レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2021/01/29
- 登録日時
- 2021/03/20 00:30
- 更新日時
- 2021/03/20 00:30
- 管理番号
- 6900004850
- 質問
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解決
昭和30年代頃に流行った貸本マンガの歴史について知りたい。
- 回答
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以下の資料に記述があった。
<貸本マンガの隆盛について>
・『日本児童文学大事典 第二巻 人名 な~わ 事項・逐次刊行物』(大阪国際児童文学館/編 大日本図書 1993.10)
p.340-341「貸本屋」の項目
「五〇年代半ばには漫画が貸本屋のドル箱的存在となり、やがて貸本漫画誌「影」の創刊(五六)をきっかけに五〇年代後半には「劇画」という新しい漫画のジャンルを生んだ。」
「六〇年代前半には、早くも貸本屋の転廃業が始まった。…(中略)…貸本漫画と呼ばれる貸本屋専用の漫画も姿を消していった。」
・『図説 漫画の歴史(ふくろうの本)』(清水勲/著 河出書房新社 1999.7)
p.88-89 「赤本から貸本への転換期」
「昭和二〇年代に全国的に流行した赤本マンガも昭和三〇年代になると、それまでの駄菓子屋感覚の低価格での販売が難しくなっていった。…(中略)…これに代わって登場しはじめたのが、貸本屋と貸本漫画である。…(中略)…貸本屋の出現によって、そこをターゲットにした漫画本専門出版社が生まれ、次々に月刊貸本漫画誌が創刊されていく。」
「昭和三〇年代末期に大手出版社が、週刊漫画誌のマーケットを確立する頃まで、この人気は続いた。」
・『貸本マンガRETURNS』(貸本マンガ史研究会/編・著 ポプラ社 2006.3)
p.12-34「序章 貸出マンガの豊かな世界」
p.15「『全国貸本新聞』には、五八年当時、神戸の貸本屋のマンガの仕入れは月に一二〇~一三〇冊程度、仕入れ金額の七五%を占めていると書かれている。貸本屋にとっては、雑誌や小説よりも、貸本マンガこそが有力な商品になった…(後略)…」
「貸本屋の書棚に並ぶマンガは、少年少女向けの雑誌を除けば、貸本屋向けに作られた、いわば特殊なマンガであった」
1章以降は様々な貸本マンガ作品やそれらを描いたマンガ家について詳しく述べている。貸本マンガの白黒写真も掲載されている。
巻末に資料編として「貸本マンガ関係年表(1945-1968年)」p.284-314、「貸本マンガ家リスト1000+α」p.315-326、「主要貸本マンガ出版社リスト」p.326-332 がある。
・『マンガの教科書:マンガの歴史がわかる60話』(吉村和真/編 臨川書店 2008.7)
p.91-106、111-114において、執筆者・内記稔夫が昭和30年に開いた貸本屋の話、貸本マンガ作品、劇画、テレビの普及等による貸本屋離れについて述べている。
そして、p.121「マンガの読者たちは週刊マンガ雑誌と共に借りるより買う方向に向かっていく。このような流れはますます貸本屋の営業を圧迫し、貸本マンガの出版社は衰退の一途をたどっていくことになる。」と締めくくっている。
・『マンガの歴史 1(岩崎調べる学習新書)』(みなもと太郎/著 岩崎書店 2017.8)
p.46-50、59-60、88-108
赤本マンガと貸本マンガの違いや、劇画の影響や貸本マンガ家について述べている。
p.49-50「最初はマンガの単行本といえば表紙に粗末な赤い紙を使った「赤本マンガ」がほとんどだったのですが、次第に厚紙にカラー印刷した豪華な表紙のマンガ単行本が増えていくんですね。それらはやがて「赤本マンガ」と区別する意味で「貸本マンガ」と呼ばれるようになりました。」
p.59「貸本マンガというのは中小の貸本専門の出版社が刊行している場合がほとんどでした。そうした出版社は、関東、関西とそれぞれの地域で販売網を形成していました。中小の出版社にとっては全国流通はハードルが高かったので、仕方なくそうなっていたのです。」
p.89「一九五三年頃になると、貸本マンガブームが到来します。いろんな出版社から月に何百点と出版されるようになり、それに伴って貸本屋さん自体の数も増えていきました。」
<貸本マンガのカラー図版掲載資料>
・『少年マンガの世界Ⅱ:子どもの昭和史[昭和35年~64年](別冊太陽)』(米沢嘉博/構成 平凡社 1996.12)
p.35-58「貸本マンガ、その誕生と生成」
p.59-86「貸本劇画、不幸からの脱出行」
チャンバラもの、忍法捕物、戦記物、探偵物、ミステリ、怪奇マンガ、劇画、青春物、SFなど、ブームとなった様々な貸本マンガが、ジャンルごとにカラー写真で多数掲載されている。
p.35「昭和30年頃には全国3万軒にも及んだという貸本屋。その巨大な市場に道を見つけた描き下ろしマンガ単行本は、やがて貸本マンガと呼ばれることになる。…(中略)…この業界は、多くの若い描き手たちをひきつけ、デビューさせていった。」
・「貸本少女マンガの世界 昭和25年~昭和42年」『別冊太陽』[巻号表記なし] 少女マンガの世界Ⅰ:子どもの昭和史 昭和20年ー37年(平凡社 1991.7)p.109-135
貸本少女マンガ作品がカラーで多数掲載されている。
<貸本マンガにまつわるその他の記述>
・『戦後マンガ50年史(ちくまライブラリー 101)』(竹内オサム/著 筑摩書房 1995.3)
p.67-83「貸本マンガと劇画」
劇画の誕生やまつわる事件について述べている。
・『大阪漫画史:漫画文化発信都市の300年(ニュートンプレス選書 7)』(清水勲/著 ニュートンプレス 1998.12)
p.173-183「第十章 貸本漫画から劇画へ」
貸本漫画誌『影』や『街』のこと、「劇画」という言葉について触れられている。
・『文庫びっくり箱』(則枝忠彦/著 青弓社 2001.9)
p.42-45「貸本マンガ文庫」に一覧として15個の文庫名が挙げられている。
・『マンガ古書マニア』(江下雅之/著 長崎出版 2006.6)
p.49-54「貸本ブームと劇画の誕生」
・『「コミックス」のメディア史:モノとしての戦後マンガとその行方』(山森宙史/[著] 青弓社 2019.10)
p.101-108「1貸本マンガと新書判コミックス」
貸本マンガ出版社の新書判コミックスへの参入(1966年~)と衰退について書かれている。
雑誌記事については、下記にタイトル一覧が掲載されている。
・『マンガ・アニメ文献目録』(竹内オサム/監修 日外アソシエーツ 2014.10)
p.67-69「貸本屋」
p.89-92「マンガ史-◆貸本マンガ」
p.92-95「マンガ史-◆劇画」
[事例作成日:2021年1月29日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 漫画.挿絵.児童画 (726 10版)
- 参考資料
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- 日本児童文学大事典 第二巻 人名 な~わ 事項・逐次刊行物 大阪国際児童文学館∥編 大日本図書 1993.10 (340-341)
- 図説 漫画の歴史 清水/勲∥著 河出書房新社 1999.7 (88-89)
- 貸本マンガRETURNS 貸本マンガ史研究会∥編/著 ポプラ社 2006.3 (12-34、284-332)
- マンガの教科書 吉村/和真∥編 臨川書店 2008.7 (91-106,111-114)
- マンガの歴史 1 みなもと/太郎‖著 岩崎書店 2017.8 (46-50,59-60,88-108)
- 少年マンガの世界 Ⅱ 米沢/嘉博∥構成 平凡社 1996.12 (35-86)
- 別冊太陽 平凡社 [巻号表記なし] (109-135)
- 戦後マンガ50年史 竹内/オサム∥著 筑摩書房 1995.3 (67-83)
- 大阪漫画史 清水/勲∥著 ニュートンプレス 1998.12 (173-183)
- 文庫びっくり箱 則枝/忠彦∥著 青弓社 2001.9 (42-45)
- マンガ古書マニア 江下/雅之∥著 長崎出版 2006.6 (49-54)
- 「コミックス」のメディア史 山森/宙史‖[著] 青弓社 2019.10 (101-108)
- マンガ・アニメ文献目録 竹内/オサム‖監修 日外アソシエーツ 2014.10 (67-69,89-95)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- その他
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000295570