レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 山梨県立図書館 (2110005) | 管理番号 (Control number) | 9000022752 | ||||||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2016年11月04日 | 登録日時 (Registration date) | 2019年01月29日 13時03分 | 更新日時 (Last update) | 2019年01月30日 17時43分 | ||||||||
質問 (Question) | 旧国名の「甲斐」という呼び名の由来にはどのような説があるか。古くは人々が行き交う場所であったため、交通の結節点としての“交い”が転じ、甲斐になったという説もあると聞いた。 | ||||||||||||
回答 (Answer) | 「甲斐」という名称は『古事記』『日本書記』『国造本紀』にも見え、「柯彼」(『日本書記』)、「歌斐」(『続日本紀』)、「介賓」(『風土記』)、「加比」(『和名抄』)などとも表記されている。その語源については以下の説がある。 1.山と山の(はざま)を意味する「峡」。 本居宣長が甲斐国在住の門人萩原元克の『甲斐名勝志』の説に拠って『古事記伝』に記すなど、以前はこれが通説だった。しかし、橋本進吉氏の上代特殊仮名遣の研究から、甲斐の「斐」がヒの乙類であるのに対し、峡=賀比・可比の「比」はヒの甲類であり、発音が合わないことが明らかとなり、この説は成立し難いこととなった。 2.「交ひ」=境界。甲斐の枕詞「なまよみ」は半黄泉で、黄泉の国への境界になっているのが甲斐国であり、山隠る地勢を死者への国と認識したとによる命名(西宮一民氏の説)。 3.東海・東山両道の結節点が、酒折宮に象徴される甲斐国であった。ヤマト政権の東国支配における重要な結節点の行政軍事上の役割が「交ひ」、すなわち甲斐国の原義(平川南氏の説)。 そのほかの説として、 4.馬を飼う「かい」。甲斐の黒駒もあり、馬を飼っていたことから(『大八州記』)。 5.「斐」=木と実、「甲」=このみ。他の国より優れて果実の美しい国。但し、この説は俗説であり、誤りであるとされている。(『古事類苑』)。 | ||||||||||||
回答プロセス (Answering process) | 1.自館の既存レファレンスに同様の事例あり。「「甲斐」の地名の由来について」参考資料にあたる。 2.山梨県の歴史、地名に関する資料を見る。 『山梨県史 概説編 山梨県のあゆみ』に記載の平川南氏の説が問合せのものと思われる。出典を探す。自館システムではヒットせず、インターネット検索で山梨県立博物館の研究報告がヒット。記載あり。 3.「山梨日日新聞」に平川氏の連載「古代史の窓」等があり、DBにより検索、関連記事あり。 | ||||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | |||||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) |
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照会先 (Institution or person inquired for advice) | |||||||||||||
寄与者 (Contributor) | |||||||||||||
備考 (Notes) | 「山梨日日新聞」2006.1.12(11)掲載 「甲斐」国号の語源(平川南) 「山梨日日新聞」2009.7.1(12),9.22(8),2010.2.26(13),5.29(13),2013.2.1(13),7.5(13),2018.3.29(13)連載 古代史の窓(平川南) | ||||||||||||
調査種別 (Type of search) | 事実調査 | 内容種別 (Type of subject) | 郷土 地名 | 質問者区分 (Category of questioner) | 社会人 | ||||||||
登録番号 (Registration number) | 1000250778 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |