レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2020/08/08
- 登録日時
- 2021/04/17 00:30
- 更新日時
- 2021/08/19 11:33
- 管理番号
- 牛久-1674
- 質問
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解決
武蔵七党に(むさししちとう)ついて知りたい。また、武蔵七党の中に小野妹子の小野家に関係する党があるらしいがその党はどこか知りたい。
- 回答
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○武蔵七党について次を紹介。
・『国史大辞典 13』(国史大辞典編集委員会編/吉川弘文館/1992.4)…p596
・『埼玉県の歴史 第2版』(田代脩/山川出版社/2010.11)…p81-113
・『図説埼玉県の歴史』(小野文雄責任編集/河出書房新社/1992.7)…p102-107
・『日本歴史大事典 3』(小学館/2001.3)…p872
○小野妹子と同じ系図に名前のある小野篁(たかむら)を祖とするのが、武蔵七党の横山党と猪俣党である。次の資料を紹介。
・『国史大辞典 14』(国史大辞典編集委員会編/吉川弘文館/1993.4)…p382「横山党」
・『国史大辞典 1』(国史大辞典編集委員会編/吉川弘文館/1979.3) …p767「猪俣党」
・『日本家系・系図大事典』(奥富敬之/東京堂出版/2008.7)…p210、p213、p1144
・『姓氏家系歴史伝説大事典』(志村有弘編/勉誠出版/2003.7)…p169、p324、p1234
〇追加調査で、武蔵七党、横山党、猪俣党について、次にも確認する。
・『武蔵の武士団』(安田元久/吉川弘文館/2020.2)…p140-154
・『姓氏家系大辭典 第3卷下』(太田亮/角川学芸出版/2012.7)…p6456-6459
・『姓氏家系大辭典 第1卷上』(太田亮/角川学芸出版/2012.7)…p504-506
- 回答プロセス
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1. フリーワードに「武蔵七党」を入れて、自館資料検索をしたところ、資料が1件、レファレンス記録「R1000726」が1件ヒット。初めに資料を確認。
(1)『続群書類従 第5輯 上 訂正3版』(塙保己一編纂/続群書類従完成会/1979)
…p213-246武蔵七党系図 有道。p246-260武蔵七党系図 村山あり。横山・猪俣党はなし。
2. 次にレファレンス記録「R1000726」を確認し、次の資料にあたる。
(2)『国史大辞典 13』(国史大辞典編集委員会編/吉川弘文館/1992.4)
…p596に「武蔵七党」は、「平安時代末期から鎌倉・室町時代にかけて、武蔵国に存在した同族的武士団の総称」とあり。武蔵七党は、猪俣党、私市(きさい)党、児玉党、丹党、西党、村山党、横山党だが、私市党の代わりに、野与(のよ)党、綴(つづき)党を入れる説もありとの記載あり。
…p688に「村山党」の項あり。
→この8党について同じく『国史大辞典』で確認。
(3)『国史大辞典 14』(国史大辞典編集委員会編/吉川弘文館/1993.4)
…p382に「横山党」の項あり。小野党ともいい、「小野篁を祖とする」という記述あり。
(4)『国史大辞典 1』(国史大辞典編集委員会編/吉川弘文館/1979.3)
…p767に「猪俣党」の項あり。「小野篁を祖とする」という記述あり。
(5)『国史大辞典 5』(国史大辞典編集委員会編/吉川弘文館/1985.2)
…p870に「児玉党」の項あり。
(6)『国史大辞典 10』(国史大辞典編集委員会編/吉川弘文館/1989.9)
…p864に「西党」の項あり。
(7)『国史大辞典 9』(国史大辞典編集委員会編/吉川弘文館/1988.9)
…p350に「丹党」の項あり。
(8)『国史大辞典 11』(国史大辞典編集委員会編/吉川弘文館/1990.9)
…p437に「野与党」の項あり。
(9)『国史大辞典 4』国史大辞典編集委員会編/吉川弘文館/1984.2)
…p62に「私市党」の項あり。
→参考資料に次の資料あり。
(10)『武蔵の武士団』(安田元久/有隣堂/1984.12)
(11)『武蔵武士』(渡辺世祐・八代国治/有峰書店/1971.3)
→(10)(11)のタイトルで自館資料検索をするが所蔵なし。相互貸借を薦めるが不要とのこと。(3)横山党(4)猪俣党の資料に「小野篁を祖とする」の記述あり。
3. (10)(11)より、フリーワード「武蔵武士」を入れて資料検索。1冊ヒット。
(12)『埼玉県の歴史 第2版』(田代脩/山川出版社/2010.11)
…p81-113「3章 武蔵武士の栄枯盛衰」に武蔵七党を含む武蔵武士についての記述あり。小野妹子に関する記述なし。
4. 埼玉県の歴史資料にもあるのではないかと考え、請求記号「21-」の棚を「埼玉県」をキーワードにブラウジング。次の資料を確認。
(13)『図説埼玉県の歴史』(小野文雄責任編集/河出書房新社/1992.7)
…p102-107「武蔵武士の栄光と悲劇」の項に 武蔵七党を含む武蔵武士の活躍についての記述あり。小野妹子に関する記述なし。
5. 請求記号「210」の参考資料の棚をブラウジング。
(14)『日本歴史大事典 3』(小学館/2001.3)
…p872「武蔵七党」の項に、「中世前期に武蔵国に成立し、源平争乱期に活躍した党的武士団の総称。横山党のほか、猪俣・児玉・丹・西・私市・村山党で七党とするが、野与党・綴党を入れる説もあり」との記載あり。
→「武蔵七党」について(2)(12)(13)(14)の資料を紹介。
6. 「武蔵七党」の資料から小野妹子にたどれる資料がなかったので、「家系」と「姓氏」をキーワードに請求記号「288」の参考資料の棚をブラウジング。
(13)『日本家系・系図大事典』(奥富敬之/東京堂出版/2008.7)
…p210に、一族には、遣隋使となった妹子や、篁がいるとの記述あり。179番の小野系図に、妹子、篁の名あり。
…「小野氏」の項の第五項に「武蔵七党のうちの横山・猪俣両党は小野篁の末裔」との記述あり。「武蔵七党系図」「小野氏系図」→181とあり。
…p213の181番の系図に、「小野篁」より横山・猪俣に分かれた系図の記載あり。
…p1144「横山家」の項に、「武蔵七党の小野姓が、武蔵国多摩郡横山(八王子市横山町)を領して横山氏(横山党)を呼称」との記述あり。
…p92に「猪俣家」の項に、「猪俣党は、武蔵国猪俣(埼玉県美里村猪俣)より起こった」との記載あり。
→以上より、小野妹子と小野篁は小野家の系図にあり、小野篁の末裔が横山党と猪俣党であると判明。参考資料として『新撰姓氏録』の書名あり。
(14)『姓氏家系歴史伝説大事典』(志村有弘編/勉誠出版/2003.7)
…p169「猪股・猪俣」の項に、「武蔵の猪俣氏は春日氏族・小野氏流である」との記述あり。
…p324「小野」の項に、「近江の小野臣の子孫に小野臣妹子がいる」との記述あり。また、「平安末期以来、武蔵に小野氏が栄え、武蔵七党の横山、猪俣二党がその流れを組む」との記述あり。
…p1237「横山」の項に、武蔵七党のひとつの横山党は、平安期の文人小野篁を祖とする小野氏族の流れを組む」との記述あり。
(15)『日本史諸家系図人名辞典』(小和田哲男監修/講談社/2003.11)
…p205に「小野氏」の項目あり。小野氏の家系図に小野篁と小野妹子の記載あり。武蔵七党についての記載なし。
7. (13)より「姓氏録」をフリーワードに入れて自館資料検索し、次の資料にあたる。
(16)『新撰姓氏録の研究 索引・論考篇』(佐伯有清/吉川弘文館/1984.3)
…p78「人名検索」の「小野朝臣妹子」の項と、「小野朝臣篁」の項から第2巻を参照とあり。
(17)『新撰姓氏録の研究 考証篇 第2』(佐伯有清/吉川弘文館/1982.3)
…p9-12「小野朝臣」の項に小野朝臣氏の一族の名前に小野妹子、小野朝臣篁とあり。武蔵七党につながる記述なし。
…p13-15「小野妹子」の項はあるが、武蔵七党につながる記述はなし。
→以上より武蔵七党の横山党と猪俣党が小野篁の末裔であり、小野篁は小野妹子と同じ系図にあることを(3)(4)(13)(14)の資料より確認し、紹介する。
8. 追加調査でフリーワード「武士団」で自館資料検索し次の資料を確認。
(18)『武蔵の武士団』(安田元久/吉川弘文館/2020.2)
…p129-178「武蔵七党」の項に、平安末期から鎌倉・南北朝時代にかけて、武蔵国各地の同族的武士団についての記述あり。
…p140-149「2横山党」の「横山党の出自」の項に、「横山氏は小野篁の八代の孫孝泰」とあるが、「横山氏の系譜を小野篁に結びつけることに無理がある」とし、『姓氏家系大辞典』を紹介。
…p149-154「3猪俣党」に「猪俣党は横山氏と同祖、小野姓」としながらも「この両者が同祖、小野姓として結びつくのはいささか不自然」との記述あり。
9. (18)より、書名に「姓氏家系大辞典」を入れて自館資料検索し、次の資料を確認。
(19)『姓氏家系大辭典 第3卷下』(太田亮/角川学芸出版/2012.7)
…p6456-6459「横山」の項の出自に「小野氏系図に拠れば、この姓は小野篁の後成」とあるが「横山氏は妹子や篁を出した小野氏とすることが出来ない」との記述あり。
(20)『姓氏家系大辭典 第1卷上』(太田亮/角川学芸出版/2012.7)
…p504-506「猪股(猪俣)」の項に、「横山氏と同族で小野朝臣より出づ」とあるが、「中央に栄えた小野朝臣姓にあらずして、多摩郡小野郷より起こりし小野氏と考えられる」との記述あり。
→(18)~(20)の資料より、横山党・猪俣党は、「武蔵七党系図」「小野氏系図」から小野氏を祖としていることとしながらも、異論を唱える説あり。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本史 (210 10版)
- 関東地方 (213 10版)
- 系譜.家史.皇室 (288 10版)
- 参考資料
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- B10053096 国史大辞典 13 国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1992.4 210.033 9784642005135
- B10019427 国史大辞典 14 国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1993.4 210.033 9784642005142
- B10001160 国史大辞典 1 国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1979.3 210.033 9784642005012
- B10584058 日本家系・系図大事典 奥富敬之/著 東京堂出版 2008.7 288.1 978-4-490-10736-4
- B10244361 日本歴史大事典 3 小学館 2001.3 210.033 9784095230030
- B10397713 姓氏家系歴史伝説大事典 志村有弘/編 勉誠出版 2003.7 288.1 9784585060420
- B10651744 埼玉県の歴史 第2版 田代脩/著 山川出版社 2010.11 213.4 978-4-634-32111-3
- B10003571 図説埼玉県の歴史 小野文雄/責任編集 河出書房新社 1992.7 213.4 9784309611112
- B10885919 武蔵の武士団 安田元久/著 吉川弘文館 2020.2 213.404 978-4-642-07113-0
- B10664568 姓氏家系大辭典 第3卷下 太田亮/著 角川学芸出版 2012.7 288.1 978-4-04-622726-3
- B10664565 姓氏家系大辭典 第1卷上 太田亮/著 角川学芸出版 2012.7 288.1 978-4-04-622721-8
- 国史大辞典 4 国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1984.2 210.033 9784642005043
- 国史大辞典 5 国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1985.2 210.033
- 国史大辞典 9 国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1988.9 210.033 9784642005098
- 国史大辞典 10 国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1989.9 210.033 9784642005104
- 国史大辞典 11 国史大辞典編集委員会/編 吉川弘文館 1990.9 210.033 9784642005111
- キーワード
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- 武蔵七党
- 小野氏
- 横山党
- 猪俣党
- 小野妹子
- 武蔵武士
- 小野篁
- 武士団
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000297247