レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/08/31
- 登録日時
- 2022/10/01 00:30
- 更新日時
- 2022/10/01 00:30
- 管理番号
- 6001057294
- 質問
-
解決
海苔巻き(巻き寿司)の太巻き、中巻き、細巻きの違いは何か知りたい。
- 回答
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具体的には以下の違いがあります。
・太巻きは、海苔を縦に長く置いて巻き芯に数種類の具を入れてつくる海苔巻き(1枚ではなく1枚と1/3か1枚半使うのが伝統的としている資料もありました。)
・中巻きは、海苔を横長になるように置いてつくる海苔巻きで、具は一種類が多い(「横巻き」という呼び名を紹介している資料もありました。海苔の分量を1枚の2/3としている資料もありました。)
・細巻きは、海苔を半切りでつくる海苔巻きで、具は一種類(「小巻」という呼び名を紹介している資料もありました。)
江戸では、「海苔巻き」といえば、「干瓢巻き」(細巻き)を指し、上方で「巻き寿司」といえば、「太巻き」を指しているようです。
江戸前すしでいう「太巻」は、関西ずしでいう中巻にあたる太さと記述している資料もありました。
以下の資料に記述があります。
・『すし語辞典:寿司にまつわる言葉をイラストと豆知識でシャリッと読み解く』(新庄綾子/著 藤原昌高/監修 誠文堂新光社 2019.8)
p.168 「太巻き」の項
「海苔1枚を縦に長く置いてつくる海苔巻き。(中略)関西では、太巻きのことを海苔巻きといいます。」
p.143 「中巻き」の項
「海苔1枚を、横長になるように置いてつくる、太巻きよりも細い海苔巻き。(後略)」
p.158 「海苔巻き」の項
「海苔でシャリと具を巻いた寿司の総称。ただし、寿司屋で具を指定せずに「海苔巻き」といったら、通常「かんぴょう巻き」を意味します。江戸前寿司にはもともとかんぴょう巻きしかなく、後から鉄火巻やかっぱ巻きができました。逆に関西以南では、海苔巻きといえば「太巻き」を意味します。」
p.81 「干瓢巻き」の項
「半切りの海苔でかんぴょうを巻いてつくった細巻きの海苔巻き。江戸前寿司では海苔巻きといえばかんぴょう巻きのことを指します。(後略)」
・『現代すし学:すしの歴史とすしの今がわかる』(大川智彦/著 旭屋出版 2019.3)
p.328-329 「巻ずし・海苔巻」の中に以下の記述があります。
「巻ずしの呼び名の使い分けは、「海苔巻」「玉子巻」「昆布巻」「干瓢巻」「キュウリ巻」「鉄火巻」「太巻」「中巻」「細巻」と、巻きつける材料、芯にする材料、大きさによって呼び名を変えている。
江戸(東京)の「海苔巻」と上方(大阪)の「巻ずし」のちがいを、『守貞謾稿』(1849)が書いている。江戸で海苔巻といえば干瓢を芯にした細巻を指し、大阪で巻ずしといえば椎茸の太巻であったという。(中略)一般に東京では海苔半分で作る細巻、大阪では海苔1枚で作る中巻や1枚半を使う太巻が伝統的である。」
・『すし:伝統の技を極める』(岩央泰/[ほか]著 ナツメ社 2017.10)
p.252 「細巻き(干瓢)」の項に以下の記述があります。
「江戸前ずしではもともと「巻きずし」と言えば干瓢の細巻きを指した。半切の海苔を使用し、かつては「半巻き」とも呼ばれた。時代を経て鉄火巻きや穴きゅう巻きなど、今日見られる巻き芯のバリエーションがうまれた。」
p.256 「太巻き」の項に以下の記述があります。
「関西以西では、巻きずしと言えば、太巻きをさすことが多い。海苔を縦長に置く場合と、横長に置く場合があり、「縦巻き」「横巻き」と呼び、太さが変わる。」
・『すしの技術大全:江戸前握り寿司、押し寿司、棒寿司の知識から魚のおろし方まで、日本の伝統的な寿司の技術を網羅した決定版』(目黒秀信/著 誠文堂新光社 2013.8)
「第五章 巻き物・関西寿司(押し寿司・棒寿司・茶巾寿司)稲荷寿司・ちらし寿司」の中の「巻き寿司」(p.258-271)の中に以下の記述があります。
p.258(冒頭)「江戸前寿司で、巻き寿司は、海苔を半切りにしたカンピョウ巻きだけで、のちに鉄火巻やキュウリを巻き芯にするカッパ巻、野菜の漬物などを巻き芯にするようになりました。(中略)関西から南の方では、巻き寿司といえば「太巻き」のことです。(中略)海苔を横に使う巻き寿司を「中巻き」、海苔が中に入りシャリが表になり、合わせ目をのの字に巻くのが「裏巻き」です。(後略)」
p.258 「かんぴょう巻き」の巻き方には以下の記述があります。
「1.長い面を二つ折りにして、折り目をよく押さえて、半分に切る。(後略)」
p.266 「太巻き」の巻き方には以下の記述があります。
「1.(前略)海苔一枚を縦長に置く。」
p.269 「中巻き」の説明に以下の記述があります。
「太巻きの海苔を横長に使って巻いたのが中巻きです。」
・『料理用語事典』(大滝緑・山口米子/編著 真珠書院 2003.11)
p.271 「太巻き鮨」の項目に以下の記述があります。
「すし飯も具も多く用いた関西風の太い巻きずし。(中略)ノリは一枚と三分の一枚か一枚半使うのが伝統的だが、一枚で巻くことも多い。」
・『すし技術教科書 江戸前ずし編』(旭屋出版 1989.3)
「第二編すし技術」の「第四章巻物」(p.262-274)に以下のような記述があります。
p.262 「一般に、江戸前ずし店で営業に用いられているのり巻は、細巻、太巻(中巻)、のの字巻などである。(中略)江戸前ずしでいう太巻は、ノリ一枚を使ったもので、関西ずしでいうと中巻にあたる太さのものである。」
p.262-266 「細巻」の項目の「準備【ノリ】」(p.262)の項目には以下の記述があります。
「すしノリを半分に切ったもの。(後略)」
p.266-269 「太巻(中巻き)」の項目の冒頭には以下の記述があります。
「ノリ一枚を用いて巻く。方法としては、ノリを縦に使って巻き、七つ切りにする方法と、横に使って、八つ切りにする方法とがある。(後略)」
・『すし技術教科書 関西ずし編』(荒木信次/編著 旭屋出版 1987)
「第六章 巻物」の以下の箇所に記述があります。
p.328 「一、巻物の種類と特徴」
「太巻……巻物の代表格。海苔を一枚と三分の一使い、巻スで巻く。巻芯に数種の具を使い、現在は厚焼玉子を主材料とする場合が多い。」
「中巻……海苔一枚の三分の二程度で巻き、具は一種のものが多い。」
「小巻……海苔一枚の半切を使用。焼海苔を使う傾向が多く、具は一種。」
p.353-355 「小巻」
「小巻(細巻ともいう)は、普通の海苔を半分に切り、横にして巻いた細い巻ずしである。」(p.353)
[事例作成日:2022年8月31日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 食品.料理 (596 10版)
- 参考資料
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- すし語辞典 新庄/綾子‖著 誠文堂新光社 2019.8 (81,143,158,168)
- 現代すし学 新装改訂版 大川/智彦‖著 旭屋出版 2019.3 (328-329)
- すし 岩/央泰‖著 ナツメ社 2017.10 (252,256)
- すしの技術大全 目黒/秀信∥著 誠文堂新光社 2013.8 (258-271)
- 料理用語事典 大滝/緑∥編著 真珠書院 2003.11 (271)
- すし技術教科書 江戸前ずし編 改訂版 旭屋出版 1989.3 (262-274)
- すし技術教科書 関西ずし編 荒木/信次∥編著 旭屋出版 1987 (328,353)
- 日本料理由来事典 中 川上/行蔵∥監修 同朋舎出版 1990 (372)
- すし 近藤/弘∥著 柴田書店 1982.9 (222-226)
- キーワード
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- のりまき(ノリマキ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000321987