レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020年5月10日
- 登録日時
- 2020/09/10 15:34
- 更新日時
- 2021/01/25 16:37
- 管理番号
- 中央-1-0021407
- 質問
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解決
奴隷制が崩壊した理由を経済的な観点から調べたいのだが、記述してある資料があれば教えてほしい。
- 回答
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以下の資料を紹介した。
・『資本主義と奴隷制 経済史から見た黒人奴隷制の発生と崩壊』エリック・ウィリアムズ/著 山本伸/監訳 明石書店 2004年
・「18世紀末イギリス奴隷貿易廃止の正当化」藤川沙海/著(『パブリック・ヒストリー』14, 33-50, 2017年 大阪大学西洋史学会)
・「イギリス大西洋奴隷貿易廃止のための政治経済学」児島秀樹/著 (明星大学『経済学研究紀要』第36巻第1号 2004年12月)
- 回答プロセス
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(1)『資本主義と奴隷制 経済史から見た黒人奴隷制の発生と崩壊』エリック・ウィリアムズ/著 山本伸/監訳 明石書店 2004年
「まえがき」に「イングランドにおける産業革命のための資金供給に果たした黒人奴隷制および奴隷貿易の役割と、その奴隷制を崩壊させることになった成熟した産業資本主義そのものに対する厳密な経済学的研究」と書かれている。「黒人奴隷制の起源」から始まり、「イギリス産業と三角貿易」「アメリカ独立革命」など、13章にわたって解説されている。
(2)「18世紀末イギリス奴隷貿易廃止の正当化」藤川沙海/著(『パブリック・ヒストリー』14, 33-50, 2017年 大阪大学西洋史学会)
反奴隷制運動の前段階である反奴隷貿易運動に重点を置き、奴隷貿易廃止運動が大衆運動として発達した過程について考察されている。p47には、「1820年代になると“自由”であることは“経済性”と “人道性”を兼ね備えたものであるという議論が活発化した。この中身は、奴隷を自由にすることは倫理的に良いことであると同時に、自由労働や自由貿易は、奴隷労働に基づく保護貿易よりも経済効率が良く、イギリスの国益にとってもプラスであるというものだった」という記述がある。
この資料は、CiNiiのホームページから閲覧することができる。
(3)「イギリス大西洋奴隷貿易廃止のための政治経済学」児島秀樹/著 明星大学『経済学研究紀要』第36巻第1号(2004年12月)
「1.はじめに」の最終段落には
"しかし、フォックスは成長してきた市場経済を足場として、廃止に向けた大衆運動を展開し、バークは議会の権威による上からの廃止、制度的改革の道を探った。"
という記述がある。
また、「5.まとめ」の後ろから2段落目では
"通常、奴隷貿易に利益があったか、否か、だけが、奴隷貿易廃止の「経済的原因」として理解されることが多い。しかし、経済それ自体が一つの国内秩序、経済体制から、なりたっている。"
という記述がある。
この論文は、明星大学経済学部経済学科の児島秀樹教授と明星大学の学生によって運営されている「児島研究室」というウェブサイトにあり、
下記URL「児島の発表論文等」9番目のリンクから確認できる。
http://www.hino.meisei-u.ac.jp/econ/koma/koji/_tYjh4m1.html
(ホームページ最終確認日:2021年1月25日)
- 事前調査事項
- NDC
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- 経済史.事情.経済体制 (332 10版)
- 参考資料
- キーワード
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- 奴隷
- 経済
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000286942