カステラの来歴などは、レファレンス協同データベース
「カステラはポルトガルから長崎に伝来したと言われるが、どのようにして入ってきて、どのようにして作られているのか、家庭では簡単にできるのかカステラの作り方を教えてください。」
http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000077165に出てくる ①『カステラの科学』 などに詳しく載っている。
江戸時代のカステラの作り方については
『万宝料理秘密箱. 巻1-5』器土堂 著,寛政7[1795]
(古典籍総合データベース で閲覧可能
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/wo08/wo08_01357/index.html)
を元に下記の②③④に「卵」「砂糖」「小麦粉」使用した作り方が記載されている。②③は現代のグラム数でも表示されている。
②『万宝料理秘密箱』カステラ卵 p67-68
③『原典現代語訳 日本料理秘伝集成 第10巻 百珍』カステラ卵 p34-35
④『料理百珍集』家主貞良卵の仕方 p138
⑤奥村 彪生/現代語訳・料理再現『万宝料理秘密箱』カステラ卵 p68-69
では現代の調理器具を使用した作り方で紹介されている。
現代のカステラの作り方については一例として
⑥『ほんのり和風のお菓子』ハニーカステラ p70-71
に「強力粉」「卵」「卵黄」「グラニュー糖」「はちみつ」「牛乳」「サラダ油」を使用した作り方が載っている。
作り方の手順としては江戸時代の作り方②③④⑤の「材料を混ぜて焼く」作り方と大きな差はなかった。
⑦人文学オープンデータ共同利用センター 提供
『江戸料理レシピデータセット』(CODH制作) 『日本古典籍データセット』(国文研所蔵)を翻案
『万宝料理秘密箱 卵百珍』家主貞良卵(かすてらたまご)
http://codh.rois.ac.jp/edo-cooking/tamago-hyakuchin/recipe/030.html.jaに、翻刻テキスト、現代語訳、現代レシピの3種類が載っており、
現代レシピでは、卵・砂糖・小麦粉以外に、サラダ油・ハチミツ・みりん・牛乳
が材料に加えられており、卵が②③④⑤⑥と違い卵黄・卵白の別立てになっていた。
『万宝料理秘密箱 卵百珍』以外に、江戸時代の作り方もいくつかの資料に載っており、
⑧『世菓子製法書集成 1』には下記の4つが載っていた。
⑧-1、p32 水玉堂/編 「古今名物御前菓子秘伝抄」1718 「一〇 かすてら」
⑧-2、p132-134 長谷川 良隅/著「古今名物御前菓子図式」1761 「一 春庭?(かすてら)」
⑧-3、p275-280 十返舎 一九(1代目)/著 「餅菓子即席手製集」1805
「四五 早かすてゐら」「四六 玉子いらずかすてら」「四八 本かすてら」
⑧-4、p361-363 船橋屋 織江/著「菓子話船橋」1841 「三〇 嘉寿亭羅(かすてら)」
⑨『かすてら加寿底良』p183-208 「江戸のカステラを焼いてみた」の中、p201「江戸料理書に登場したカステラの材料表」で下記の料理書が記載されており、砂糖・卵・小麦粉の分量の違いがわかるようになっていた。
「料理塩梅集(地の部)」(1683)?、「合類日料理抄」(1689)、「和漢三才図会」(1713)、「古今名物御前菓子秘伝抄」(1718)、「阿蘭陀菓子製法」(1680-1730)?、「古今名物御前菓子図式」(1761)、「譚海」(1795)、「餅菓子即席手製集」(1805)、「我衣」(1825)?、「菓子話船橋」(1841)、「鼎左秘録」(1852)
また、参考にポルトガルの菓子で、カステラの元祖「パォン・デ・ロー」のさまざまな材料比率や焼き加減の違いや、パォン・デ・ローの中世の古典レシピによる作り方について下記に載っていた。
⑩『ポルトガルのお菓子工房』p104-109
江戸時代のカステラ作りの道具については、
②③④⑦の『万宝料理秘密箱 卵百珍』では、生地を濾す際に「もじの布」「布目のあらい布」、焼く際に「大和鍋」「江戸鍋」「行燈の火皿」を使用している。※画像はない
⑧-1で焼く際に「銅の平鍋」(カステラの型)、「(銅の平鍋を入れる)大きな鍋」
⑧-2で混ぜる際に「擂鉢」にてすり、砂糖をふるう際に「竹簾(たけおとし)」、加熱に「火鉢」「焼鍋」、器として「板にて?(わく)を作り、其内へ厚紙を箱にして敷」「渋紙のふた」
⑧-4で、砂糖をふるう際に「篩(ふるい)」、器として「厚紙で文庫」、焼く際に「かすてら鍋」「共蓋」を使用している。
⑪『カステラ文化誌全書』p108「職人尽くし図」御菓子所 川原慶賀筆 ライデン、国立民族博物館蔵
に「すり鉢」と「すりこぎ」で種を混ぜている様子が描かれていた。
P116 引き釜(丸釜) 株式会社福砂屋蔵
に「引き窯(丸窯)」の写真や説明が載っていた。