レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011年06月07日
- 登録日時
- 2013/04/25 16:37
- 更新日時
- 2013/08/06 10:13
- 管理番号
- 埼久-2013-009
- 質問
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解決
掛け軸にあった「禍勝謹」という言葉(語順が変わって「謹勝禍」ということもあるらしい)の意味と作者について知りたい。
- 回答
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前漢の劉向の撰による「説苑」(ぜいえん)巻16の説叢(せっそう)にある「力勝貧。謹勝禍。慎勝害。戒勝災。」(レ点省略)の中の一成語である。
以下の資料により意味は、「心を慎めば天からの災いを逃れることができる」
なお『論衡』(ろんこう)命禄篇第3に「故日、力勝貧、慎勝禍。・・・」という同旨の語句がある。
『故事成語諺語辞典』(高橋源一郎著 明治書院 1972)
p370〈ち〉の項「力は貧に勝ち、謹は禍に勝ち、慎は害に勝ち、戒は災いに勝つ」の項あり。 意味は「働けば貧乏を追い退け、謹めば禍を追い退け、慎重にして居れば害を追い退け、警戒して居れば災いも追い退けることができる」出典は説苑の説叢。
『中国名言名句の辞典』(小学館 1989)
p495前漢の『説苑』(ぜいえん)の説叢(せっそう)の出典による、「力は貧に勝ち、謹みは禍に勝ち、慎みは害に勝ち、戒めは災いに勝つ」の語句あり。「努力は貧しさにうちかち、心を慎めば天からの災いを逃れることができ、慎重になにごとにもとりくめばさまざまの妨げにあうことがなく、戒めを守れば災難にあうことがないのである」
p168 『論衡』(ろんこう)命録の出典による「力(ちから)は貧(ひん)に勝(まさ)り、慎(つつし)みは禍(か)に勝(まさ)る」語句あり。意味は、努力は貧しさを打ち破ることができるし、慎重であることは、災いを遠ざけることができる。
『中国故事名言辞典』(角川書店 1974)
p613「力(りょく)は貧(ひん)に勝(か)ち、慎(しん)は禍(か)に勝(か)つ」〈力勝貧 慎勝禍〉の言葉あり。(意味)努力は貧乏に勝ち、慎みは禍を防ぐ。出典として『説苑』説叢と『論衡』命禄をあげている.。
『漢文叢書 〔12〕 説苑』(塚本哲三編 有朋堂書店 1920)
巻16説叢の項p554に漢文と読み下しあり。
『新釈漢文大系 68 論衡 上』(明治書院 1988)
p64-67の中に漢文「故日、力勝貧、慎勝禍。・・・」と通釈「だから「稼ぐに追いつく貧乏はなく、用心には禍は勝てない」といわれる。(後略)」あり。語釈の欄には「力勝貧 説苑の説叢篇に、「力勝貧、謹勝禍、慎勝害」と。稼ぐに追いつく貧乏なしの意」とあり。
『中国古典新書 〔95〕 論衡』(綿本誠著 明徳出版社 1983)
p111-113第7節(人が努力すること〈人為〉の真の意味について)に読み下し「故に曰く、力、貧に勝り、慎、禍に勝ると。(後略)」、漢文は上記と同様、語釈と訳もあり。語釈は「力、貧に勝り・・・は『説苑』説叢篇に「力勝貧、謹勝禍、慎勝害」とある。」とあり。訳は「だから「努力すれば、貧しさに勝てるし、慎重にしていれば禍におちいることはない」と云う言葉がある。・・・(後略)」とあり。
『中国学芸大事典』(近藤春雄著 大修館書店 1980)
p421に〈説苑〉(ぜいえん)の項あり。「20巻。漢の劉向の撰。前賢先哲の逸話を記している。(後略)」
p864に〈論衡(ろんこう)〉の項あり。 「30巻。後漢の王充の撰。(後略)」
- 回答プロセス
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《Google》を〈禍勝謹〉で検索すると、個人のサイトに『字源』の引用で「【力勝貧】 チカラハヒンニカツ つとめはたらくときは貧に勝つことを得。説苑「─── 謹勝禍、愼勝害、戒勝災」とあり。
〈力勝貧〉から探す。
- 事前調査事項
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『大漢和辞典 2』p362〈力〉の語彙に「〔説苑、説叢〕力勝貧 謹勝禍 慎勝害 戒勝災」とあり。
- NDC
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- 辞典 (823 9版)
- 中世思想.近代思想 (125 9版)
- 参考資料
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- 『故事成語諺語辞典』(高橋源一郎著 明治書院 1972)
- 『中国名言名句の辞典』(小学館 1989)
- 『中国故事名言辞典』(角川書店 1974)
- キーワード
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- 故事熟語-中国
- 劉向
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000130785