レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年10月10日
- 登録日時
- 2014/10/28 13:00
- 更新日時
- 2015/10/15 11:59
- 管理番号
- 島根参2014-10-006
- 質問
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未解決
次の6つの家紋の使われ始めた時代とそれぞれの由来、その家紋を使っていた名字を知りたい。
「丸に違い鷹の羽」「雪輪に違い鷹の羽」「丸に立ち梶の葉」「三河蔦」「雪輪に隅立て四つ目」「七本骨雁木扇」
- 回答
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◆11世紀ごろ発生した家紋は、まず動植物や道具などの基本的なモチーフが使われ始め、次第に整った構図を持つようになった。
分家などで家紋を区別する必要から、“丸で囲む”“分割する”“改造する"などの手法と、丸の形や分割の仕方で細かく区別し、戦国時代・織豊時代にかけて主だった変化紋が出揃った。
質問された6つの家紋はいずれも「変化紋」で、室町後期から安土・桃山時代ごろには成立していたと思われるが、具体的に時期を特定できる資料は見つからなかった。(※回答プロセス(1)参照)
◆【資料3】『日本家紋総鑑』(角川書店)、【資料4】『日本家紋大事典』(新人物往来社)、【資料5】『家系・家紋ハンドブック』に基本的モチーフである「鷹の羽」「梶」「蔦」「目結」「扇」の興りと由来が書かれている。
◆【資料3】にそれぞれの家紋を使用している姓氏が記載されている。
・「三河蔦」は見当たらないが「藤堂蔦」が記載されており、【資料5】『家系・家紋ハンドブック』(PHP研究所)p33に記載されている「三河蔦」と、【資料4】『日本家紋大事典』の「藤堂蔦」は同じ形である。
・「七本骨雁木扇」は、【資料3】には紋が掲載されているだけで、使用家が書かれていなかった。
【資料6】『別冊歴史読本 1997.9 日本「家紋由来」総覧』に、“扇紋は佐竹氏が(五本骨扇に月)を用いたのが始り。松平深溝氏(七本骨扇・五本骨扇・三本骨扇・重ね扇)、雨宮氏(十本骨扇)、飯室氏(黒餅に五本骨扇)他”、と書かれているが、「七本骨雁木扇」を使った姓氏の記載はない。
・【資料7】『家紋でたどるあなたの家系』(続群書類従完成会)に、「丸に違い鷹の羽」「丸に立ち梶の葉」「三河蔦」「雪輪に隅立て四つ目」、【資料8】『続家紋でたどるあなたの家系』(続群書類従完成会)に、「雪輪に違い鷹の羽」の使用家が詳しく記載されている。
- 回答プロセス
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(1)NDC分類「288」の資料で家紋のおこりと変遷について調査。
◆家紋の「おこり」と、多様な紋章が体系的に成立していく過程については、【資料1】『家紋の事典』(東京堂出版)p2-12「家紋の歴史」、【資料2】『苗字・名前・家紋の基礎知識』(新人物往来社)p585-587「紋章の起こり」に、以下のように書かれている。
・11世紀前半に、王朝貴族が他家と区別するための「車文」として用い、子に伝えたのがはじまり。その後武家社会では戦陣で敵味方を区別する旗印として用いられ、戦国時代を経て様々なバリエーションが生まれ、江戸時代に現在に伝わるほぼ全ての種類が出揃った。
・武家の紋章は、最初は陣幕や旗や盾などの比較的スペースの大きいものに用いられたが、衣服に紋章が取り入れられた戦国期に入ると、小さいスペースに紋章をまとめる必要から、縁や角や菱などによる輪郭で囲む図案が盛んになる。中でも「円」が最も多く用いられるようになり、江戸末期になると紋章の約三分の一が外側を「円(輪・丸)」で囲んでいる。(【資料2】p487)
・素襖や大紋・肩衣などの武士の私服に紋章を付けるようになったのは室町時代後半からのことであり、それまでの写実的な図柄から次第に整った構図をとるようになったのも、それ以後のことである。丸で囲むことも、永正のころ(16世紀初頭)から始まったとみられている。戦国時代、織豊時代こそ、日本の紋章の基本的な体系ができ上がり、主だった素材と変化紋が一応出揃った時代とみてよい。(【資料2】p588)
◆【資料3】『日本家紋総鑑』(角川書店)p10-15に、家が本家・分家に分かれる時などに、区別する必要から、家紋の「変化」が進んだという記述がある。【資料4】『日本家紋大事典』(新人物往来社)p17「家紋の数」によれば、家紋の数は約400腫、2万にのぼり、いくつかの基本的なモチーフを「付加」「分割」「改造」などの手法を使って変化させたバリエーションである。
(2)家紋の解説と使用家を調査。【資料3】【資料7】【資料8】に記載あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 系譜.家史.皇室 (288 8版)
- 日本史 (210 8版)
- 参考資料
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【資料1】千鹿野茂 監修 , 高澤等 著 , 千鹿野, 茂, 1927- , 高澤, 等. 家紋の事典. 東京堂出版, 2008.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009374059-00 , ISBN 9784490107388 (当館請求記号 288.6/タ08) -
【資料2】渡辺三男 著 , 渡辺, 三男, 1908-. 苗字名前家紋の基礎知識. 新人物往来社, 1994. (入門シリーズ)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002323963-00 , ISBN 4404020929 (当館請求記号 288.1/ワ94 ※書庫資料) -
【資料3】千鹿野茂 著 , 千鹿野, 茂, 1927-. 日本家紋総鑑. 角川書店, 1993.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002237990-00 , ISBN 4040315006 (当館請求記号 R288.6/チ93 ※貸出禁止資料) -
【資料4】丹羽基二 著 , 丹羽, 基二, 1919-2006. 日本家紋大事典. 新人物往来社, 2008.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009899250-00 , ISBN 9784404035721 (当館請求記号 R288.6/ニ08 ※貸出禁止資料) -
【資料5】真藤建志郎 著 , 真藤, 建志郎, 1934-. 家系・家紋ハンドブック : これであなたのルーツがわかる. PHP研究所, 1996.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002507956-00 , ISBN 4569552153 (当館請求記号 288.1/シ96 ※書庫資料) - 【資料6】別冊歴史読本 日本「家紋由来」総覧 新人物往来社 1997.9
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【資料7】千鹿野茂 編 , 千鹿野, 茂, 1927-. 家紋でたどるあなたの家系. 続群書類従完成会, 1995.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002441767-00 , ISBN 4797102322 (当館請求記号 288.6/チ/1 ※書庫資料) -
【資料8】千鹿野茂/篇 , 千鹿野茂. 続家紋でたどるあなたの家系. 続群書類従完成会, 1998.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I031808484-00 , ISBN 4797107324 (当館請求記号 288.6/チ/2 ※書庫資料)
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【資料1】千鹿野茂 監修 , 高澤等 著 , 千鹿野, 茂, 1927- , 高澤, 等. 家紋の事典. 東京堂出版, 2008.
- キーワード
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- 家紋
- 姓氏
- いわれ
- 起源
- 丸に違い鷹の羽
- 雪輪に違い鷹の羽
- 丸に立ち梶の葉
- 三河蔦
- 藤堂蔦
- 雪輪に隅立て四つ目
- 七本骨雁木扇
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 団体
- 登録番号
- 1000161529