レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2019年09月21日
- 登録日時
- 2020/03/29 09:22
- 更新日時
- 2020/03/29 09:31
- 管理番号
- 千県西-2019-0012
- 質問
-
解決
イギリスの水彩画家、ウィリアム・ヘンリー・ハント(William Henry Hunt 1790-1864)の画集はないか。インターネット情報ではなく紙資料で作品を見たい。画集以外にも、1点でもいいから作品が掲載されている資料が見たい。
- 回答
-
日本語資料ではないが、画集としては【資料1】があった。当館では所蔵していないため、所蔵している美術館図書室を紹介した。
また、画家単独の画集ではないが、作品が掲載されている図書として【資料2】から【資料8】を提供または紹介した。
- 回答プロセス
-
(1)NDLサーチ、CiNii Booksを画家名で検索したところ、以下の資料が見つかった。東京国立近代美術館アートライブラリと国立西洋美術館研究資料センターに所蔵あり。
【資料1】『William Henry Hunt:country people』(Joanna Selborne and Christina Payne Courtauld Gallery 2017)
コートールド・ギャラリー(ロンドン大学附属コートールド美術研究所の展示施設)の展覧会カタログ。この画家単独の展覧会カタログであることから、図版が複数あると予想される。
(後日、本資料を確認したところ、カラーの人物画が複数掲載されていた。解説では、「one of the key figures in 19c English watercolour painting」、「nickname ‘Bird’s Nest’ Hunt」と紹介されていた。)
(2)次に、以下の事典を確認した。
『西洋美術作品レファレンス事典 絵画篇19世紀中葉以前』(日外アソシエーツ株式会社編集 日外アソシエーツ 2005)
『西洋美術作品レファレンス事典 絵画篇19世紀印象派以降』(日外アソシエーツ株式会社編集 日外アソシエーツ 2005)
『西洋美術全集絵画索引』(東京都立中央図書館監修 日本図書館協会 1999)
この3点にはウィリアム・ヘンリー・ハントの掲載なし。
『美術家索引 西洋篇』(恵光院白編 日外アソシエーツ 1992)
p442に、展覧会図録である【資料2】『ラファエル前派とオックスフォード』(アート・ライフ編 アート・ライフ 1987)のp154に掲載あり、との情報があった。作品名の記載はなし。当館は未所蔵である。県内では開智国際大学図書館に所蔵あり。その他、国立国会図書館や他都道府県公共図書館、美術館図書室で所蔵している。
『西洋人物レファレンス事典 美術篇』(日外アソシエーツ株式会社編集 日外アソシエーツ 2012)p332に以下の人名辞典2点が記載されていた。
『岩波=ケンブリッジ世界人名辞典』(デイヴィド・クリスタル編集 岩波書店 1997)
p775 英1790-1864 イギリス風水彩画の創始者。ラスキンによって最高の水彩画家の一人と評価される、という記述あり。
『岩波西洋人名辞典』(岩波書店編集部編 岩波書店 1981)
p1094 王立美術学校に入学(1807)、John Varleyに師事、代表作は「少年と山羊」、という記述あり。
(3)次に、ALCサーチ(美術図書館横断検索https://alc.opac.jp/search/all/)を画家名で検索した。検索結果の中から、作品が掲載されている【資料3】を紹介、また、【資料3】を参考に「ヴィクトリア&アルバート美術館」で検索し、当館所蔵の【資料4】を確認した。
【資料3】『英国水彩画100選ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵』(郡山市立美術館 [ほか] 編集 「ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵 英国水彩画100選」カタログ委員会 1999)
国立新美術館アートライブラリーの内容注記によると、出品作家としてWilliam Henry Huntの記載あり。当館は未所蔵。福島県立図書館や東京国立近代美術館に所蔵あり。
(後日、本資料を確認したところ、カラー図版1点掲載あり。
p83 ウィリアム・ヘンリー・ハント
「プリムローズと鳥の巣 Primroses and Bird’s Nests」
また、ハントの特徴的なボディカラーの使い方について解説あり。「多作であっただけでなく、ハントはその優れた技術のために、おそらく当時最も高く評価された水彩画家のひとりであり、」と紹介されている。p140に作家紹介あり。)
【資料4】『英国のモダン・デザイン : インテリアにみる伝統と革新 : ヴィクトリア&アルバート美術館展』(宮島久雄編集 NHKきんきメディアプラン 1994)
確認したところ、カラー図版1点掲載あり。
p71「暗唱の勉強」
(4)他に、千葉県立図書館OPAC(蔵書検索システム)で、画家名のほか「イギリス」、「絵画」、「水彩画」、「ラスキン」などで検索した。
また、インターネット情報(多数の個人サイト及び産経新聞記事「単眼鏡で堪能「鳥の巣ハント」精緻な筆跡 ラファエル前派の軌跡展」https://www.sankei.com/life/news/191122/lif1911220020-n1.html)によると、2019年に三菱一号館美術館、あべのハルカス美術館で開催された「ラスキン生誕200年記念 ラファエル前派の軌跡展」においてこの画家の作品が出品されており、「鳥の巣ハント」として有名との解説があった、という記述が見つかった。
そこで、「ラファエル前派」に関連する資料にもあたった。(なお、この展覧会のカタログ【資料5】を確認したところ、カラー図版2点が掲載されていた。)
以下のとおり、【資料5】から【資料8】を確認した。
【資料5】『ラファエル前派の軌跡』(クリストファー・ニューオル、スティーヴン・ワイルドマン、河村錠一郎監修 アルティス編 アルティス 2019)
p86-87「ヨーロッパカヤクグリ(イワヒバリ属)の巣」、「果実-スピノサスモモとプラム」
国立国会図書館、国立新美術館ほか所蔵あり。
【資料6】『フィジカルとソーシャル ウィリアム・ホガースからエプスタインへ』(イギリス美術叢書 田中正之監修 ありな書房 2017)
p93に「花売り娘」の白黒図版あり。
【資料7】『水彩画の歴史 カラー版』(橋秀文監修・執筆 美術出版社 2001)
p113に「プリムローズと鳥の巣」の図版あり。
【資料8】『ラファエル前派の夢』(ティモシー・ヒルトン著 白水社 1992)
p83「桜草の花と鳥の巣」ロンドン・テートギャラリー
(ただし、この章ではウィリアム・ホルマン・ハントについて述べられており、索引にウィリアム・ヘンリー・ハントと表示されているこの「桜草の花と鳥の巣」という作品に関する記述は見つけられなかった。
なお、テート・ギャラリーのサイト(テート・オンラインhttps://www.tate.org.uk/art/artists/william-henry-hunt-286)で確認したところ、ウィリアム・ヘンリー・ハントの作品であることは確かなようである。作品名は「Primroses and Bird’s Nest」)
(5)以下の刊行情報を見つけたが、当館では未所蔵のため、作品が掲載されているかどうか不明。
『William Henry Hunt (1790-1864), life and work : with a catalogue』(John Witt Barrie & Jenkins 1982)
流通経済大学図書館に所蔵あり。形態事項として、ill. (some col.)と記載されているが、図版がどの程度あるかは不明。通販サイトAmazonには図版なしとのカスタマーレビューを見つけたが、いずれにせよ現物確認しないとわからない。
『ジョン・ラスキンとヴィクトリア朝の美術展』(栃木県立美術館 [ほか]編 1993)
『イギリスの水彩 1750-1900展 : バーミンガム市立美術館所蔵 ゲインズ,バラ,ターナーからラファエル前派へ』(岐阜県美術館[ほか]編 1991)
『イギリス絵画の350年: ヴィクトリア&アルバート美術館展』(潮江宏三編集 NHKきんきメディアプラン 1995)
『巨匠たちの英国水彩画展 マンチェスター大学ウィットワース美術館所蔵』(朝日新聞社編 朝日新聞社 2012)
(6)以下は内容を確認済み。関連情報や作品の掲載なし。
『博物学のロマンス』(リン・L.メリル著 国文社 2004)
「バロウズとラスキン」「博物学芸術とラファエル前派」の章があるが、記載なし。
『ラファエル前派の世界』(平松洋著 KADOKAWA 2013)
『ラファエル前派の画家たち』(スティーヴン・アダムズ著 リブロポート 1989)
ヘンリー・ハントを評価していたとされる「ジョン・ラスキン」の章があるが、記載なし。
『大系世界の美術 18 近代美術』(学研 1980)
『英国水彩画展』(千葉県立美術館 1991)
『ヴィクトリア&アルバート美術館』(SCALA/MISUZU美術館シリーズ8 エリザベス・エスティーヴ=コール[ほか著] みすず書房 1992)
『ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵英国ロマン主義絵画展』(ブレーントラスト編集 「ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵英国ロマン主義絵画展」カタログ委員会 2002)
『テイトギャラリー』(サイモン・ウイルスン著 ミュージアム図書 1996)
『NHK世界美術館紀行7 ロンドン・ナショナルギャラリー テート・ブリテン コートールド美術館』(NHK「世界美術館紀行」取材班編 日本放送出版協会 2005)
『イギリス美術史』(サイモン・ウイルソン著 岩崎美術社 2001)
『イギリス絵画小史』(ウィリアム・ゴーント著 中央書院 1982)
『西洋美術鑑賞解読図鑑』(サラ・カー=ゴム著 東洋書林 2004)
『西洋絵画史WHO'S WHO』(美術出版社 東京 1996)
『ランドスケープとモダニティ イギリス美術叢書4』(大石和欣著 ありな書房 2019)
p108 ミレイの写実画の解説のくだりで1カ所だけ「鳥の巣ハント」の呼称が出てくるが、作品掲載はなし。
(インターネット最終アクセス:2019年12月24日)
- 事前調査事項
- NDC
-
- 芸術史.美術史 (702 9版)
- 絵画 (720 9版)
- 参考資料
-
- 【資料1】『William Henry Hunt:country people』(Joanna Selborne and Christina Payne Courtauld Gallery 2017)
- 【資料2】『ラファエル前派とオックスフォード』(アート・ライフ編 アート・ライフ 1987)
- 【資料3】『英国水彩画100選ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵』(郡山市立美術館 [ほか] 編集 「ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵 英国水彩画100選」カタログ委員会 1999)
- 【資料4】『英国のモダン・デザイン : インテリアにみる伝統と革新 : ヴィクトリア&アルバート美術館展』(宮島久雄編集 NHKきんきメディアプラン 1994)(1101779910)
- 【資料5】『ラファエル前派の軌跡』(クリストファー・ニューオル、スティーヴン・ワイルドマン、河村錠一郎監修 アルティス編 アルティス 2019)
- 【資料6】『フィジカルとソーシャル ウィリアム・ホガースからエプスタインへ』(イギリス美術叢書 田中正之監修 ありな書房 2017)(2102821019)
- 【資料7】『水彩画の歴史 カラー版』(橋秀文監修・執筆 美術出版社 2001)(1101734392)
- 【資料8】『ラファエル前派の夢』(ティモシー・ヒルトン著 白水社 1992)(1101020657)
- キーワード
-
- ウィリアム・ヘンリー・ハント(William Henry Hunt)
- 絵画-イギリス
- イギリス美術
- 水彩画
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000279760