レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年05月19日
- 登録日時
- 2013/08/30 16:29
- 更新日時
- 2016/07/13 11:04
- 管理番号
- 埼浦-2013-017
- 質問
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未解決
東京駅に戦前から大時計があり、滝廉太郎作曲「箱根の山」(正式には「箱根八里」)の替歌で最後の歌詞が「二十四型(にじゅうしがた)の大時計(おおどけい)」と歌われていた歌があった。戦後から昭和50年代位まで歌われていたとのことである。
その替歌の歌詞や歌ができた経緯について知りたい。
- 回答
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替歌、流行歌、東京駅関連の所蔵資料を調査したが、該当する歌詞は見つからなかった。
ただし「・・・二十二形の時計が無(ね)ー」という懐中時計の歌詞で終わる「スカラーソング(箱根の山替歌)」のひとつ「田舎漢」の情報はあった。
備考に追記あり。(2016/07/06)
- 回答プロセス
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自館目録を調査する。
「箱根八里」の替え歌について記述のある資料(該当の歌詞は見つからず)
『替歌・戯歌研究』(有馬敲著 KTC中央出版 2003)
p208-p211 「スカラーソング(箱根の山替歌)」の項。7つの替歌(A-I)と元歌が載っているが、最後が「二十四型(にじゅうしがた)の大時計(おおどけい)」で終わる替歌はなし。似たような歌詞で終わる替歌「田舎漢」はあり。
p208「B 田舎漢」の歌詞
「都に名高き須田町の 電車通りをながむれば 今は昔し 武蔵が腹の 面影いずこ ベルの音高く 走れる電車の 割引乗らんと 喧嘩腰の労働者 田舎の田吾作オヤジが 赤い毛布(ケット)をグルグル捲いて オレノ行く処ドコダッペー (中略)気をつけサッセ オリャハーブッタマゲタダヨ 二十二形の時計が無(ね)ー」
p211「元歌は「箱根八里」をうたい替えたものである。神長(瞭)月は初めてバイオリンを用いてうたった。「スカラーソング」は明治四十二年から長期にわたって流行し、多くの歌詞が作られている。歌詞Bの「二十二形」は文字盤が直径七センチの大型懐中時計で、マンジュウと呼ばれた。」
CD『小沢昭一が選んだ恋し懐かしはやり唄 四』(日本コロムビア 1999)
20曲目「スカラー・ソング」(神長瞭月作詞/滝廉太郎作曲(箱根八里))は違う歌詞。歌詞の1番目は前述の『替歌・戯歌研究』スカラーソングの「元歌」で、2番目は同書「D 書生」と同じ。
CDの解説書に該当の歌詞なし。
『流行歌でつづる日本現代史』(高橋磌一著 新日本出版社 1970)
p54-56「若くして死んだ天才・滝廉太郎」
p57「同じころ流行した『スカラー(スクール)ソング』は「箱根の山は天下の険」のふしでどなるようにうたうのですが、その中で「破れた洋服に弁当下げて、テクテク歩きの月給九円、自動車飛ばせる紳士をながめ、ホロリ、ホロリと泣き出し、神よ仏よききたまえ・・・」と歌っているのをききますと(中略)当時ようやく国産のバイオリンが三円、五円という値で出回り、苦学生ないしは一見苦学生風の演歌師がバイオリンを手にして街頭に立って民衆の心に投じたのでした。」
調査済み資料
『昭和流行歌史 別冊1億人の昭和史 39』(毎日新聞社 1979)
『なつかしの歌声 流行歌の昭和史』(永来重明著 三枝孝栄編 日本音楽出版 1971)
『流行り唄五十年』(添田知道著 朝日新聞社 1955)
『流行り唄の誕生』(朝倉喬司著 青弓社 1989)
『銀座はやり歌 1925-1993』(保田武宏著 平凡社 1994)
『「はやり歌」の考古学』(倉田喜弘著 文藝春秋 2001)
『雑学歌謡昭和史』(西沢爽著 毎日新聞社 1980)
『写真で見る昭和の歌謡史 1戦前・戦中編』(福田俊二編著 柘植書房 1991)
『写真で見る昭和の歌謡史 2戦後編』(福田俊二編著 柘植書房 1992)
『写真で見る昭和の歌謡史 戦前・戦中編補巻』(福田俊二編著 柘植書房 1994)
『日本の流行歌』(園部三郎著 大月書店 1980)
『日本民衆歌謡史考』(園部三郎著 朝日新聞社 1980)
『赤レンガの東京駅』(赤レンガの東京駅を愛する市民の会編 岩波書店 1992)
『東京駅ものがたり』(永田博著 ポプラ社 1974)
『駅の大図鑑』(川島令三監修 PHP研究所 2006)
『子どもの替え歌傑作集』(鳥越信著 平凡社 1998)
『子どもの替え歌傑作集』(鳥越信著 平凡社 2005)p16に替え歌の参考文献が載っているが、該当の記述なし。
『わらべうたの研究 研究編』(小泉文夫編 わらべうたの研究刊行会 1969)
『日本のわらべうた 室内遊戯歌編』(尾原昭夫編著 社会思想社 1972)
『童謡でてこい』(阪田寛夫著 津田櫓冬画 河出書房新社 1986)
『子どもの遊びとうた』(小泉文夫著 草思社 1986)
『わらべうた その伝承と創造』(岩井正浩著 音楽之友社 1987)
『ひとり親走る』(森まゆみ著 講談社 1994)
『日本の遊び歌』(川崎洋著 新潮社 1994)
『ワールドわらいツアー』(松谷みよ子責任編集 上杉久代絵 童心社 2000)
- 事前調査事項
- NDC
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- 声楽 (767 9版)
- 鉄道運輸 (686 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 替歌
- 流行歌
- 東京駅-歴史
- スカラーソング
- 照会先
- 寄与者
- 備考
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情報提供あり、以下調査本文。(2016/07/06)
《随想・東北農業の七十五年》(http://j1sakai.blog129.fc2.com/blog-entry-455.html 酒井惇一)
東北大学名誉教授 酒井惇一氏のブログ。
二十四型の大時計ではないが、「二十二型の時計台」で終わる箱根八里の替え歌(スカラーソング)の歌詞と関連記述あり。
調査プロセス中『替歌・戯歌研究』の「田舎漢」と類似しているが、一部歌詞が異なる。
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000136479