レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/12/15
- 登録日時
- 2016/03/03 00:30
- 更新日時
- 2016/03/25 18:35
- 管理番号
- 6000025582
- 質問
-
解決
豊中市内にも北向地蔵がいくつかあるが、なぜ北向きと言われるのか
- 回答
-
『日本石仏図典』続(国書刊行会)には、北向きの呼称は「尊像が北向きに安置されているということではな」く、「地蔵菩薩の浄土である佉羅陀山は南方にあって、ここに座すお地蔵様は、おのずと北を向くことになるから」とある。
また、それだけではなく、北や鬼門を避ける感覚があるなかで北向きの地蔵、観音、不動、庚申などとされるのは、近世の子権現信仰とも関わる可能性について言及されている。
他方、「北向地蔵考:異名にみる北向信仰」(田野登)では、南方から自然と北を向くという説をとらず、忌むべき方角とされた北を向いてたつ「北向地蔵信仰を、北向きである故に格別な霊威を信じる信仰、即ち北向信仰の一つとして考えて」いる。
また芝田商店街のサイト(http://www.shibata-shotenkai.com/)の記事「北向地蔵尊」(http://www.shibata-shotenkai.com/history_003/)のように、方角を重んじる見解もある。
- 回答プロセス
-
地域資料を確認してから、仏像の書架にある参考図書を調べた。
- 事前調査事項
- NDC
-
- 仏像 (718 9版)
- 民間信仰.迷信[俗信] (387 9版)
- 参考資料
-
- 『日本石仏図典』続 日本石仏協会/編(国書刊行会) (p73)
- 『日本石仏図典』日本石仏協会/編(国書刊行会)
- 『仏教故事名言辞典』須藤 隆仙/著(新人物往来社) (p139-140)
- 『地蔵さま入門』大法輪編集部/編(大法輪閣)
- 『お地蔵さま』伊藤 古鑑/著(春秋社)
- 『観音・地蔵・不動』速水 侑/著(講談社)
- 『地蔵菩薩}下泉 全暁/著(春秋社)
- 『民間の地蔵信仰』大島 建彦/編(渓水社) (p408-409,p433)
- キーワード
-
- 北向き地蔵(キタムキジゾウ)
- 北向地蔵(キタムキジゾウ)
- 北面地蔵(ホクメンジゾウ)
- 地蔵菩薩
- 地蔵信仰
- 伽羅陀山(カラダセン)
- 佉羅提耶山(キャラダイヤセン)
- 佉羅提山(キャデイラセン)
- 佉羅陀山(キャラダセン)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
-
豊中市蛍池東町の箕輪池の北向地蔵は『新修豊中市史』民俗(豊中市,p273)
豊中市上新田の愛宕神社の北向地蔵は『豊中の史跡たずね描き』(豊中市立教育研究所,p20-21)、『写真でみる上新田』(五一会,p19-20,p29)
豊中市柴原町の北向地蔵は、『とよなかの史跡巡り』(瀧健三)、『天花燦々 豊中市仏教会70周年記念誌』(豊中市仏教会)、『豊中の伝説と昔話』(鹿島友治)、『豊中の史跡たずね描き』(豊中市立教育研究所)
それぞれ参照のこと
佉羅陀山については『仏教故事名言辞典』(新人物往来社)をご覧いただいた。
『地蔵さま入門』(大法輪閣)に所収の「異名地蔵物語」(真野俊和)によると、三吉朋十『武蔵野の地蔵尊』(有峰書店)に収載された地蔵名のなかで頻出するもののひとつとして「北向き地蔵」があるとのこと。
『観音・地蔵・不動』(講談社)に「地蔵の住所」として、『十輪経』の内容をもとに、「仏が佉羅提耶山(伽羅陀山)で地蔵に教示したという記載があり、地蔵は衆生を救うため南方から来る、とも記している。地蔵の住みかが南方だというのは、インド人の世界観で、須弥四州のうち南方の州が人間の住む世界とされ、人間の住む大地の神としての地蔵にふさわしいからであろうか」としている。
『民間の地蔵信仰』(渓水社)所収の「大阪市西区の地蔵信仰調査報告」(田野登)に設置方位について考察あり。大阪市堀江の和光寺にある北向地蔵の謂いが紹介されている。同氏の『歴史手帖』収載の論考「北向地蔵考」が本テーマについて詳しく論じられている。
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土,言葉
- 質問者区分
- 庁内
- 登録番号
- 1000188784