レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022/05/04
- 登録日時
- 2022/08/03 00:30
- 更新日時
- 2022/08/03 00:30
- 管理番号
- 牛久-1854
- 質問
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解決
浮世絵では、雨を線で表現している絵があるが、それ以前の西洋画では、雨を線で表現している絵はないように思う。雨を線で表現した浮世絵師についてと、浮世絵や西洋画が、雨を線で表すことについて、記述のある資料はないか。
- 回答
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○雨の風景を数多く描いた浮世絵師は安藤(歌川)広重と判明。安藤広重の雨の表現について記載された次の資料を紹介。
・『雨の事典』(レインドロップス編著/北斗出版/2001.12)…p72-73
・『知識ゼロからの日本絵画入門』(安河内眞美/幻冬舎/2009.2)…p110
・『図解日本の絵画』(守屋正彦監修/東京美術/2014.4)…p136
○浮世絵の雨の表現と西洋画について、次の資料を紹介。
・『もっと知りたい浮世絵』(田辺昌子/東京美術/2019.12)…p82
・『三流の維新一流の江戸』(原田伊織/ダイヤモンド社/2016.12)…p23-24
- 回答プロセス
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1. 一般件名「雨」で自館資料検索。
(1)『雨の事典』(レインドロップス編著/北斗出版/2001.12)
…p72-73「1-8-2:雨の浮世絵」の項に、雨をテーマにした絵画は「肉筆画よりは浮世絵版画において、もっともよく描かれるようになったのは、彫刻によるきっぱりとした刻線が雨を表現するのに適していたためだろう」と記載あり。 雨の風景を数多く描いた浮世絵師に歌川広重をあげ、「雨線の表現は、板刻の高度な技術のなせる技」と記載あり。雨を描いた次の3点の挿図あり。
・『東京名所』の「日本橋の白雨」
・『江戸名所百景』の「大はしあたけの夕立」
・『東海道五十三次の内』の「荘野」
2. (1)より、フリーワード「広重」&形態区分「一般芸術」で自館資料検索。
(2)『広重と北斎の東海道五十三次と浮世絵名品展』(安藤広重ほか画/イー・エム・アイ・ネットワーク/2006)
…p54-55「3ゴッホと広重」にゴッホが広重の「大はしあたけの夕立」に感銘を受けたことは記されているが、雨を表現する記述はなし。次の2点の挿図あり。
・ファンセント・ファン・ゴッホ 雨の中の橋
・179 歌川広重 名所江戸百景 大はしあたけの夕立
(3)『広重名所江戸百景』(安藤広重/小学館/2007.8)
…p206-207「広重に魅了された海外の作家たち」の項に、フェリックス・ヴァロットンの「にわか雨」が「大はしあたけの夕立」を彷彿させるとあるが、雨を表現する記述はなし。次の1点の挿図あり。
・挿図47 ゴッホ 日本趣味・雨の大橋(広重による)
3. 請求記号「721」の棚をブラウジング。
(4)『知識ゼロからの日本絵画入門』(安河内眞美/幻冬舎/2009.2)
…p110「歌川広重 名所江戸百景 大はしあたけの夕立」の項に、「雨だれ一本一本までを、版木を掘る技術の高さ」と記述あり。西洋画への影響の記述はなし。「ゴッホが、油絵で模写していることでも有名」とあり、次の1点の挿図あり。
・名所江戸百景 大はしあたけの夕立 1857(安政4)年
(5)『図解日本の絵画』(守屋正彦監修/東京美術/2014.4)
…p136「広重の風景画」の項に、「きわめて細い線で雨を描く。木版画で雨を表現することが難しく、高度な摺師の技術によってなしえたものである」と記載あり。西洋画への影響の記述はなし。
(6)『世界でいちばん素敵な浮世絵の教室』(岡部昌幸監修/三才ブックス/2020.8)
…p88-91「Q浮世絵は西洋絵画にどのような影響を与えたの? A西洋にはなかった独特の構図や描線が、取り入れられました」とはあるが、雨を表現する記述はなし。
(7)『もっと知りたい浮世絵』(田辺昌子/東京美術/2019.12)
…p82「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」の項に、「雨を前面に描くことなどが西洋の目には驚きをもって迎えられ、フィンセント・ファン・ゴッホがこの図を模写したことでも知られている」と記載あり。次の挿図あり。
・名所江戸百景 大はしあたけの夕立
4. 請求記号「210」の棚をブラウジング。
(8)『三流の維新一流の江戸』(原田伊織/ダイヤモンド社/2016.12)
…p23-24「そもそも『雨を描く』という発想が、西洋絵画には長く存在しなかったのである。実はこれを試みて成功したのは、浮世絵の安藤広重(歌川広重)であった。雨を線で描いてみせたのである」「ゴッホの模写としても、この『大はし』の夕立が有名である。広重の描いたやや右上から左下へ流れる線が実に細密であるのに対して、模写という前提でみてもゴッホのそれは粗くて線とはいい難い」と記載あり。
→以上より、安藤(歌川)広重の浮世絵の雨の表現について書かれた(1)(4)(5)の資料を紹介する。浮世絵の雨の表現と西洋画については(7)(8)の資料を紹介する。
- 事前調査事項
- NDC
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- 気象学 (451 10版)
- 日本画 (721 10版)
- 日本史 (210 10版)
- 参考資料
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- B10293009 雨の事典 レインドロップス/編著 北斗出版 2001.12 451.64 9784894740211
- B10590937 知識ゼロからの日本絵画入門 安河内眞美/著 幻冬舎 2009.2 721 978-4-344-90143-8
- B10653080 図解日本の絵画 守屋正彦/監修 東京美術 2014.4 721 978-4-8087-0986-0
- B10843016 もっと知りたい浮世絵 田辺昌子/著 東京美術 2019.12 721.8 978-4-8087-1154-2
- B10700656 三流の維新一流の江戸 原田伊織/著 ダイヤモンド社 2016.12 210.5 978-4-478-10032-5
- キーワード
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- 雨
- 浮世絵
- 安藤広重
- 歌川広重
- 西洋画
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000319628