レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年09月14日
- 登録日時
- 2018/09/27 18:22
- 更新日時
- 2019/04/21 11:36
- 管理番号
- 島根参2018-09-002
- 質問
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解決
日本にオペレッタが入ってきたのはいつ頃ですか。
- 回答
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当館所蔵から以下の資料を紹介。
【資料1】『オペレッタの幕開け』(青弓社 2017)
p186~190 「明治時代のオペレッタ受容」
明治時代の西洋の音楽劇受容は、一八七〇(明治三年)に横浜居留地の中華劇場で外国人アマチュアによっておこなわれたアーサー・サリヴァンのオペレッタ『コックスとボックス』上演に始まる。この年、同居留地でゲーテ座という劇場が創設され、音楽やオペレッタを含む舞台の上演が爆発的に増えていった。・・・(中略)・・・ゲーテ座では、オッフェンバックをはじめとするフランス・オペレッタが盛んに上演された。・・・(後略)・・・
p195~202 「大正初期の日本人によるオペレッタ初演」
では、日本でオペレッタはどのように受け入れられていったのか。まずローシーは一九一三年(大正二年)二月に、翻訳オペラとして『夜の森』(エンゲルベルト・フンパーディンクの『ヘンゼルとグレーテル』)、六月に『魔笛』(モーツァルト)の上演を試みたあと、同年九月に帝劇初のオペレッタとして、オッフェンバックの後輩にあたるオードランの『マスコット』初演に踏み切った。・・・(後略)・・・
【資料2】『キーワードで読むオペラ 音楽劇研究ハンドブック』(アルテスパブリッシング)
p345~「日本における受容/展開」
p346~初期のオペラ体験
・・・(前略)・・・日本国内においては、外国人居留地でオペラが上演されていた。古くは江戸時代後期に長崎出島でのオペラ上演の記事がみられる。明治初期には、横浜の居留地で旅回りの劇団による興業も盛んにおこなわれていた記録が残されている。中でも特筆すべきは、明治12年6月から横浜居留地のゲーテ座で王立イギリス歌劇団と称してオペレッタ公演を行っていたヴァーノン(ウエルノン)劇団である。居留地の興行は基本的には居留民のためのもので、一般の日本人は目にする機会がほとんどなかった。ところが、この劇団の公演を東京の新富座の座主である守田勘彌や9代目市川団十郎など明治の劇界を牽引する歌舞伎俳優が観劇したことをきっかけに、9月に新富座で初演された河竹黙阿弥作『漂流奇譚西洋劇(ひょうりゅうきだんせいようかぶき)』で、ヴァーノン劇団は劇中劇に出演し、オペレッタの一部を披露した。これは居留地以外で西洋の音楽劇を日本の観客が接する最初期の事例の一つとなった。・・・
p351~帝国劇場
・・・(前略)・・・歌劇部設立から1年後、新たにイタリア人の振付家G・V・ローシーとその夫人が洋舞の指導に着任、ユンケルらが帰国後はオペラの指導も兼任するようになると、帝劇歌劇部の演目は翻訳オペラが中心となった。1913(大正2)年2月《夜の森》(《ヘンゼルとグレーテル》の松居松葉訳・脚色、ローシー演出)、6月《魔笛》(ローシー指導)のドイツ・オペラを皮切りに、9月からは主要作品をオペラからオペレッタに変更し、《マスコット》《連隊の娘》《天国と地獄》《コルヌヴィユの鐘》《ボッカチョ》等々を精力的に上演紹介した。・・・
【資料3】『日本のオペラ 明治から大正へ』(民音音楽資料館)
p97~184 第二章 「オルフェウス」の上演から明治の終わりまで
p185~330 第三章 帝劇オペラとローヤル館の時代
【資料4】『演劇百科大事典 1』(平凡社 1967)
p486~487 オペレッタ
・・・(前略)・・・日本におけるオペレッタは、明治末年から大正初めにかけて毎年来朝したバンドマン一座が有楽座で『メリー・ウィドウ』などロンドンで当たったものを上演したのが初めで、日本人による上演は大正二年(1913)九月帝劇での「マスコット」である。すなわち帝劇の歌劇部ができ、大正二年二月以来男女歌劇部員による歌劇が上演されたが、教師ローシーが本式のオペラの経験に乏しく、また歌劇部員にもこれを上演するだけの力もなかったので、歌劇部員による上演はオペレッタが主となったのである。・・・
【資料5】『日本大百科全書 4』(小学館)
p335~336 大正のオペレッタ運動
一九一三年(大正二)不人気の帝劇オペラはオペレッタ振付師ローシーを招いて起死回生を図るが失敗し、『連隊の娘』『天国と地獄』などのオペレッタ抄演で人気を取り戻したが、採算がとれずに一六年に解散。ローシーは赤坂にローヤル館を創設して続行したが、二年で解散、帰国。一方、新劇演出家の伊庭孝は一六年に歌舞劇協会を結成、「日本人によるモダンなミュージカルを」と、浅草・常磐座で自作の『女軍出征』を上演して大ヒット、いわゆる浅草オペラの開幕となった。・・・(後略)・・・
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 劇音楽 (766 8版)
- 参考資料
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【資料1】森佳子 著 , 森, 佳子, 音楽. オペレッタの幕開け : オッフェンバックと日本近代. 青弓社, 2017.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027993222-00 , ISBN 9784787273970 (p186~190,195~202 当館請求記号 766.2/モ17) -
【資料2】丸本隆, 荻野静男, 佐藤英, 佐和田敬司, 添田里子, 長谷川悦朗, 東晴美, 森佳子 編 , 丸本, 隆, 1944- , 荻野, 静男 , 佐藤, 英. キーワードで読むオペラ/音楽劇研究ハンドブック. アルテスパブリッシング, 2017.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I028089591-00 , ISBN 9784865591583 (p356~ 当館請求記号 766.1/キ17) -
【資料3】増井敬二 著 , 増井, 敬二, 1921-2007. 日本のオペラ : 明治から大正へ. 民音音楽資料館, 1984.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001765905-00 , ISBN 494388606X (p282~ 当館請求記号 766/49 ※書庫資料) -
【資料4】演劇百科大事典 1. 平凡社, 1967.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I069330023-00 (p486 当館請求記号 R770/29/1 ※貸出禁止資料) -
【資料1】日本大百科全書 4 (おおつーかき). 小学館, 1985.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001743893-00 , ISBN 4095260041 (p335 当館請求記号 R031/177/4 ※貸出禁止資料)
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【資料1】森佳子 著 , 森, 佳子, 音楽. オペレッタの幕開け : オッフェンバックと日本近代. 青弓社, 2017.
- キーワード
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- 音楽
- 声楽
- 明治
- 大正
- 歌手
- 歌劇
- 洋舞
- 帝国劇場
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000242994