レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2006年01月27日
- 登録日時
- 2006/02/01 17:04
- 更新日時
- 2007/11/15 13:38
- 管理番号
- 福井県図-20060127
- 質問
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解決
なぜ図書館用語の「ハイカ」を「排架」と書くのか。
- 回答
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文部省学術用語集『図書館情報学編』では、「排架」と記載されているので学術論文などに書く場合は「排架」がふさわしいと考えられます。
図書館界2001年3月号に岩猿敏生/執筆「目録の「排列」と「配列」」という文があり、この文章がもっとも「排」の字を用いることについて、詳しく説明しています。
まとめると以下のようになります。
・1912年12月『図書館雑誌』16号付載の「図書館用語」(洋書ノ部)に「排列、整頓」「固定排架法」の語がある。
(岩猿氏が見た図書館用語集のうち最古のもの)
・1944年青年図書館員連盟の機関誌『図書館研究』総索引件名一覧表に「排列法」及び仮名遣ト仮名排列法」がある。
・1997年3月文部省学術用語集の中の『図書館情報学編』では、「排架」「排架法」も含めて、すべて「排」を用いることになった。
・「排」の字には、「ならべる」の意味があり、「配」には「くばる」の意味はあるが、ならべるという意味はない。
・戦後、内閣告示や内閣訓示による漢字の使用制限が行われ、「排」の字は、制限漢字となったため、「配」を止むを得ず用いた時期があった。
しかし、現在は「排」の字は制限漢字となっていない。
・「学術の発展のためには、同じ概念は常に同一の用語で表現することが望ましい。学術用語の統一のために、各学問分野で学術用語集が編さんされてきたのであるから、同一の概念であれば、学術用語集で採られている用語を用いるべきである。」
[2006年9月30日追記]
『言葉に関する問答集 3』1977 文化庁 「ことば」シリーズ7 p.9~10に『〔問7〕「配列」か「排列」か』という問答が載っており、これに以下の文章がありました。
「「排列」は順序よく並べることであり、「配列」はただ並べることである。」「それは、「排」という字が、「一定の順序で連ねる」意味を持つからであり、「配」という字が、「割り当てる」意味を持つからである。」「したがって、「排列」のほうは、名簿の氏名を五十音順に並べる場合などに適している。その点では、学術用語集の図書館学編に「ABC順排列」「件名カード排列」などの用い方が掲げられているのも当然である。」
その上で、「配列」のほうが一般化したことについては、「「排」という字が「排斥」「排除」などを主として「しりぞける」意味に用いられ、「ならべる」意味で「排」を用いる例が、一般語としては他に見当たらないということである。」という記述もあります。
企画協力員 小田先生よりご教示いただきました。
[2007年11月15日追記]
『和書目録法入門』柴田正美/編著 1995.3 日本図書館協会(図書館員選書・8) p.224-225
4.3.0.2 なぜ「配列」でなく「排列」なのか
にも、「配」「排」の文字の区別について触れられています。メールによりご教示いただきました。
- 回答プロセス
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1 図書館ハンドブック第6版 日本図書館協会図書館ハンドブック編集委員会/編 2005.5日本図書館協会発行 では「排架」。
2 図書館情報学用語辞典 第2版 日本図書館情報学会用語辞典編集委員会/編 2004.8 丸善 では、「排架」。
3 図書館用語集 三訂版 日本図書館協会用語委員会/編集 2003.11 日本図書館協会では「排架」。
4 最新図書館用語大辞典 図書館用語辞典編集委員会/編 2004.4 柏書房では、見出し語=「配(排)架」、文中=「配架」と表記。
5 日本国語大辞典、広辞苑に「ハイカ」という項目はない。
6 『図書館雑誌』2005年3月号の特集名は、「図書館の排架とサイン」
7 白川静著『字統』、諸橋轍次著『大漢和辞典』:「排」の字には、ならぶの意があり「配」の字にはない。
8 Google「排架 配架」で検索。
・どちらでもよいが、新しくは「排」古くは「配」とする説(愛知淑徳大学図書館のページ)
・どちらでもよいが、正しくは「排」とする説(中央大学のページ)
9 以前読んだことがある雑誌記事に、「排」「配」の字について詳述されたものがあったことを思い出し、自分が読んだことのある図書館関係の雑誌を直接見ていく。
→図書館界2001年3月号に岩猿敏生/執筆「目録の「排列」と「配列」」を発見。
「目録の「排列」と「配列」」によると、
・1912年12月『図書館雑誌』16号付載の「図書館用語」(洋書ノ部)に「排列、整頓」「固定排架法」の語がある。(岩猿氏が見た図書館用語集のうち最古のもの)
・1944年青年図書館員連盟の機関誌『図書館研究』総索引件名一覧表に「排列法」及び仮名遣ト仮名排列法」がある。
・1997年3月文部省学術用語集の中の『図書館情報学編』では、「排架」「排架法」も含めて、すべて「排」を用いることになった。
・戦後、内閣告示や内閣訓示による漢字の使用制限が行われ、「排」の字は、制限漢字となったため、「配」を止むを得ず用いた時期があった。しかし、現在は「排」の字は制限漢字となっていない。
・「学術の発展のためには、同じ概念は常に同一の用語で表現することが望ましい。学術用語の統一のために、各学問分野で学術用語集が編さんされてきたのであるから、同一の概念であれば、学術用語集で採られている用語を用いるべきである。」
10 文部省学術用語集 図書館情報学編 1997.3 丸善 では「排架」と表記。
- 事前調査事項
- NDC
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- 図書館.図書館情報学 (01)
- 参考資料
- キーワード
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- 排架
- 配架
- 排列
- 配列
- 用字
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000027247