レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年09月12日
- 登録日時
- 2018/12/12 00:30
- 更新日時
- 2019/12/01 00:30
- 管理番号
- 3A18005201
- 質問
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解決
江戸時代大坂の俳人・松木淡々を祖とする淡々門の名号「八千房(はっせんぼう)」について、初代から今までの「八千房」の名前や経歴を知りたい。
- 回答
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大坂俳壇の名号で江戸期から続く「八千房」は、昭和初の九世(または十世)八千房・支仙の逝去によって廃絶しています。
初代から九世まで代々の八千房の名前は、『俳文学大辞典』(角川学芸出版 2008.1)p757「八千房」の項によると、以下のとおりです。
初代 舎桲(しゃぼつ)
二世 竹下駝岳(だがく)
三世 石井屋烏(おくう)
四世 津民(小森)一肖(いっしょう)
五世 相馬其山(きざん)
六世 肖年(しょうねん)
七世 野間流美(りゅうび)
八世 土居無腸(むちょう)
九世 石崎支仙(しせん)
参考資料での表記は、次のようになっています。
『大阪の俳蹟』(飯田正一/著 大阪俳文学研究会 1971)
の瑞龍寺(鉄眼寺)の章p128-131には、歴代八千房の墓や碑が集められた「八千房墓碑群」の各墓碑銘位置と碑文、没年について詳述し、「八千房は、舎桲にはじまり十世までつづき(中略)、どうしたことか、九世の墓碑は見えない。」と書かれています。
一世 舎桲/二世 駝岳/三世 屋烏/四世 一肖/五世 其山/六世 肖年/七世 流美/八世 無腸/十世 支仙
p131の支仙碑の碑文は「十世八千房支仙碑」です。
同章内のp125-126には同寺にある松木淡々の墓について書かれています。
『大阪墓碑人物事典』(近松 誉文/著 東方出版 1995.11)p186-187
浪速区の瑞龍寺(鉄眼寺)の項に「八千房代々」の紹介文「江戸中期以降の俳人(中略)昭和初めの八千房支仙まで十代続いた」とあり、「八千房墓域に九世を除く九墓がある」としています。
『俳諧史の分岐点』(桜井 武次郎/著 和泉書院, 2004.6)
p98-101「八千房と『青陽帖』」で
一世 舎桲/二世 駝岳/三世 屋烏/四世 一肖/五世 其山/六世 肖年/七世 流美/八世 無腸/十世 支仙
p100で「八千房九世は明らかでなく、十世を支仙が襲う」と支仙を十世としつつも、同ページの「付記」で、大正14年の八千房系俳誌に「九世八千房石崎支仙翁と相談の上」の文言があることから「墓石に十世とするのは、淡々から算えて十世のことか、誰かを歴代宗匠として追贈したか」と解説を加えています。
『俳文学大辞典』(角川学芸出版 2008.1)p757
「八千房(はっせんぼう)」の項に、「一世 舎桲(しゃぼつ)、二世 竹下駝岳(だがく)、三世 石井屋烏(おくう)、四世 津民(小森)一肖(いっしょう)、五世 相馬其山(きざん)、六世 肖年(しょうねん)、七世 野間流美(りゅうび)、八世 土居無腸(むちょう)、九世 石崎支仙(しせん)と受け継がれたが、昭和になって廃絶した。なお、淡々を一世とし、順に一世ずつすらして半翁何世と称することもある」と記述があります。
(2)代々の八千房の経歴等
『大阪の芭蕉俳蹟』(三善 貞司/著 松籟社 1991.2)
p136-146「鉄眼寺 芭蕉墓 其角墓 淡々墓 八千房代々墓」の項に、祖である松木淡々から、代々の八千房の人となりや作風についての解説があります。
商用データベース「JapanKnowledge」内「日本人名大辞典」では代々の八千房のうち、次の人物の項目が見つかりました。生没年、簡単な経歴、姓氏、別号が書かれています。
一世「舎桲」
二世「八千房駝岳」「五竹庵木僊」
三世「八千房屋烏」「石井屋烏」「屋烏」
四世「八千房一肖」「八千房淡叟」「一肖」「小森駝岳」
七世 「八千房流美」「流美」
五世其山、六世肖年、八世無腸、九世(十世)支仙については該当なしでした。
『国書人名辞典』(市古 貞次/[ほか]編 岩波書店 1993)に、一世舎桲、二世駝岳、三世屋烏、四世一肖について、生没年、名号、経歴、著作、参考文献等が紹介されています。
『国書人名辞典 第1巻』p383「屋烏」
『国書人名辞典 第2巻』p472「舎桲」
『国書人名辞典 第3巻』p136「駝岳」(←八千房二世の方)、p137「駝岳」(←八千房四世・一肖の別号)
『大阪人物誌 正編』(石田 誠太郎/著 臨川書店 1974)
p.80-81に「八千房舎悖」「八千房屋島」「八千房一肖」の記述があります。
『大阪人物誌 続編』(石田 誠太郎/著 臨川書店 思文閣(発売) 1974)
p.51-52に「八千房屋島」「八千房其山」「八千房肖年」「八千房流美」の記述があります。
『中之嶌誌』(中之島尋常小学校創立六十五周年中之島幼稚園創立五十周年記念会/編纂 臨川書店 1974.1)p.625-629に「七世八千房柳美」、「土居無腸居子」(八世八千房)の記述があります。
『東区史 第5巻 人物篇』(大阪市東区役所/[編] 清文堂出版 1982)
p.534-535に「八千房屋島」(三世の八千房)略歴があります。
- 回答プロセス
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1.大阪府立図書館「おおさかポータル」(http://www.library.pref.osaka.jp/site/osakaportal/)(2019.9.9確認)でキーワード“八千房”を検索し、資料1が見つかる。
2.大阪関係の人物辞典をブラウジング。資料2、資料3に八千房のうち何人かの記述あり。
3.「大阪関係資料目次検索」(館内限定データベース)で“八千房”を全文検索し、資料4、資料5が見つかる。
4.俳諧関係の辞典をブラウンジング。資料6が見つかる。
5.資料6の「八千房」の項目で参考資料として紹介されていた『大阪の俳蹟』(資料7)の内容を確認。
6.当館OPACで件名“瑞龍寺(鉄眼寺)”を検索するが、有用なものはなし。
7.Googleブックス(https://books.google.co.jp/)(2019.9.9確認)で“八千房”を検索し、資料8、資料9が見つける。
8.『国書人名事典』各巻を確認(資料10、11、12)
9.商用データベース「JapanKnowledge」で“八千房”を全文検索(資料13)
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 9版)
- 近畿地方 (216 9版)
- 参考資料
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- 当館書誌ID <0000492268> 大阪墓碑人物事典 近松 誉文/著 東方出版 1995.11 9784885914584 (資料1)
- 当館書誌ID <0000244947> 大阪人物誌 正編 石田 誠太郎/著 思文閣(発売) 1974 (資料2)
- 当館書誌ID <0000244946> 大阪人物誌 続編 石田 誠太郎/著 思文閣(発売) 1974 (資料3)
- 当館書誌ID <0000301775> 中之嶌誌 中之島尋常小学校創立六十五周年中之島幼稚園創立五十周年記念会/編纂 臨川書店 1974.1 (資料4)
- 当館書誌ID <0000243048> 東区史 第5巻 人物篇 大阪市東区役所/[編] 清文堂出版 1982 (資料5)
- 当館書誌ID <0011577586> 俳文学大辞典 角川グループパブリッシング(発売) 2008.1 978-4-04-621961-9 (資料6)
- 当館書誌ID <0080170222> 大阪の俳蹟 飯田正一/著 大阪俳文学研究会 1971 (資料7)
- 当館書誌ID <0010801336> 俳諧史の分岐点(研究叢書 315) 桜井 武次郎/著 和泉書院 2004.6 9784757602687 (資料8)
- 当館書誌ID <0000227469> 大阪の芭蕉俳蹟 三善 貞司/著 松籟社 1991.2 9784879841148 (資料9)
- 当館書誌ID <0000361061> 国書人名辞典 第1巻 あ-か 市古 貞次/[ほか]編 岩波書店 1993.11 9784000800815 (資料10)
- 当館書誌ID <0000451236> 国書人名辞典 第2巻 き-す 市古 貞次/[ほか]編 岩波書店 1995.5 9784000800822 (資料11)
- 当館書誌ID <0000583933> 国書人名辞典 第3巻 せ-の 市古 貞次/[ほか]編 岩波書店 1996.11 9784000800839 (資料12)
- 商用データベース「JapanKnowledge」(2019.9.9確認) (資料13)
- キーワード
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- 八千房
- 松木淡々
- 大坂俳壇
- 上方俳壇
- 舎桲(しゃぼつ)
- 駝岳
- 五竹庵木僊
- 屋烏
- 一肖
- 淡叟
- 小森駝岳
- 其山
- 肖年
- 流美
- 無腸
- 支仙
- 鉄眼寺
- 瑞龍寺
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000248164