レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2016年11月24日
- 登録日時
- 2017/02/21 17:02
- 更新日時
- 2018/02/21 14:55
- 管理番号
- K16-003
- 質問
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解決
国史大辞典の「かすがのしんぼく」の項に掲載されている挿絵の出典が知りたい。
- 回答
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出典は、『春日権現霊験記』十九巻第二段。
『春日権現霊験記』は絵巻物で、現在は皇室の御物(私有品)である。
本学所蔵資料では、以下の文献にこの絵巻物が収録されており、挿絵になった部分が確認できる。
(1)『日本絵巻物集成』第4卷 (本学書誌ID=TT41599787, NCID=BN07683031)
圖版の79ページに白黒画像があり、挿絵の部分は図の右端にあった。図の右横に「春日權現驗記 百六十五」、左横に「大和國常業の堂に神鏡の瑞光あらはる 其三」と記述がある。図の説明文は詞書の48ページに掲載されている。
(2)『春日權現驗記繪』(日本絵巻物全集 第15卷) (本学書誌ID=TT90986579, NCID=BN01933872)
・グラビア 47ページ Pl. 47
白黒画像。挿絵の部分は図の中央である。図の左下に「地頭たち盜まれた春日の神鏡を取り戾す(第十九卷第二段)」と記述がある。この図の説明文は、圖版解說の69ページに掲載されている。
・グラビア 86ページ Pl. 120
白黒画像。第十九巻全体が掲載されており、挿絵の部分は1段目の右中央に該当する。
- 回答プロセス
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1.『国史大辞典』の「かすがのしんぼく春日神木」の項(3巻 p.303)を確認すると、挿絵の左横に「春日神木(『春日権現霊験記』より)」と記載がある。また、本文中に「奈良春日社において、春日大明神の御神体の神鏡を賢木(榊)に斎いつけたもの。」との説明があった。
このことから、『春日権現霊験記』の「神鏡」に関する部分を重点的に探すことにした。
2.『国史大辞典』の「かすがごんげんれいき 春日権現霊験記」の項(3巻 p.297)を確認したところ、以下のことが分かった。
・『春日権現霊験記』は二十巻と目録一巻の絵巻物である。
・古く春日大社に秘蔵されてきたが、現在は皇室御物。
・『日本絵巻物集成』五・六と『日本絵巻物全集』十五に、この絵巻物が収録されている。
3.『日本絵巻物集成』と『日本絵巻物全集』を本学の蔵書検索システムで検索したところ、本学に所蔵があったため、現物を確認した。
(1)『日本絵巻物集成』
『春日権現霊験記』が収録されているのは、第3巻と第4巻である。圖版目次で「神鏡」に関連する部分を探すと複数箇所あり、圖版と『国史大辞典』掲載の挿絵を見比べながら確認したところ、第4卷で挿絵に該当する部分が見つかった。
(2)『日本絵巻物全集』
第15巻が『春日權現驗記繪』であり、「神鏡」に関連する部分のグラビアを各々確認すると、挿絵に該当する部分が2箇所見つかった。
また、説明文から、この図の出典は十九巻第二段であることが分かった。
以上をふまえ、質問者へ回答した。
- 事前調査事項
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質問者は下記資料に掲載された挿絵の原本を見たいとのことだった。
『國史大辭典』 第3巻 国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館, 1979年刊
- NDC
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- 日本画 (721 9版)
- 神社.神職 (175 9版)
- 日本史 (210 9版)
- 参考資料
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- 『國史大辭典』 第3巻 国史大辞典編集委員会編 吉川弘文館, 1979 , ISBN 464200503X (本学書誌ID=TT40033372, NCID:BN00117433)
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立命館大学蔵書検索システム
http://runners.ritsumei.ac.jp/opac/opac_search.cgi (最終アクセス日:2017年2月16日) - 『日本繪卷物集成』第3卷,第4卷 田中一松解説 雄山閣, 1929-1933 (本学書誌ID=TT41599787, NCID=BN07683031)
- 『春日權現驗記繪』 野間清六編 角川書店, 1963(日本繪卷物全集 / 角川書店編集部編, 15) (本学書誌ID=TT90986579, NCID=BN01933872)
- キーワード
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- 春日神木
- 神鏡
- 春日権現霊験記
- 絵巻物
- 春日大社
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 院生 学生
- 登録番号
- 1000210368