レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年06月7日
- 登録日時
- 2018/12/25 15:33
- 更新日時
- 2019/01/15 08:54
- 管理番号
- 相-180004
- 質問
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未解決
フラ・アンジェリコ等の受胎告知の絵の中では告知を受けるマリアが大天使の方に身をかがめつつ胸の前で手を交差させ、胸を包むかのようにしている姿が表現されることがあり、このポーズは古典バレエの「ジゼル」における「ウィリ」のポーズとしても出て来る。このポーズのヨーロッパもしくは(キリスト教の揺籃の地としての)中東での歴史と起源を示す資料や情報を紹介してほしい。
- 回答
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胸の前で手を交差するポーズの歴史や起源に関する資料は見つけられなかったが、このポーズについて記述のある資料は次の通り。
・『受胎告知』矢代幸雄著 新潮社 1973「第十五章 受胎告知の造形的表現」のp.176~178に両手を胸に十字に組み合わせることについて「胸に手を組み合わせることは(中略)より高きものの前に恭順を表わす場合に、イタリアの少女等が今もなおやっている自然の仕草」などの記述あり。
・『キリスト教美術図典』柳宗玄、中森義宗編 吉川弘文館 1990「キリスト教図像の展開」の「4.象徴、寓意、比喩」の「ⅱ)人体(付、身振り)」にp.353~356「〔付〕身振り」の項があり、「祈祷=(中略)両手を胸前に交差させ、頭を上げるか下げる。」「礼拝=両腕を胸前で交差させる。」などの記述あり。
・『フィレンツェ・ルネサンス 3』佐々木英也監修 日本放送出版協会 1991
p.32~33にフラ・アンジェリコの「受胎告知」があり「大天使とマリアの身振りはきわめて控え目で、ともに神への敬虔を示唆するポーズ(両手を胸の前で交差させる)をとり、無言の対話を交わしている。」とのこと。
・『ボディートーク 世界の身ぶり辞典』デズモンド・モリス著 三省堂 1999
p.24に「67 CHEST CROSS 胸十字」の項があり、「意味 私は誓う。」「背景 両手を重ねて神聖な十字のサインを作る。誓いを述べるとき、祈るとき、死体が正式に横たえられるときに度々見られる。」「地域 イタリアでよく見られる。」との記述あり。
・『しぐさの比較文化 ジェスチャーの日英比較』リージャー・ブロズナハン著 大修館書店 1988
「7 腕を組むとき、振り上げるとき」のp.136~137に「「誠実」「正直」」の項があり、「手を開き両前腕を胸に当てて十字に重ねるしぐさ(中略)は心臓と十字架の両方にかけて「正直」を誓うものと思われる。」との記述があります。p.32~33にフラ・アンジェリコの「受胎告知」があり「大天使とマリアの身振りはきわめて控え目で、ともに神への敬虔を示唆するポーズ(両手を胸の前で交差させる)をとり、無言の対話を交わしている。」との記述あり。
- 回答プロセス
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「フラ・アンジェリコ」に関する資料から、「受胎告知」の解説を探した。質問の内容から、「しぐさ」「ジェスチャー」をキーワードに、当館所蔵資料を調査した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 芸術史.美術史 (702 9版)
- 言語学 (801 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 受胎告知
- しぐさ
- ジェスチャー
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人 社会人
- 登録番号
- 1000249282