レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2014年01月08日
- 登録日時
- 2014/11/25 17:10
- 更新日時
- 2015/01/08 14:52
- 管理番号
- 埼熊-2014-068
- 質問
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未解決
「気心腹口命」という詩句を最初に言ったのは誰か、また、類似のものがあるか知りたい。
- 回答
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最初に言った人物は分からなかったが、以下の資料に詩句の記述、類似の詩句の記述があり、これを提供した。
『成語大辞苑 故事ことわざ名言名句』(主婦と生活社 1995)
p747-748〈短気は短命〉の解説に「気長をすすめる有名な道歌(教訓を含む短歌)がある。『気は長く心は丸く腹立てず口慎めば命長かれ』」とあり。
『日本宗教と日系宗教の研究 日本・アメリカ・ブラジル』(中牧弘允著 刀水書房 1989)
p306 ある宗教団体の信者がもってきたとして「気心腹口命」を紹介している。
『日本の条件 16 高齢化社会』(NHK取材班編 日本放送出版協会 1985)
p129 アンケートの回答に「『気は長く、心は丸く、腹立てず、口慎めば、命長かれ』(六五歳)」とあり。
また、類似の詩句に以下のものがあった。
1「気は長く心は丸く腹は立てずに商売繁盛」
「特集・ことば20のQ&A」(『言語 14(5)』p65 大修館書店 1985)
「「気心腹二升五合」と書いて、「気は長く 心は丸く 腹は立てずに 商売繁盛」と読ませる」とあり。
『石子順造著作集 1 キッチュ論』(石子順造著 喇嘛舎 1986)
p143「ほかに『人』という字を大きく、『己』を小さく、『心』を丸く、『腹』を横に、『気』を縦長に書いて、“人は大きく己は小さく心はまるく腹立てず気は長く”と読ませ、『春夏冬』の三文字で“あきない”(飽きないと商いにかける)、『客』『成り』の二字の間に鈴をつけて“客のすずなり”と読むなど、(以下略)」とあり。
2「気は長く心は丸く腹たゝす勤はきつく言はのこして」
『東都茶会記 1 明治四十五年~大正三年 近代茶会史料集成』(高橋箒庵著 熊倉功夫校注 淡交社 1989)
p218 井伊直弼の短歌「気は長く心は丸(まろ)く腹たゝす 勤(つとめ)はきつく言(こと)はのこして」あり。この短歌は「又最も面白きは気の字を長く書き、心の字を丸く書き、腹の字を横に書き、勤の字を正しく書き、言の字の最後の一画だけを書き残して左の如き歌あり」とあり。
3「気は長く勤めはかたく色薄く心はふとく食は細かれ」
『狂歌鑑賞辞典 角川小辞典 36』(鈴木棠三著 角川書店 1984)
p129下段「気は長く勤めはかたく色薄く心はふとく食は細かれ」[豊芥子日記・上/耳袋・1]狂歌師手柄岡持の作。」とあり。
『続日本随筆大成 別巻 10 近世風俗見聞集』(吉川弘文館 1983)
手柄岡持「豊芥子日記」収載。p306に「気勤色心 気は長く勤めはかたく色薄く心はふとく食は細かれ」とあり。
4「気は長くつとめは堅く色うすく食ほそうして心ひろかれ」
『道歌教訓和歌辞典』(木村山治郎編 東京堂出版 1998)
p106下段「気は長く勤めは強く色薄く食細うして心広かれ(作者未詳『閑窓瑣談』後)」とあり、「耳袋」にも所収。一本に天海僧正の作とされるが、そちらは第二句が「勤めは堅く」となっている旨の記述あり。
『日本随筆大成 第1期 14』(吉川弘文館 1975)
p416「閑窓瑣談後編 第49 熨斗」〔割註〕に「「気は長く勤めは強く色薄く食細うして心広かれ」とあり。「誰も知れる歟、養生の歌あり」とあり、作者の記述なし。
『比叡山延暦寺 世界文化遺産 歴史文化ライブラリー 55』(渡辺守順著 吉川弘文館 1998)
p66「寛永20年(1643)に、家光らの厚い看護も空しく天海は入滅した。辞世に『気は長くつとめは堅く色うすく食細うして心ひろかれ』がある。」
『小江戸川越見て歩き ぶらり旅、見どころ情報満載 見て歩きシリーズ 8』(松尾鉄城編 幹書房 2009)
p26の欄外に、天海僧正の長寿歌として以下の二首が紹介されている。
「長命は 粗食 正直 日湯 陀羅尼 折々 御下風 あそばさるべし」
「気は長くつとめはかたく色うすく食細うして心広かれ 」
- 回答プロセス
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《Googlebooks》(http://books.google.co.jp/ Google 2014/01/08最終確認)で該当した資料を確認したほか、調査途中で判明した道歌関係の資料を確認した。
- 事前調査事項
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質問者自身でインターネット情報を調査。尾関宗園(臨済宗の僧侶)に関する情報があったが、元はもっと古い人ではないかとのこと。
- NDC
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- 人生訓.教訓 (159 9版)
- 参考資料
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- 『成語大辞苑 故事ことわざ名言名句』(主婦と生活社 1995) , ISBN 4-391-11756-8
- 『日本宗教と日系宗教の研究 日本・アメリカ・ブラジル』(中牧弘允著 刀水書房 1989)
- 『日本の条件 16 高齢化社会』(NHK取材班編 日本放送出版協会 1985) , ISBN 4-14-008420-0
- 『言語 14(5)』(大修館書店 1985)
- 『石子順造著作集 1 キッチュ論』(石子順造著 喇嘛舎 1986)
- 『東都茶会記 1 明治四十五年~大正三年 近代茶会史料集成』(高橋箒庵著 熊倉功夫校注 淡交社 1989)
- 『狂歌鑑賞辞典 角川小辞典 36』(鈴木棠三著 角川書店 1984)
- 『続日本随筆大成 別巻 10 近世風俗見聞集』(吉川弘文館 1983)
- 『道歌教訓和歌辞典』(木村山治郎編 東京堂出版 1998) , ISBN 4-490-10490-1
- 『日本随筆大成 第1期 14』(吉川弘文館 1975)
- 『比叡山延暦寺 世界文化遺産 歴史文化ライブラリー 55』(渡辺守順著 吉川弘文館 1998) , ISBN 4-642-05455-3
- 『小江戸川越見て歩き ぶらり旅、見どころ情報満載 見て歩きシリーズ 8』(松尾鉄城編 幹書房 2009) , ISBN 978-4-902615-50-0
- キーワード
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- 気心腹口命
- 道歌
- 人生訓
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000163555