レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2007年10月26日
- 登録日時
- 2007/11/11 11:02
- 更新日時
- 2009/06/11 15:29
- 管理番号
- 福井県図-2007-1026
- 質問
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解決
法事で、故人の亡くなった翌年を一周忌というのに対し、翌々年はなぜ三回忌というか。
- 回答
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明解に由来を説くものはみつけられなかった(数え年=年目を迎える)。しかし、死の翌年の法事が特別かつ本来的であること。また、儒教の教えと関連して、翌年(一周忌)と翌々年(三回忌)の法事があることなどは記されていた。なお、一周忌を一回忌とよんだり、三回忌を三周忌と呼ぶこともあるといい、両者の区別は厳密なものではないこともわかった。
- 回答プロセス
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『日本民俗大辞典』巻末索引で「一周忌」を検索。
立項はないが「十三仏」「新口」「追善供養」「年忌」の項に「一周忌」の記載があることが判明。
このうち「年忌」の項には、「一周忌(ムカワリ)・三回忌・七回忌・十三回忌・十七回忌・二十五回忌・二十七回忌・三十三回忌・五十回忌・百回忌」とあり、
最初の年忌が「周忌」で次からが「回忌」と記されている。しかしその由来までは書いていない。ただし「一周忌とそれまでの月忌が一般的であった」との
記述から、本来的な法事が一年目の「一周忌」であったという記載が見られた。
『日本風俗事典』「年忌」の項でも「とくに一年目を一周忌として重視し、それ以後はかぞえで三年忌・七年忌・・・年忌のことを回帰とも呼び…」とあり、
一年目だけが特別で、呼び名も異なることがわかる。
『仏教日常辞典』の「年忌」の項には
「一年目を一周忌とし、満二年目を三回忌とするが、これは『礼記』の小祥忌(一周忌)、大祥忌(三回忌)に由来する。」とあり、儒教的な由来のあることがわかる。
次に『仏事のしきたり』p110「法事の日の数え方」によると「(亡くなった)翌年の祥月命日、つまり亡くなったその月のその日に一周忌を営みます。そして、さらに翌年、つまり没後満二年目が、三年目を迎えるということで三回忌。」とあり、翌々年の命日からは、満○年が過ぎ、○年+1年目を迎えるという意味で、○+1回忌とよぶことが書かれている。
しかし、『例文仏教語大辞典』の「回忌」の項には「死後満一年目を一周忌または一回忌といい」という記載も見られ、必ずしもこの「迎える」という解釈が必ずしも成り立たないこと、また「三回忌」の項には「三年忌・三周忌とも。」とあり、あまり回忌と周忌の使い分けは厳密なものではないこともわかる。
一般的には「回忌」の方は『日本国語大辞典 第二版』「三回忌」の項「数えて三年目にあたる」という「数え年」に由来すると理解される。(が、なぜ一年目だけを「周忌」というかは不明)
【2009年6月11日補記】
三回忌について、詳しく解説がありましたので、補記します。
加地伸行/著 『儒教とは何か』1990.10 中央公論社(中公新書)ISBN:4-12-100989-4
p.58~
(儒教には)「礼制(喪礼)として「三年の喪」というものがある。これは、父が亡くなったとき、子が喪に服する期間のことである。」
(中略)
「この「三年」の実態について二十五個月とする説と、二十七個月とする説との両説があるが、前者として解する場合が通例となっている。その二十五個月とは、足し掛けであるから、実質的には満二年プラス一日のことである。ところで、儒教では、死後の日数の数え方は、死亡日の前日から数える(『礼記』曲礼上篇)。だから三年の喪とは、満二年目の忌日(命日)ということであって、けっして満三年目ではない。仏教はこれを取り入れて三回忌を行なう。三回忌を満三年目ではなくて満二年目に行なうのは、儒教における三年の喪という重要は行事の模倣である。このことは、一般人にはほとんど知られていない。
- 事前調査事項
- NDC
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- 仏会 (186 8版)
- 風俗習慣.民俗学.民族学 (380 8版)
- 参考資料
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- 『日本民俗大辞典』2000年、吉川弘文館 (382.1/ニホン)
- 『日本風俗史事典』1979年、弘文堂 (382/N13/1)
- 『仏教日常辞典』1994年、太陽出版 (180.3/マ)
- 『仏事のしきたり』1997年、ひかりにくに (186/フツキ)
- 『例文仏教語大辞典』1997年、小学館 (180.3/イシタ)
- キーワード
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- 一周忌
- 三回忌
- 年忌
- 法要
- 仏事
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000039224