レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021年01月29日
- 登録日時
- 2021/01/29 10:27
- 更新日時
- 2021/12/24 13:57
- 管理番号
- 20210129-2
- 質問
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解決
能「羽衣」の小書について知りたい。
- 回答
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以下の資料がみつかった。能「羽衣」の特殊演出である小書(こがき)には、各流儀で複数の種類があった。
具体的な演出方法についても記載されている資料がある。
<専門事典>
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 小書(読み)こがき
https://kotobank.jp/word/%E5%B0%8F%E6%9B%B8-63529 (2021/01/29 確認)
「能の特殊演出のこと。曲目の左わきに小さく書き添えるため、この名がある。小書の演出が固定したのは江戸中期以降と考えられ、今日1000種ほどが各流各役に制定、登録されている。」
『能楽大事典』 小林責, 西哲生, 羽田昶著 筑摩書房 , 2012.1
本館請求記号:773 - N93
p.331-333 小書 下記の出典をもとに、小書の種類ごとに解説している。
「羽衣については、彩色(さいしき)、雲井之舞」
出典:横道万里雄・松本雍「能の現行小書」『芸能の科学』4、1973
<専門事典>
各流儀の「羽衣」の小書について、まとめられている。
「【小書】 床几之物着(剛) 替之型(春) 盤渉(宝・剛) 雲井之舞(喜) 和合之舞(観) 彩色之伝(観) 舞込(喜) 霞留(喜) 脇留(観)[松本 雍]」
"はごろも【羽衣】[能曲名]", 新版 能・狂言事典, JapanKnowledge, https://japanknowledge.com , (参照 2021-01-29)
『能楽大事典』 小林責, 西哲生, 羽田昶著 筑摩書房 , 2012.1
本館請求記号:773 - N93
p.714-715 羽衣
「小書により詞章が部分的に省略されることがあり(略)、また作り物を出さず、衣を一ノ松欄干にかける例(小書「彩色(いろえ)」「和合之舞」ほかがある)」
「舞に変化を持たせる演出に「和合之舞」(観世流)、「彩色」(観世流)、「盤渉(ばんしき)」(宝生流、金剛流)」
「短縮化が小書きとなったものに「雲井之舞」(喜多流)」
「小書がつくと、天冠に鳳凰ないし白蓮華を付けることもある」
p.369-370 彩色(さいしき)
「能の小書。舞事としてイロエが入る演出の意。」
「〈羽衣〉も破之舞の代わりにイロエを舞うが、ほかにクリ・サシ・クセが省かれ、序之舞が盤渉序之舞になることが大きな替で、そのほか「和合之舞」に準じた変化も伴う。」
<図書>
『謡曲集』1,2 小山弘志, 佐藤健一郎校注・訳 小学館 , 1997.5-1998.2. - (新編日本古典文学全集 ; 58, 59)
https://opac.clib.kindai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BD01229924/ (2021/01/29 確認)
本館請求記号: 918 - Sh69 - 58
p.381 備考「舞を変化させたり、短くしたりすることがある。すなわち《彩色之伝》(観世)、《和合之舞》(観世)、《盤渉之舞》(宝生・金剛)」などである。その際、一部の詞章を省略することもあり、また扮装が常の場合と変わることも多く、シテは舞ながら幕に入り、ワキが見送って一曲を留める「脇留」も行われる。《盤渉之舞》と明示されなくても、五流ともに[序ノ舞]の笛を常より高い調子の「盤渉」にすることがある。《雲井之舞》(喜多)、《瑞雲之舞》(観世)には、時間の制約のある宮中行事のために大幅に短縮した際の演出がある。」
どの小書によって、どう演出が変わるのか、具体的に記述されている。
「和合之舞」「彩色之伝」の例。(そのほかの小書についても具体的な記載がある。)
p.382「《和合之舞(わごうのまい)》《彩色之伝(さいしきのでん)》の場合は、松ノ立木の作り物を用いず、一ノ松の勾欄に長絹をかける。」
p.383 「《和合之舞》《彩色之伝》の場合、シテは天冠に鳳凰か白蓮華を立てる。」
p.386 「《彩色之伝》の場合、〈クリ〉〈サシ〉〈クセ〉が省略される。」
p.389 「《彩色之伝》の場合は、〔破ノ舞〕が〔イロエ〕にかわる。」
『能を面白く見せる工夫 : 小書演出の歴史と諸相』 横道万里雄, 山中玲子, 松本雍著 桧書店 , 2009.1. - (ひのき能楽ライブラリー = hinoki nohgaku library)
本館請求記号:773.3 - Y77
p.219-220 能の現行小書 羽衣
観世流: 盤渉 和合之舞 瑞雲之舞(ずいうんのまい) 彩色之伝(いろえ(さいしき)のでん) 脇留(わきどめ)
宝生流: 盤渉
金春流: 替ノ型
金剛流: 床几之物着(しょうぎのものぎ) 盤渉
喜多流: 盤渉 雲井之舞 霞留(かすみどめ) 舞込(まいこみ)
脇方・狂言方:なし
<論文・記事>
山中 玲子「能の「習事」と番組上の小字注記 : 「小書」という語の意味するところ」能楽研究 (40), 135-160, 2015
https://hosei.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=12841&item_no=1&page_id=13&block_id=83 (2021/01/29 確認)
p.155-157
雑誌『能楽』(明治35年11月5号)「羽衣叢談」の記事が引用されており、各流の家元、重鎮が「羽衣」の小書(替ノ型)について話している。
たとえば、金春流桜間伴馬「天冠に牡丹の花の造花をつけることがあります」など。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 能楽.狂言 (773)
- 参考資料
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能「羽衣」の詞章を読みたい。(近畿大学中央図書館)
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000293120 (2021/01/29 確認)
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能「羽衣」の詞章を読みたい。(近畿大学中央図書館)
- キーワード
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- 能
- 羽衣
- 小書
- 替ノ型
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 学生
- 登録番号
- 1000293119