レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2003/9/5
- 登録日時
- 2011/02/21 02:02
- 更新日時
- 2019/11/27 09:57
- 管理番号
- 愛知県図-01177
- 質問
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解決
中国でいろいろな場面で「赤」色が使われているが、その理由を知りたい。
- 回答
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『色彩の美学』【資料1】に、色言葉の一般的な意味として、中国における赤について書かれている。
『色彩博物館』【資料2】、『色彩の魔力 文化史・美学・心理学的アプローチ』【資料3】に、中国の国旗(赤旗)について書かれている。
『「色」の文化誌』【資料4】に、慶事の象徴色として赤が使われる具体例が書かれている。国旗についても言及されている。
『中国人とのおつきあいHANDBOOK』【資料6】に、赤(紅)が縁起のいい色として挙げられ、「紅」を用いた語がいくつか紹介されている。
『色 世界の染料・顔料・画材』【資料5】、雑誌記事「中国人学生の「赤」のイメージに対する研究」【資料7】 に、中国の赤にまつわるイメージや、文化・習慣などについて書かれている。
- 回答プロセス
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1 『日本十進分類法』新訂10版の相関索引を「色」で引くと、141.21(心理学)、757.3(美術)、425.7(物理学)の3つの分類がある。質問内容に合うと思われる757.3の書架をブラウジングして、【資料1】~【資料5】を発見。
【資料1】のp.134に、色言葉の一般的な意味として、中国における赤について「幸運、幸福、威厳、結婚といったことを意味し、伝統的な祝祭色」であると書かれている。
【資料2】の「第2章 国旗と色彩」のpp.34-35に、赤は「共産主義のシンボルである」と書かれている。また、中国が赤旗を国旗に制定したことについて、「中華人民共和国の赤は共産主義の象徴でもあるが、同時に漢民族伝来の色であり、約二五〇年の長きにわたって中国全土を支配した満洲民族(黄色に象徴される)に対する抵抗を表していた。」と書かれている。
【資料3】のp.49に、「中国でも、昔から赤は富や生命力をあらわすものとしてもっとも好まれてきた。」とあり、「中国国旗の赤は革命のシンボルであるが、それだけでなく中国の赤色嗜好の伝統が、その背景に存在する。」と書かれている。
【資料4】のp.84に、「中国では慶事のことを紅事というくらい、慶事が赤で演出される。」とあり、pp.84-86に慶事で赤が使われる具体例が書かれている。それを踏まえ、pp.87-88で国旗についても言及している。
【資料5】には、中国の赤にまつわる話について複数の記述があった。
p.90には、「中国では、赤は活力に満ちた色とされています。たくさんの種子が子孫繁栄を象徴するザクロの実の色だと考えられているからです。」とあり、pp.90-92に雲南省の「姉妹節」「花山祭」という祭りの赤色にまつわる文化が紹介されている。また、p.92には結婚式についても書かれている。
p.98には、中国道教における赤色について書かれている。
p.102には、黒字の文章の間に、赤色の行がはさまれていることがある理由について書かれている。
p.116に、「赤色は太古の昔から葬送儀礼のなかで、生命のしるしである血と結びつけて考えられてきました。」と書かれていて、p.118に中国の葬儀儀礼についての記述がある。
2 中国文化に関する本にもないか、NDC222、292.2、302.22などの書架をブラウジング、また当館OPACで「中国人 文化」などで検索し、【資料6】を発見。
【資料6】のp.123に、縁起のいい色として、「赤は中国人が最も好む色。お祝い事や厄除けの色として多用されます。」とあり、「紅」という字を用いた語が紹介されている。
3 CiNiiの論文検索で、「中国人 赤」で検索。【資料7】のインターネット公開資料を発見。
【資料7】のp.329には、「中国人にとって赤は生活に欠かすことのできない色であり、歴史の反映であり、継承されてきた文化である」と書かれていて、例として陰陽五行説などが挙げられている。また、「中国人にとって、赤は生命力の強い色の一つ」であると書かれている。
p.333には、本命年(年男、年女)の赤色にまつわる風習について書かれている。また、中国4地域の学生が回答した「赤」からの連想語をまとめた表が掲載されており、p.334に、結果に対する考察がある。
p.336には、慶事において赤一色だけを使用することへの考察がある。
- 事前調査事項
- NDC
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- デザイン.装飾美術 (757 10版)
- 政治.経済.社会.文化事情 (302 10版)
- 参考資料
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【資料1】塚田, 敢(1914-) , 塚田, 敢(1914-). 色彩の美学 新装版. 紀伊國屋書店, 1978.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I089871684-00〈当館資料コード:1104707639〉 , ISBN 4314002190 -
【資料2】城一夫 著 , 城, 一夫, 1937-. 色彩博物館. 明現社, 1994.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002373496-00〈当館資料コード:1106646372〉 , ISBN 4838890044 -
【資料3】浜本隆志, 伊藤誠宏 編著 , 浜本, 隆志, 1944- , 伊藤, 誠宏, 1942-. 色彩の魔力 : 文化史・美学・心理学的アプローチ. 明石書店, 2005.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007727511-00〈当館資料コード:1108687024〉 , ISBN 4750320889 -
【資料4】風見明 著 , 風見, 明, 1939-. 「色」の文化誌. 工業調査会, 1997.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002666650-00〈当館資料コード:1107401481〉 , ISBN 4769370598 -
【資料5】アンヌ・ヴァリション 著 , 河村真紀子, 木村高子 訳 , Varichon, Anne , 河村, 真紀子 , 木村, 高子. 色 : 世界の染料・顔料・画材 : 民族と色の文化史. マール社, 2009.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000010065601-00〈当館資料コード:1109622131〉 , ISBN 9784837301714 -
【資料6】中国人とのおつきあいHANDBOOK : 日常生活からビジネスマナーまで : 決定版. イカロス出版, 2005.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I002517478-00〈当館資料コード:1108742215〉 , ISBN 4871496945 - 【資料7】張 粤 , 齋藤 美穂「中国人学生の「赤」のイメージに対する研究」『日本色彩学会誌』29(4), 2005.12,p.328-337, 2005.12 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10748425_po_ART0006326898.pdf?contentNo=1&alternativeNo= (last access 2019/11/10)
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【資料1】塚田, 敢(1914-) , 塚田, 敢(1914-). 色彩の美学 新装版. 紀伊國屋書店, 1978.
- キーワード
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- 中国
- 赤
- 色
- 慶事
- 共産主義
- 生命
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000078726