;寺井利久;大津善雄(他)「諫早湾干拓干陸初期における緑肥作物並びに堆肥による早期土壌改良」『長崎県総合農林試験場研究報告』農業部門 2007年3月号 第33号 p27~63
・丸居篤;〔カク〕愛民;中野芳輔「塩性土壌におけるクリーニングクロップの除塩効果」『畑地農業』2005年 第556号 p2~9
・久米崇;長野宇規;渡邉紹裕(他)「除塩潅漑に伴う排水不良農地の土壌塩分分布変動」『農業土木学会論文集』2004年10月号 72巻5号 2004年10月 p469~476
・兼子健男「水田における台風高潮塩害災害の除塩技術」『水と土』第133号 2003年 p48~53,2
・久保田富次郎;大場和彦;山田正雄「台風9918号による干拓地の高潮災害と作付への影響(小特集 農地・農業用施設災害と危機管理)」『農業土木学会誌』2002年5月号 70巻5号 p429~432,図巻頭2p
(B)“湛水”ד塩”・・・26件。本件につながりそうなものを以下にあげる。
・塩沢昌;多田敦;楊継富(他) 「低平地水田における代かき用水量と湛水過程 」『農業土木学会論文集』 70巻3号 2002年6月号 p303~311
・松川進;中野政詩「湛水浸潤による塩類移動」『農業土木学会論文集』第162号 1992年12月号 p15~22
(C)“明渠”ד塩”・・・ヒットなし。
(D)“脱塩”・・・696件。ノイズが多いので“稲”、“米”をそれぞれ追加するが、本件と関係のありそうなものはヒットせず。
(E)“塩分”ד稲”・・・22件。本件と関連のありそうなものを以下にあげる。
・柴田康志;小田九二夫;森静香(他)「山形県庄内地域における2004年台風15号からみた水稲の潮風害リスクマップの作成」『日本作物学会紀事』2009年10月号 78巻4号 (p.503~508)
・森静香;柴田康志;松田裕之(他)「登熟期の水稲穂部への海水由来塩分付着害に対するケイ酸による減収の軽減効果」『日本土壌肥料学雑誌』第80巻4号 2009年8月号(p.347~354)
・森静香;柴田康志;藤井弘志「収量予測・情報処理・環境 2004年台風15号で潮風害を受けた水稲と塩分を付着させた水稲との被害程度の比較」『日本作物学会紀事』 78巻1号 2009年1月号 (p.87~91)
・北村邦彦;一恩英二;大角雅晴(他)「田面水の塩分濃度上昇にともなう水稲の生育と許容塩分濃度」『Journal of rainwater catchment systems』13巻2号 2008年1月号(p.55~60)
上記にあげた雑誌は、いずれも当館に所蔵なし。
5 調査過程にて検索したインターネット情報
回答記載の情報をご紹介した。
- NDC
-
- 農業 (610 9版)
- 参考資料
-
- 『日本の農業地域』立石 友男/編著 大明堂 1983 .ISBN 4-470-52008-X<当館書誌ID:0080076396>
- 商用データベース「JDream(ジェイドリーム)Ⅱ」(科学技術・医学文献)
- 商用データベース「 ヨミダス歴史館(読売新聞記事)」
- 商用データベース「聞蔵Ⅱビジュアル(朝日新聞 一部記事写真閲覧可)」
- 商用データベース「ルーラル電子図書館(農業・食)」
- キーワード
-
- 津波
- 地震
- 水田
- 塩害
- 湛水法
- 明渠法
- 土壌汚染
- 除塩
- 干拓地土壌
- 開拓地土壌
- 脱塩
- 塩分調節
- 塩分対策
- 照会先
- 寄与者
- 備考
-
商用データベース「
ヨミダス歴史館(読売新聞記事)」のコンテンツ名が、「読売新聞」から「平成」に、「人物」から「現代人名録」に変更(2011.10)。
商用データベース「JDream(ジェイドリーム)Ⅱ(科学技術・医学文献)」は2013年4月より「JDream(ジェイドリーム)Ⅲ(科学技術・医学文献)」に名称変更しました。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000084230