レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年05月31日
- 登録日時
- 2019/09/27 16:10
- 更新日時
- 2020/01/07 13:48
- 管理番号
- 島根郷2019-05-001
- 質問
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解決
明治時代の廃藩置県のとき、藩知事(旧藩主)への東京帰京命令に対して反対運動が起こったらしい。どの藩(県)で起こったか。
- 回答
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当館所蔵資料より、下記の資料を紹介し回答。
母里藩
資料1:p41「島根県の成立」。廃藩置県によって母里藩は母里県となり、藩知事(旧藩主)には政府から東京へ移住するように通達が出る。母里藩(県)の旧藩知事が家財を全て売却し東京へ出発するに際して、それに反対する農民の示威が起こった。農民は旧藩知事の東京転住に反対して、光現寺に集会して、土地献上や献金を行うので母里に滞留してもらいたいと決議した。母里県はこのような農民の動静に驚き、島根県参事に応援を頼み説諭してもらい、農民もようやく納得して解散したという。
資料2:p488-490「廃藩置県と県内状況」の「3 藩知事留任運動」に記述あり。【資料1】と内容同じ。
資料3:第12章第9節「廃藩置県」(p21-22)。明治4年7月3日に政府は藩を廃して県と改めたことにより、母里藩と母里藩庁知事の名称は改められ、母里県・県知事と改称された。7月14日には各藩主一同が東京に転居すべしと命じられ、母里県知事・松平直哉は家財道具一切を売却し8月29日に東京へ出発した。夫人は9月15日が両入八幡宮の祭日であったことから参拝後に出発した。母里村民はこれを深く憂い、藩主が東京に転住するのは藩主の自己の意であるとして、8月24日に光現寺に村民が大相談をなし、約400名の村民が集まり土地の献上・献金などをして引き留めんと決議した。しかし朝命にしていかんとも成り難し旨を聞かされて、遂には無駄に終わった、とする。
- 回答プロセス
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松江藩-大きな反対運動は見られない。
資料4:p857-858「定安東京貫属を命ぜられる」「離別上京」。松平定安は明治4年2月20日に東京貫属を命ぜられ、9月中までに帰京すべしとの命令があった。藩内では士庶問わず惜別の情に堪えず、各金銀を拠してその意を表したが、定安は8月にまず重臣を集めて物を賜い、惜別の辞を告げた。また町年寄りや各郡の大庄屋・郡市民にまで別辞を為した。9月17日の出発に際しては、士卒および僧侶等およそ二千人が国境まで奉送して別れを惜しんだという。
広瀬藩-大きな反対運動は見られない。『広瀬町史』など記述なし。
浜田藩-慶応2年、長州軍の進軍により浜田藩主は浜田城を焼却して退城したため、浜田藩の領地はこれ以後は長州預かりとなる。
資料5:浜田を退却した浜田藩主・藩士は飛び領地の美作・鶴田へ移り鶴田藩を立てる。p344-350「鶴田藩の終末」。鶴田藩も鶴田県となり、藩主(藩知事)は県知事になる。しかし他藩と同様に県知事の帰京命令が出され、8月3日に上京日程が発表、8月23日に「従四位様」(県知事)が出立、同月24日に御家族様一同が出立することとなった。8月23日卯ノ刻(午前六時)に従四位様は東京居住に付、御供揃えの上、発途された、とあり。
津和野藩-大きな反対運動は見られない。
資料5:p513-524「全国諸藩に先駆け廃藩を建議」。津和野藩は廃藩を推進する立場を取っていた。明治4年4月27日に藩主・亀井玆監は「僚佐(補佐役)に諭すの書」「藩士へ諭すの書」を告諭、それに対し藩の重臣はじめ史生らまで35名が連署で藩命に従うと復申した。5月22日、藩主・玆監は政府へ「廃藩の建議書」と藩知事の辞表を提出、6月25日に勅許。その後の7月14日に全国へ廃藩置県の詔書が下され、9月10日亀井家は家族をあげて津和野を後にした、とされる。
- 事前調査事項
- NDC
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- 中国地方 (217)
- 参考資料
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【資料1】島根県 編 , 島根県. 新修島根県史 2. 臨川書店, 1984.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I069447897-00 (当館請求記号 092/63/2 ※貸出禁止資料) -
【資料2】伯太町教育委員会 編 , 伯太町教育委員会. 伯太町誌 上巻. 伯太町教育委員会, 2001.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I069531518-00 (当館請求記号 092.1/200/1 ※貸出禁止資料) -
【資料3】長谷益次郎 編 , 長谷益次郎. 郷土母里 第一輯. 母里村尋常高等小学校, 1937.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I069412219-00 (当館請求記号 092.91/20 ※貸出禁止資料) -
【資料4】上野富太郎, 野津静一郎 編纂 , 上野, 富太郎 , 野津, 静一郎. 松江市誌. 名著出版, 1973.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001219712-00 (当館請求記号 092.92/3 ※貸出禁止資料) -
【資料5】須藤喜六 編 , 須藤喜六. 濱田藩雑記. 須藤喜六, 1981.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I069531924-00 (当館請求記号 092.6/38 ※貸出禁止資料) -
【資料6】津和野町教育委員会 (島根県). 津和野町史 第4巻. 津和野町教育委員会, 2005.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000007949739-00 (当館請求記号 郷貸出217.3/ツ/4)
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【資料1】島根県 編 , 島根県. 新修島根県史 2. 臨川書店, 1984.
- キーワード
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- 廃藩置県
- 母里藩
- 藩知事 知藩事
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000261837