レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018/08/21
- 登録日時
- 2018/10/14 00:30
- 更新日時
- 2018/10/14 00:30
- 管理番号
- 6900003588
- 質問
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解決
『魔女の宅急便』のアニメ映画で、最後に飛行船が出てくるが、原作では描写がない。
なぜそのシーンが追加されたのか、監督や作者のコメントなどがあれば知りたい。
- 回答
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監督や作者が飛行船のシーンについて直接述べているものは見当たらなかったが、以下の資料に飛行船のことが書かれていた。
・『宮崎駿全書』(叶精二/著 フィルムアート社 2006.3)
p.132-151の「魔女の宅急便」の項目でこう書かれている。(以下、引用)
「飛行船『自由の冒険号』の墜落をめぐるパニックと大団円も原作にはない。それまでの抑制されていた日常的展開からは唐突な転調だが、宮崎得意の活劇を一気に噴出させ、娯楽作にふさわしい派手なフィナーレとなった」(p.136)
また、原作者が宮崎作品のファンであること、映画化にあたって「キキが旅立つ時に鐘をならしてほしい」と注文したことが書かれている。あまりの変更ぶりに原作者が難色を示したが、自宅に出向いたりスタジオに招待したりと説得に当たり、「結局宮崎を信頼して全権を託した」とある。
・『魔女の宅急便 文春ジブリ文庫』(スタジオジブリ/編 文藝春秋 2013.12)
「映画『魔女の宅急便』誕生」の中でこう書かれている。(以下、引用)
「特にラストのクライマックスシーンは、入れるか外すかスタッフ内でも意見が分かれたが、あった方がよりエンターテインメント性のある映画として魅力的になるのは確実だった」(p.41)
「原作の設定を活かしつつも大幅に内容を再構成し、時にはそこからかなり逸脱して完成している。そのため原作者である角野が不満を感じることになった。」(P.42)
プロデューサー補佐だった鈴木敏夫はこう述べている。
「メインスタッフの間では、キキが奥様からケーキをプレゼントされるシーンで終わったほうがいい(中略)でも、宮さんがやるなら、必ずおもしろいシーンになるはず」(p.63)
上記2つの資料で挙げられていた参考文献に、監督、原作者のコメントが掲載されていた。
・『COMIC BOX』3(52)<65>(ふゅーじょんぷろだくと 1989.10)
p.24-25に監督の文章が掲載されている。(以下、引用)
「映画はいや応ない現実感を持ってしまう為ですが、キキは原作よりも、より強い孤独や挫折を映画の中で味わうでしょう。」
「私達は、キキが街の上を飛ぶ時、屋根々々の下の人々に強い絆を感じつつ、前よりずっと自分であることをかみしている──そんな幸福な終章を用意するつもりです。」(p.25)
また、p.28-29の原作者インタヴューでは、脚本の段階で監督との話し合いが行われ、アニメーションにおける物語性と書物における物語性はちがうものだと分かった、とある。
・『アニメージュ』12(5)<131>(徳間書店 1989.5)
p.48-51に原作者の角野栄子、林明子、宮崎駿監督の座談会の記事が掲載されている。アニメの制作現場を見学している写真がある。
・『アニメージュ』12(8)<134>(徳間書店 1989.8)
p.28に主人公キキについて監督の公開直前インタビューが掲載されている。
また、以下に2018年6月15日のテレビ番組に原作者が出演した際のコメントが掲載されている。
・Book Bang 「魔女の宅急便」原作者が語る創作秘話 宮崎映画版をどう見たのかも告白[ゴロウ・デラックス](2018/8/16現在)
https://www.bookbang.jp/article/554311
映画を最初に見たとき「原作とだいぶ違い“おやおや”と思った」、映画化の際のお願いが「タイトルを変更しない」「キキという少女の世界観を変えないで欲しい」だったとある。
[事例作成日:2018年8月21日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
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- 映画 (778 8版)
- 参考資料
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- 宮崎駿全書 叶/精二∥著 フィルムアート社 2006.3 (132-151)
- 魔女の宅急便 スタジオジブリ∥編 文藝春秋 2013.12 (41-42、63)
- COMIIC BOX [第2次] 才谷/遼∥編集人 ふゅーじょんぷろだくと 3(52)<65> (24-25、28-29)
- アニメージュ 徳間書店 12(5)<131> (48-51)
- アニメージュ 徳間書店 12(8)<134> (28)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌事項調査
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000243803