レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
提供館 (Library) | 大阪府立中央図書館 (2120005) | 管理番号 (Control number) | 6001017038 | |||||||||||||||||||||||||||||
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事例作成日 (Creation date) | 2016/07/07 | 登録日時 (Registration date) | 2016年10月01日 00時30分 | 更新日時 (Last update) | 2016年10月01日 00時30分 | |||||||||||||||||||||||||||
質問 (Question) | 日本の広告の歴史についての文献を知りたい。特に江戸時代のチラシ「引札」について記載のある文献を教えて欲しい。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
回答 (Answer) | ●日本の広告の歴史についての資料は、以下のものがあります。「引札」についての記述があるものはその頁数を記しました。 ・『広告の世界史』(高桑末秀/著 日経広告研究所 1994.12) 本書は、世界史における古代から現代までの広告の歴史について記述しています。 日本の広告の歴史についても「大宝律令」にみえる「標(しるし)」、江戸時代の「引札」、「広告」と言う言葉の初出がみえる「横浜毎日新聞」(1872(明治5)年4月14日号)、現代のラジオ広告やテレビ、営利的CATV(ケーブルテレビ)の登場などが述べられています。 引札については、p.66-71に1683年、江戸駿河町の越後屋八郎右衛門が「呉服物現金安売り、掛値なし」をキャッチフレーズとする日本の引札第一号を配った。それに対抗して江戸の五大呉服屋である亀屋・恵比寿屋が共同戦線をはって「無念無双御安売」の引札を連合して配ったことが記述されています。 ・『広告文の歴史:キャッチフレーズの100年 (日経新書)』 (鵜月洋/著 日本経済新聞社 1965) 明治・大正から戦前・戦後の広告の歴史について記載があります。 p.20-79 江戸の引札---戯作者たちと宣伝文 の章があり、以下のような内容になっています。 広告・宣伝のはじまり---鬼才平賀源内 文学と広告---黄表紙の出現 引札の発達---江戸作家の執筆 風変わりな引札---広告効果とコピーライター 江戸芸能の利用---歌舞伎に進出した広告 ・『日本の広告表現千年の歩み:資料が語る 古代・中世・近世編』(大伏肇/著 日経広告研究所 1988.7) p.52-77 一、江戸の広告媒体 1 引き札 引き札の中で最も古く、最も著名な越後屋の引き札の広告文をはじめ、平賀源内作の「はみがき漱石香」の引き札などが原文で紹介されています。 ・『日本広告発達史 上』(内川芳美/編 電通 1976.8) 明治維新以前から日中戦争・太平洋戦争の終結までの広告の歴史が記述されています。「引札」については、以下に記述があります。 p.11 積極的広告“引札”の発生 ・『日本広告発達史 下』(内川芳美/編 電通 1976.8) 戦後から1970年までの広告の歴史が記述されています。 ・『日本広告史:経済・表現・世相で見る広告変遷』(八巻俊雄/著 日本経済新聞社 1992.10) 大宝律令の時代から1992年までの日本における広告の歴史が書かれています。 巻末には、「日本広告史-年表」があります。 p.34、52-54に「引札」についての記述があります。 ・『絵とき広告「文化誌」』(宮野力哉/著 日本経済新聞出版社 2009.5) p.56 平賀源内が宝暦七(1757)年、江戸湯島で日本初の“全国物産会”をひらき、十二年には規模を拡大して開催し、その前年には全国に「引札」を配布し、出品を呼びかけたとのことです。また、本居宣長が残した子供のためのくすりの「引札」の広告文についても記述されています。 p.80~85 天和三(1683)年の越後屋呉服店の「引札」についても記述があります。 広告効果は、配布の前月対比の売上高は、60%増との記録も残っているとのことです。 山東京伝、為永春水などの人気作家による「引札」の広告文についても紹介されています。 ・『広告 (ものと人間の文化史 130)』(八巻俊雄/著 法政大学出版局 2006.2) 本書は、大和時代から平成の広告について記述されています。 p.96-101 第六章 江戸時代の広告 四 江戸のマス・メディア---引札、世界の最初の広告効果測定 紙の製造コストが安くなっため、江戸時代には広告媒体として引札を使うようになってきたとのことです。『絵とき広告「文化誌」』でも記述があった越後屋が新築移転とともに出した1683年の引札の効果についてのグラフがp.98に掲載されています。 ・『広告会社の歴史』(斎藤悦弘/著 広告経済研究所 1997.8) p.2 日本最古の広告会社と言われる「弘報堂」の創業から記述されています。すなわち、1982年創刊の「時事新報」の社員だった工藤直純が、「時事新報」を創刊した福沢諭吉のすすめで、1884(明治17)年に広告取次専業の会社として設立したものとのことです。 ●「引札」についての資料は、以下の通りです。 江戸時代から明治・大正、あるいは昭和初期までの「引札」の歴史が紹介されています。江戸時代の「引札」についての記述があるものは頁数を記しました。 ・『引札 絵びら 錦絵 広告:江戸から明治・大正へ』(増田太次郎/著 誠文堂新光社 1977) p.10-「引札は文化・文政のころから盛んに行われはじめた」と題して、滝沢馬琴の書いた広告文を載せた引札と式亭三馬の店の引札の写真が掲載されています。 p.20 「庶民生活の中の引札」として、江戸時代引札はどのような場面に登場したかを具体的にあげています。江戸の作家・滝沢馬琴は引札の原稿をいくつも書いていたそうですが、彼の残した『馬琴日記』にはときには引札を見て買い物をしに行った話がでてきます。「角前脇菓子店橘屋、普請出来、今日見せびらきのよし昨日引札、今朝小児ども遣し落雁かひ取らせ候へば、廉末の団扇壱被出之」とあります。新築開店の店で落雁を買いにやったところ、団扇を一本くれたということのようです。 ・『引札絵ビラ風俗史 (青蛙選書)』(増田太次郎/著 青蛙房 1981.9) p.18 江戸・明治の引札 の項に式亭三馬の「江戸の水」や為永春水の「処女香」(むすめこう)の引札文を挙げて説明しています。 p.153-270 江戸時代の業種・業態別にみた引札についてそれぞれ具体的に記述があります。 ・『江戸コマーシャル文芸史』(井上隆明/著 高文堂出版社 1986.10) 江戸時代のみの記述です。 p.27-49 第六折 引き札と広告文 ・『引札:田村コレクション (京都書院アーツコレクション)』 (花林舎/編集 京都書院 1996.12) p.5-9 引札の歴史が記載されています。引札は、江戸時代、商業主義発展に伴い登場し、明治時代に盛んに発行され、大正時代には新聞紙上の広告やポスターなどの広告媒体にとってかわられたとのことです。 「商売繁盛 商品と絵様」、「福を呼ぶ 目出た尽くし」、「強く明るい 物語のヒーロー」、「宣伝の常套 美人と子供」、「時代を映す 文明開化」との章立てで田村コレクション(田村資料館:化粧道具、装身具、着物など女性の装いの品々を幅広く収集する)の引札をカラーで紹介しています。 ・『大阪の引札・絵びら:江戸・明治のチラシ広告』 (大阪引札研究会/編 東方出版 1992.5) 本書の収録した引札・絵びら類は、すべて大阪城天守閣の収蔵品のうちの「南木コレクション」のものであるとのことです。このコレクションは、上方の歴史と文化をテーマにした月刊郷土研究誌『上方』の編集・発行人であった南木芳太郎氏のものです。 p.47- 面白広告ウォッチング p.89- 暮らしの広告 にも江戸時代の「引札」についての記述があります。 ・『引き札と広告:八幡商人の華麗なる商い』(近江八幡市立資料館 2006.3) 本書は、近江八幡市立資料館の市制五十周年記念秋の特別展『八幡商人の華麗なる商い-百年前の引き札とカタログ展-』(平成十七年十月十五日~十月三十日)の展示解説書として作成されたもので、収録されている引き札のほとんどは、明治・大正を中心として昭和の初め頃までの作品です。 ・『明治・大正の広告メディア:<正月用引札>が語るもの』 (熊倉一紗/著 吉川弘文館 2015.3) 引札の中でも特に「正月用引札」を取り上げていますが、「引札」の歴史についても述べられています。 p.3「「引札」とは、商品の宣伝や広告、開店や売り出し披露を目的にとして配布された一枚摺り」とあり、その言葉の由来にも触れています。「お客を「惹く」目的で配布されたから、もしくはお客を店に「引っ張ってくる札」、あるいは「引く」というのが「配る」ということを意味しているために配る札、すなわち引札であるなど諸説存在する。」とあります。 また、正月用の引札の歴史として、発注・生産・流通・消費についてや、図像の変遷についても説明されています。 ・『幕末・明治のメディア展:新聞・錦絵・引札』(早稲田大学図書館/編 早稲田大学出版部 1987.10) p.56-72 第1章 江戸の広告 の章に「引札」について、記述があります。 ・『「はこぶ」引札これくしょん』(物流博物館/編集 利用運送振興会 2013.2) p.2に江戸時代の引札が紹介されています。 ・『引札と写真でみる明治の堺:明治期の堺をまちブラしてみませんか?』(堺市立中央図書館/編集 堺市立中央図書館 2011.11) ・『すりもの展:錦絵・引札・包装紙』(豊橋市美術博物館/編集 豊橋市美術博物館 2010.8) p.77-102 第4章 引き札にみる豊橋の商工業 明治後期から大正初めころに配られた「正月用引札」を中心に紹介しています。 ・『大阪の商家と引札 関西大学創立120周年記念事業 』(関西大学博物館 2004) ・『梅を描いた引札展:てんま天神梅まつり大盆梅展 』(大阪天満宮 2006.2) ・『梅を描いた引札展 2:てんま天神梅まつり大盆梅展』(大阪天満宮 2007.2) ・『梅を描いた引札展 3:てんま天神梅まつり大盆梅展』(大阪天満宮 2008.2) ・『吉祥づくし明治の引札:商家の広告印刷物にみる福徳円満のかたち』(天理大学附属天理参考館∥編集 天理ギャラリー 2012.1) ●論文 大学紀要等の学術論文をさがせるCiNii Articles (国立情報学研究所) http://ci.nii.ac.jp/ (2016/7/7現在)で検索しました。 ・樋口知志・佐藤友理「引札に見る近世・近代の社会と文化」『アルテス リベラレス』第86号(2010)p.41-67 岩手大学 機関リポジトリ http://ir.iwate-u.ac.jp/dspace/bitstream/10140/3775/1/al-no86p41-67.pdf (2016/7/7現在)インターネットから全文を閲覧できます。 [事例作成日:2016年7月7日] | |||||||||||||||||||||||||||||||
回答プロセス (Answering process) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
事前調査事項 (Preliminary research) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
NDC |
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参考資料 (Reference materials) |
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キーワード (Keywords) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
照会先 (Institution or person inquired for advice) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
寄与者 (Contributor) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
備考 (Notes) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
調査種別 (Type of search) | 文献紹介 | 内容種別 (Type of subject) | 質問者区分 (Category of questioner) | 個人 | ||||||||||||||||||||||||||||
登録番号 (Registration number) | 1000197584 | 解決/未解決 (Resolved / Unresolved) | 解決 |