レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年06月26日
- 登録日時
- 2018/06/26 17:03
- 更新日時
- 2018/06/26 17:03
- 管理番号
- 30-001
- 質問
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解決
泉涌寺における神仏分離の様相及び皇室との関わりについて知りたい。
- 回答
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まず、【資料1】の第三章第一節および第二節(p473-588)に「神仏分離の展開」という項目があり、「泉湧寺は、皇室の菩提寺として手厚い御庇護をうけていただけあって、この維新後の動きの影響は深刻であったといわなければならない」という記述があります。この影響の内容については、第三章内で詳細な説明がされています。
【資料2】には高木博志氏執筆の「近代皇室における仏教思想-神仏分離後の泉涌寺を通して-」(p305-319)という項目があり、「神仏分離への動きは、まず慶応三年(一八六七)一月の孝明天皇の葬儀からはじまり、泉湧寺の僧侶は山陵から切り離された。しかし明治維新後においても、私的な領域における泉湧寺での仏式法要は継続した」とあります。
【資料3】には、阪本健一氏執筆の「皇室における神仏分離」(p191-254)という項目があり、「ただ我々は明治四年九月三十日以後、宮中に於ける皇霊の祭祀が、祭政一致の基本の上に立っての神仏判然であることを銘記すると共に、決して廃仏毀釈でなかったことに注意しなければならない。そこに恭明宮より泉湧寺につながる仏式による皇霊祭祀についてのご配慮があったのである」とあります。
以上の資料から神仏分離後も皇室と泉湧寺の繋がりは継続していたことが伺えます。
【資料4】の図書自体は本学未所蔵ですが、科学研究費助成事業DB(KAKEN)を調べたところ、研究成果報告書として論文概要の記載がありましたのでご紹介します。
【資料1】~【資料3】は抜粋箇所以外にも詳細な記述があり、まずはこれらの図書を閲覧することをお薦めします。また、以上4点の資料にプラスして『御寺 泉涌寺』(森岡善暁編・発行、1966.8)など泉涌寺に関する図書や、中心的な研究者である高木博志氏の図書や論文を読むことで、より多面的な理解が得られるかと思います。
- 回答プロセス
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①CiNii-Articlesで「神仏分離」「泉涌寺」で検索→ヒットなし 「神仏分離」「皇室」で検索→3件ヒット
高木博志「龍谷大学日本史学研究会 二〇一五年度総会 記念講演 皇室の神仏分離と古都京都」(龍谷日本史研究 (39), 1-19, 2016-03 龍谷大学日本史学研究会)を紹介したかったが、本学には所蔵がなく、質問者が急いでいたため、ILLは利用せず。
②NDL ONLINEで「神仏分離」「皇室」で検索→29件中、『明治維新神道百年史』(神道文化会、1968.1)に記載があることが判明。
③Yahooで「神仏分離」「泉涌寺」で検索→1件目に科学研究費助成事業DB(KAKEN)の高木博志著「皇室の神仏分離・再考」がヒット。
CiNiiの結果も含め、高木博志氏がこの研究分野の中心人物と特定。
④本学OPACで「高木博志」を検索→7件ヒット
そのうちの図書を確認したところ、『祭祀研究と日本文化』(祭祀史料研究会編、塙書房、2016.12)に詳細な記載あり。
⑤本学OPACで「泉涌寺」を検索したところ、『泉涌寺史 本文編』(総本山御寺泉涌寺編、法蔵館、1984.9)に詳細な記載あり。
「回答」に記した4点の図書・雑誌を中心に、質問者へ回答を提示した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 各宗 (188 8版)
- 日本史 (210 8版)
- 系譜.家史.皇室 (288 8版)
- 参考資料
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【資料1】『泉湧寺史 本文編』(総本山御寺泉涌寺編、法蔵館、1984.9)
(URL:http://id.ndl.go.jp/bib/000001721550
本学請求記号 188.55/A.31/1,本学登録番号 294956) -
【資料2】『祭祀研究と日本文化』(祭祀史料研究会編、塙書房、2016.12)
,
ISBN 978-4-8273-1285-0
(URL:http://id.ndl.go.jp/bib/027772124
本学請求記号 210.3/Sa.22,本学登録番号 293230) -
【資料3】『明治維新神道百年史 第4巻』(神道文化会、1968.1)
(URL:http://id.ndl.go.jp/bib/000001773770
本学請求記号 170.2/谷/3549,本学登録番号 277933) - 【資料4】「皇室の神仏分離・再考」(『明治維新史研究の今を問う』所収) , ISBN 978-4-903426-43-3 (URL:http://id.ndl.go.jp/bib/000011218880)
- 【資料5】『御寺 泉涌寺』(森岡善暁編・発行、1966.8) (本学請求記号 188/久保田/1629,本学登録番号 31629)
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【資料1】『泉湧寺史 本文編』(総本山御寺泉涌寺編、法蔵館、1984.9)
(URL:http://id.ndl.go.jp/bib/000001721550
- キーワード
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- 泉涌寺
- 神仏分離
- 皇室
- 仏教
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 所蔵調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000237607