レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 20030702
- 登録日時
- 2005/02/02 02:14
- 更新日時
- 2005/11/30 17:59
- 管理番号
- D2003M0183
- 質問
-
解決
夏目漱石著「解説つきの『方丈記』(A translation of hojo-ki)英譯の初出は何か。
- 回答
-
漱石による『方丈記』英訳の経緯については、小宮豊隆『夏目漱石』第1巻(岩波書店 1953〔改訂版〕<910.28-N659Kn>)p.204に下記のような記述があります。
「漱石は明治24年(1891)12月8日、大学2年の12月に、恐らくディクソンから頼まれて『方丈記』を英訳し、その初めに実に要領を得た解説を書いた。それにディクソンは‘excellent performance’といふ讃辞を呈したのみならず、是を基礎として‘Chomei and Wordsworth. A Literary Parallel’といふ題で、明治25年(1892)2月10日の『日本亜細亜協会』の例会で講演を試み、この訳文にいくらか手を入れたものを朗読し、後この訳文は‘A Description of My Hut’と改題されて、ディクソンの名前で、明治26年(1893)の『日本亜細亜協会会報』に、講演とともに掲載されたが、その初めにディクソンは、この翻訳の原稿・解説並に翻訳の細部の説明に関しては、文科大学英文科学生夏目金之助君の、価値ある助力に俟つところ甚大であつたと書いてゐる。」
ここで言及されている、ディクソン(J. M. Dixon)の講演録と英訳『方丈記』の書誌事項は、それぞれ下記のとおりです。なお当館所蔵のものは原資料ではなく、1965年に雄松堂書店より刊行された復刻版です(請求記号Z52-B254、関西館所蔵資料)。
‘Chomei and Wordsworth. A Literary Parallel’ Transactions of the Asiatic Society of Japan vol.20 1892-93 pp.193-204
‘A Description of My Hut’ 同上,pp.205-215
ただし、上記二篇には漱石の書いた解説部分は直接には用いられておらず、また『方丈記』の訳文も、漱石全集に載る本文とはかなり異なっています。
典拠とされた『漱石全集』に‘A Translation of Hojio-ki with a Short Essay on It’として収録されているのと同一本文のものが、全集刊行以前に発表されたことがあるか否かについては、下記のような資料を調査したものの、判明しませんでした。
【漱石の作品年譜】
・『漱石研究年表』増補改訂 荒正人著 集英社 1984 <KG578-113>
・『近代文学研究叢書17』(昭和女子大学近代文学研究室編 昭和女子大学光葉会 1961)所収「著作年表」 <910.26-Sy961k>
・『漱石全集』(岩波書店 1984-86)第18巻所収「漱石作品発表月次表」<KH426-36>
【英訳『方丈記』の解題】
・『漱石全集』(岩波書店 1993-99)第26巻巻末「後記(第二十六巻について)」<KH426-E32>
・『日本語と日本文学』20 1994.9 <Z13-2399>
pp.1-11 下西善三郎:漱石「方丈記小論」私注(一)
< >内は当館請求記号
- 回答プロセス
- 事前調査事項
-
〔典拠〕漱石全集/漱石全集刊行会1918.8-1920.12 別冊P.327-336“序”(解説)、P.337-350“方丈記”(本文)に収載されている(東京大学への文献調査依頼の結果)ところまでわかりましたこちらが初出にあたるのか、上記の資料を所蔵しておりませんので、ここまでしかわかりません。
〔調査済み資料〕NDL-OPAC、Nacsis-webcat、東北大学図書館OPAC
〔照会済み図書館〕漱石全集/漱石全集刊行会1918.8-1920.12 別冊P.327-336“序”(解説)、P.337-350“方丈記”(本文)に収載されている(東京大学への文献調査依頼の結果)
- NDC
-
- 日記.書簡.紀行 (915 9版)
- 参考資料
- キーワード
-
- 夏目漱石
- 「方丈記」
- 翻訳
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌的事項調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 大学図書館
- 登録番号
- 1000014130