レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/01/30
- 登録日時
- 2020/04/01 00:30
- 更新日時
- 2020/04/01 00:30
- 管理番号
- 6001043266
- 質問
-
解決
漬物の「大阪漬け」(「大阪切漬」「大阪浅漬」ともいう)はいつごろからあったか、また作り方を記した資料はあるか。
- 回答
-
大阪漬けがいつごろからあったかについては以下の資料に記載がありました。
・『京都の民俗誌』(福田栄治/著 文化出版局 1987.5)
第1章第2節「1 漬物の歴史」(p.28-47)
「時代は下って、江戸時代後期の天保年間(一八三〇~一八四四年)ごろになると、(中略)大坂切漬、印籠漬、雷干漬、大根早漬など、中には、特産物となった漬物も出てきたことが『四季漬物塩嘉言』という書物の中に見えている。」と記されています。(p.34)
また、「江戸時代の末に著された『守貞漫稿』によれば、当時の江戸近辺と上方、すなわち、大坂・京都のなどの漬物を比較しながら見ることができる」とあり、『守貞漫稿』の次の記述が紹介されています。
「大根、蕪菜等の塩一種を以て漬たるを、くきと云。又、大根の根、葉ともに細かく刻みて塩漬、刻み茎と云。大根全体のまま漬るを長漬という。(中略)刻茎を江戸にて大阪漬と云う。」(p.36-37)
・『四季漬物読本』(日本放送協会/編纂 日本放送出版協会 1937)
林春隆/著「珍しい漬物」(p.213-243)
「十一. 大阪の浅漬と切漬」の項(p.221-222)があり、次の記述があります。
「近い頃まで京は水菜、大阪は大根と、これが近在の農家から肥料の代償として市中の各戸に年の暮に贈つたもので、餅つきと大根漬は上方年中行事の一つで、その頃は川筋から町々は大根の洪水で、冬になると奉公人のお惣菜は大根責になるといふ習慣がありました。それで特に大根に大阪漬の名が残されたものです。」(p.221)
・『どのくらい大阪 続』(毎日新聞ふらいで~と編集部/編 いんてる社 1985)
「漬物 名物は「たる売り」の味 食べごろを見計らって」(p.34-38)の中で、上述の『四季漬物読本』に「大阪の浅漬」が紹介されていることが記されており、「奉公人のお惣菜としてダイコンの浅漬は欠かせないものだったという。商売の町として奉公人を多く抱えていたことが、漬物を多く食べる現象につながっているようだ。」との記述があります。(p.35-36)
大阪漬けの作り方については以下の資料に記載があります。
・『日本料理秘伝集成 第14巻 原典現代語訳 珍味と地方料理・漬物秘伝』(同朋舎出版 1985)
『四季漬物塩嘉言』(p.247-281)に「大坂切漬」(p.259-260)、「大坂浅漬」(p.260)の項があり、作り方が記載されています。両者は、作り方が異なる別の漬物として記載されています。
『四季漬物塩嘉言』についてはp.288-289に解題が記載されており、「料理古典としては珍しい本格的な漬物指南書。(中略)別名、『四季漬物早指南』とも呼ばれ、初版は天保七(一八三六)年、明治に入ってからも刊行されている。」とあります。
・『四季漬物読本』(日本放送協会/編纂 日本放送出版協会 1937)
林春隆/著「珍しい漬物」(p.213-243)
「十一. 大阪の浅漬と切漬」の項に浅漬(長漬)と切漬の作り方が記載されています(p.222)。
浅漬は大根のみで漬け、切漬は大根に限らず他のものと一緒に漬けることも含むようです。
・『読む食辞苑 日本料理ことば尽くし』(小林弘/著 同文書院 1996.6)
「大阪漬〈おおさかづけ〉」の項(p.217)に作り方が記載されています。
・『つけもの 改訂食品事典』(河野友美/編 真珠書院 1974)
第3章「漬け物各論」(p.26-77)に「切り漬け」の項(p.27)に作り方が記載されています。
〔事例作成日:2020年1月30日〕
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 食品.料理 (596 10版)
- 参考資料
-
- 京都の民俗誌 福田/栄治∥著 文化出版局 1987.5
- 四季漬物読本 日本放送協会∥編纂 日本放送出版協会 1937
- どのくらい大阪 続 毎日新聞ふらいで~と編集部∥編 いんてる社 1985
- 日本料理秘伝集成 第14巻 同朋舎出版 1985
- 読む食辞苑 小林/弘∥著 同文書院 1996.6
- つけもの 河野/友美∥編 真珠書院 1974
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 大阪
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000279938