レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2007/10/19
- 登録日時
- 2007/12/28 02:10
- 更新日時
- 2012/03/21 13:59
- 管理番号
- C2007T1202
- 質問
-
解決
原産国表示について参考になる資料を紹介してください。
- 回答
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主に日本で輸入品を扱う場合の「原産国表示」について、参考となる資料およびインターネット情報源をご紹介します。【 】内は当館請求記号です。
1.「原産国」の定義について
公正取引委員会HPの「商品の原産国に関する不当な表示」昭和48年10月16日公正取引委員会告示第34号)(http://www.jftc.go.jp/keihyo/files/3/gensan.html )によると、その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為(実質的変更行為)が行われた国を指しています。なお商品の原産地が一般に国名よりも地名で知られている場合は、原産地を原産国とみなすことが可能です。商品は国内または海外で生産されたものを対象とします。
この告示は、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)第4条第1項第3号の規定に基づいています。
なお、景品表示法の観点から見た原産国表示については、以下の資料が参考になります。
・『Q&A景品表示法:景品・表示規制の理論と実務』改訂第2版(川井克倭、地頭所五男著 青林書院 2007【AZ-418-H39】)
・『景品表示法』(菅久修一編著 商事法務 2005【AZ-418-H28】)
2.「実質的変更行為」について
個別の商品の実質的変更行為については、公正取引委員会HPの「商品の原産国に関する不当な表示」の原産国の定義に関する運用細則」(昭和48年12月5日事務局長通達第14号、その後2回改正あり)(http://www.jftc.go.jp/keihyo/files/3/gensankokusaisoku.html )に品目ごとに規定されています。品目は少なく、1.食料品(緑茶・紅茶、清涼飲料等)2.衣料品(織物、ソックス等)3.身のまわり品(かわ靴)4.雑貨(腕時計)です。例えば緑茶・紅茶の場合、「荒茶(製茶工程の初期部分)の製造」が行われた国が原産国となります。
次項でご紹介する「公正競争規約」では、更に多くの品目、業種の「実質的変更行為」が規定されています。同HPには他に「商品の原産国に関する不当な表示」の衣料品の表示に関する運用細則」(http://www.jftc.go.jp/keihyo/files/3/gensankokuiryohinsaisoku.html )等が載っています。
これらの告示、通達等を受けて、例えば業界団体である(財)日本化学繊維検査協会のHPでは「やさしく学べる表示入門 原産国表示」(http://www.kaken.or.jp/display/country/index.html )のページがあり、原産国表示について分かりやすく説明しています。また(社)日本アパレル産業協会では「アパレル業界における原産国表示マニュアル」(http://www.jaic.or.jp/jigyou/gensankoku/20060606.pdf )を作成しています。
なお、原産国表示の概要は「商品の原産国に関する不当な表示」(http://www.jftc.go.jp/keihyo/hyoji/kokujigensan.html )をご覧ください。
3.公正競争規約について
公正取引委員会HPに「公正競争規約」(http://www.jftc.go.jp/keihyo/kiyaku/kiyaku.html )があります。公正競争規約とは、景品表示法第12条の規定により、公正取引委員会の認定を受けて、事業者又は事業者団体が表示又は景品類に関する事項について自主的に設定する業界のルールです。「表示に関する事項」には、「原産国表示」も含まれます。規約に参加していない事業者には適用されないため、公正競争規約に参加していない事業者が行う虚偽・誇大な表示等については、公正取引委員会が景品表示法の規定に基づいて措置を採ることになります。
「公正競争規約が設定されている業種」(http://www.jftc.go.jp/keihyo/kiyaku/ichiran.html )によりますと、平成19年6月末現在105規約が設定されています。そのうち表示関係は67規約(食品関係35規約、酒類関係7規約、その他25規約)です。
4.公正競争規約に関する窓口(公正取引協議会)
公正競争規約に関する窓口が各業種の公正取引協議会です。(社)全国公正取引協議会連合会(http://www.jfftc.org/ )の「公正取引協議会」→「公正取引協議会一覧」には、公正各取引協議会の電話番号、およびHPへのリンクが掲載されています。
例えば、全国釣竿取引協議会HPには「原産国の表示」(http://www.jaftma.or.jp/koutori/gensankoku.htm )というページがあり、一般消費者に分かりやすい説明がされています。
「公正競争規約・規則条文」→「表示に関する公正競争規約」(http://www.jfftc.org/ )に各業種の規約全文が掲載されています。例として「A-9 辛子めんたいこ」を見てみると、第3条「必要表示事項」の7に、「輸入品にあっては、原産国名」とあり、「原産国」の定義としては、「辛子めんたいこについてはすけとうだらの卵巣に唐辛子を主原料とする調味液等で味付けをした国を、辛子めんたいこあえものについては農水産物を辛子めんたいこであえた国をいう」とあります。窓口は「全国辛子めんたいこ食品公正取引協議会」です。
「I-9 記録メディア製品」(磁気ディスク、光ディスク等)でも必要表示事項となっています。「公正競争規約施行規則」第7条第2項第2号に「原産国は一貫して生産した国とする。なお生産工程が2か国以上にまたがる場合は、テープあるいはディスクを生産した国と、組立を行った国をそれぞれ明記する」とあります。
窓口は「日本記録メディア製品公正取引協議会」です。
また、「違反事件のデータベース」(http://www.jfftc.org/ )では、排除命令、要望、警告の3区分を様々な項目から検索できます。「表示類型」の項目で「原産国」を選択すると、原産国に関する事例をご覧になれます。
5.「原産国」の表示義務について
今までにご紹介してきた「公正競争規約」等は、「不当、虚偽、誇大」な表示への規制が中心で、原産国表示を義務付けるものではありませんでした。それらとは異なり、「JAS法の対象となる飲食料品」は原産国の表示が義務付けられています。
6.JAS法の対象となる飲食料品
JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)第19条の13に基づき、
・「生鮮食品品質表示基準」(平成12年3月31日農林水産省告示第514号 その後改正あり)(http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/kijun_01.pdf )
・「加工食品品質表示基準」(平成12年3月31日農林水産省告示第513号 その後改正あり)(http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/kijun_02.pdf )
等の告示が出されており、輸入品の原産国名の表示が義務付けられています。ただし、生鮮食品は一律に原産国名の表示義務があるのに対し、加工食品は表示義務がない場合もあるようです。
対象となる加工食品や生鮮食品の定義、表示義務を負う者等については、上記の告示に載っていますが、以下の資料やサイトにも分かりやすい説明があります。
●図書資料
・『輸入食品ハンドブック:輸入食品Q&A 2004』(日本貿易振興機構 2004
【EG261-H63】)
・『貿易と表示 2006』(日本貿易振興機構 2006【A411-H367】)
・『食品表示Q&A: 制度の概要と実務に役立つ事例 : ここが変わった!!加工食品の表示ルール』改訂版(食品表示研究会編 中央法規出版 2007【EG261-H145】)
・『食品の適正表示マニュアル』(サイエンスフォーラム 2003【EG261-H43】)
●インターネット情報源
・農林水産省「食品表示Q&A・ガイドライン等」(http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/qa.html )
・厚生労働省「加工食品に関する共通Q&A(第1集)」(http://www.mhlw.go.jp/qa/syokuhin/kakou/index.html )
7.輸入通関上の原産地認定基準
輸入通関の際、協定税率(WTO協定上、WTO加盟国・地域に対して一定率以上の関税を課さないことを約束している税率)を適用する場合の原産地認定基準は、「協定税率を適用する場合の原産地の認定基準」(関税法基本通達68-3-5)等で規定されています。通達の全文は『関税関係基本通達集 平成19年度版』(日本関税協会 2007【CZ-373-H20】)、または税関HPの「関税法基本通達」(http://www.customs.go.jp/kaisei/zeikantsutatsu/kihon/TU-S47k0100-s06-03~04.pdf )でご覧になれます。
日本貿易振興機構(ジェトロ)HPの「日本における外国産品の輸入通関上の原産地認定基準について」(http://www.jetro.go.jp/jpn/regulations/import_10/04A-000927 )等にも分かりやすく説明されています。
上記資料は最近のデータを調べるためのものです。年代を遡って調べる際は、資料のタイトルや当館請求記号が異なる場合があります。当館蔵書検索・申込システムNDL-OPAC(http://opac.ndl.go.jp/index.html )によって、請求記号をご確認ください。
(インターネット最終アクセス:2007年10月19日)
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 貿易 (678 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 貿易品
- 不当景品類及び不当表示防止法
- レーベリング
- 食品衛生
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000040588