レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 高崎市立中央図書館 (2310031) | 管理番号 (Control number) | 0131224687 | ||||||||||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2017年01月06日 | 登録日時 (Registration date) | 2017年03月17日 13時13分 | 更新日時 (Last update) | 2017年03月31日 18時33分 | ||||||||||||
質問 (Question) | 貝合せのように、貝に絵を描く方法がのっている本はあるか。 | ||||||||||||||||
回答 (Answer) | “貝合わせ”とは、平安時代貴族社会で行われていた遊戯“あわせもの”のひとつで、持ち寄った貝の形や色を比べてその優劣を競うものでした。鎌倉時代 (平安時代末期という説もあり)になると、この“貝合わせ”が変化して、“貝覆い”という遊戯へと発展しました。 “貝覆い”は二枚貝の片方を地(ぢ)貝、もう片方を出(で・だし)貝という風に分け、地貝を内側が見えないように並べ、自分の持っている出貝を一つ出し、貝の形や模様からそれに合う地貝を探す、トランプの神経衰弱と似た遊戯です。 最初は貝には何も描かれていなかったようですが、後に貝を合わせやすいよう、貝殻の内側に対になる絵や、和歌の上の句・下の句を分けて描かれました。 このように、“貝合わせ”と“貝覆い”は異なる遊戯でしたが、やがて両者の区別が不明瞭になり、“貝覆い”も“貝合わせ”と呼ばれるようになりました。 “貝覆い”の道具は江戸時代になると、上流階級における婚礼道具として使われるようになり、実家の権勢と財力を誇示するため、貝とその容器である“貝桶”に豪華な装飾がほどこされました。 現代でも、ひな人形の飾り道具や、着物・工芸品の吉祥文様として、この“貝桶”が使われています。 当館の所蔵資料の中から、以下の資料を紹介いたしました。 <絵の描き方について> アクリル絵の具を使って描いている資料が多くあった。アクリル絵の具は乾くとかたまり、水をはじくため使用されることが多いと思われる。 きせつの行事あそび p.8 こんな遊びもしてみよう 貝あわせ遊び 貝の内側を金色のアクリル絵の具で塗り、そこにシールを貼る方法を紹介している 春夏秋冬たのしい遊び100 p.8 春のあそび 貝合わせ平安お姫様! 上記の「きせつの行事あそび」と同じ方法のほか、アクリル絵の具の代わりにスプレー式ペンキで色をつける方法も紹介されている 海の工作図鑑 p.28-29 貝がら絵合わせ 油性ペンやアクリル絵の具を使って絵を描く方法が紹介されている つくってあそぼう・工作ランド6 p.40 30 貝がらのしんけいすいじゃく 油性フェルトペンを使って絵を描く方法が紹介されている 愉しい王朝継ぎ紙 p.41-43 優雅な平安貴族の遊び、貝合わせ 貝の内側に継ぎ紙で装飾する方法が紹介されている 貝合わせ・貝覆いの解説あり 貝の洗い方について、あまり強い洗剤を使わないなど丁寧に解説されている <貝の処理方法について> かいのどうぶつえん p.39-40 貝の処理 簡単な貝の処理方法について解説あり 貝の種類(スガイ・二枚貝・カキ・タカラガイ)ごとの肉抜きの処理方法あり 貝 p.116-117 貝の標本の作り方 手順写真とともに処理方法の解説あり 貝の種類ごと(二枚貝・巻貝)の肉抜きについて解説あり | ||||||||||||||||
回答プロセス (Answering process) | “貝合わせ”に関する資料にあたるが、具体的に貝に絵を描く方法についての記載は見当たらなかった。さらに、貝(生物学)や、工作・絵画の分野からも資料にあたる。 以下の資料には、“貝合わせ”や“貝覆い”についての記述があった。 王朝のあそび カラー図版 p.21-25 貝合せ 白畑よし著 p.167-169 江戸の遊戯 貝合わせ調度 p.4 口絵 合わせものと貝覆い p.10-45 図柄(物語・人物・名所・動物・魚貝・花鳥・草花・器物)について解説あり 貝Ⅲ ハマグリの博物誌 貝殻の利用方法の一つとして、“貝覆い”・“貝合わせ”の解説あり(p.780-784) 合わせもの その他の合わせもの p.51-52 “貝合わせ”の記述がある文献として、「類聚歌合」と「山槐日記」が紹介されている また、“貝合わせ”を主題にした短編があるとして「堤中納言物語」が挙げられている 継承と変化 p.105-106, 109 催された“貝合わせ”について記述のある文献として「二水記」が紹介されている 「貝尽浦の錦」に載っている貝合せの図が引用されている 「実隆公記」には“貝覆い”の貝の裏に和歌を書いたと記述があり、後の歌かるたへとつながる珍しい記事として紹介されている かるたの登場(一) p.133-139 「宣胤卿記」には貝の内側の装飾として、絵だけでなく和歌なども書かれたとの記述がある “貝合わせ”・“貝覆い”の貝が紙へと移行していく過程と、“貝合わせ”の影響を受けた絵合わせかるたについて解説あり かるた 「貝覆い」から「絵合せかるた」へ p.123-125 “貝覆い”と絵合せかるたの関係について解説あり カルタ 貝覆から歌カルタへ p.6 以下の資料には“貝合わせ”・“貝覆い”の絵の描き方の記述はなかった。 貝と文明 おしゃべりな貝 貝のストーリー 貝類学 貝類 貝 その文化と美 貝の図鑑採集と標本の作り方 殻をもった動物 見て、さわって、しらべて、つくろう! 1 見て、さわって、しらべて、つくろう! 8 しぜんあそび 自然であそぶ ぼくらの大冒険ハンドブック 絵画制作入門 美味しい絵の描き方 よくわかる今の絵画材料 女性史は可能か 昭和の結婚 商用DB「ざっさくプラス」を“貝合わせ”“貝覆い”などで検索をしたが、当館所蔵資料の範囲では見当たらなかった。 | ||||||||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | |||||||||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | |||||||||||||||||
寄与者 (Contributor) | |||||||||||||||||
備考 (Notes) | 2017.3.31:回答および回答プロセスを修正。 | ||||||||||||||||
調査種別 (Type of search) | 文献紹介 | 内容種別 (Type of subject) | 質問者区分 (Category of questioner) | 社会人 | |||||||||||||
登録番号 (Registration number) | 1000212129 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |