レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年05月10日
- 登録日時
- 2019/08/21 14:44
- 更新日時
- 2019/08/21 16:01
- 管理番号
- 千県中参考-2019-02
- 質問
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解決
明治時代、徳川篤守(あつもり)が借金をして徳川家(本家)に助けられたが、また借金をして禁固刑になったらしい。この事件の顛末を知りたい。また、裁判資料があれば見たい。
- 回答
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以下の資料に徳川篤守の事件の顛末と、裁判の判決が掲載されている。
【資料1】『空の先駆者徳川好敏』(奥田鉱一郎著 芙蓉書房 1986)(当館未所蔵)
P27-29篤守が爵位を返上したこと、膨大な負債を抱え込んだことが記されている。
【資料2】千田稔「爵位返上の諸相」(『歴史と旅』27巻6号 2000.4)p88-93
p90篤守が資金を借り入れたことからトラブルに至った経緯が記載されている。
【資料3】「徳川篤守の上告事件 私書偽造詐欺取財事件、17日に大審院で判決」(『読売新聞』1902年4月16日 朝刊)p5
篤守の上告事件が「私書偽造詐欺取財事件」であったことがわかる。また、「十七日大審院刑事第一部に於て宣告せらるゝ筈」とある。
【資料4】「詐欺取財及び私文書偽造の徳川篤守ら3人に重禁固判決/大審院」(『読売新聞』1902年4月23日 朝刊)p4
篤守らに「重禁固十月、罰金八円監視八月」の判決が下されたことが掲載されている。
【資料5】『大審院刑事判決録 第3巻』(新日本法規出版 1970)
p473-479「約束手形偽造詐欺取財及附帯私訴ノ件」として篤守の事件の判決が掲載されている。
- 回答プロセス
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まず『人物レファレンス事典 明治・大正・昭和<戦前>編[1]す〜わ』(日外アソシエーツ編集部編 日外アソシエーツ 2000)p1360で「徳川篤守」の情報を確認。参考文献に挙げられていた『海を越えた日本人名事典』(富田仁編集 日外アソシエーツ 2005)を確認すると、p473-474「徳川篤守」の項に、(明治)「32年4月爵位を返上」と記載があった。
当館所蔵資料検索で全項目「篤守」で検索すると、『徳川諸家系譜 第3』(斎木一馬[ほか]校訂 続群書類従完成会 1982)がヒットしたため内容を確認したが、この資料には事件についての記述はなかった。
全項目「徳川好敏」でも検索し、『日本航空事始』(徳川好敏著 出版協同社 1964)『おはなし日本歴史 14』(和歌森太郎[ほか]編著 岩崎書店 1986)を確認したが、事件については書かれていなかった。
NDLサーチ、CiNiiでも同じキーワードで検索したが見つからなかった。
Google検索でキーワード「徳川篤守 訴訟」で検索をすると、恵光院白著「森有正の周辺―母、伯父―」(『ふぉーらむ』 第4号 2007.7)p45に「この名門徳川家は当主篤守の不祥事で一家は崩壊する」という記述があり、その出典として【資料1】が挙げられていた。県内の市立図書館に所蔵があったため内容を確認すると、篤守の事件についての記述があった。
国立国会図書館蔵書検索でキーワード「徳川好敏」で検索すると、【資料2】がヒットした。千葉県立東部図書館で所蔵していたため確認すると、借金のトラブルの記載があった。
データベース「ヨミダス歴史館」でキーワード「篤守」で検索すると、53件がヒットした。その中に、【資料3】【資料4】があり、刑事事件であったことと、判決の日付が分かったため、当館所蔵の【資料5】を確認したところ、判決が掲載されていた。
(インターネット最終アクセス:2019年6月25日)
- 事前調査事項
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徳川篤守は、日本で初めて飛行機で空を飛んだ徳川好敏の父親である。
- NDC
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- 刑法.刑事法 (326 9版)
- 個人伝記 (289)
- 参考資料
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- 【資料1】『空の先駆者徳川好敏』(奥田鉱一郎著 芙蓉書房 1986)
- 【資料2】千田稔「爵位返上の諸相」(『歴史と旅』27巻6号 2000.4)p88-93
- 【資料3】「徳川篤守の上告事件 私書偽造詐欺取財事件、17日に大審院で判決」(『読売新聞』1902年4月16日 朝刊)p5
- 【資料4】「詐欺取財及び私文書偽造の徳川篤守ら3人に重禁固判決/大審院」(『読売新聞』1902年4月23日 朝刊)p4
- 【資料5】『大審院刑事判決録 第3巻』(新日本法規出版 1970)(9101153854)
- キーワード
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- 徳川 篤守(トクガワ アツモリ)
- 徳川 好敏(トクガワ ヨシトシ)
- 清水 篤守(シミズ アツモリ)
- 訴訟(ソショウ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000260349