レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2018年03月22日
- 登録日時
- 2018/11/08 09:53
- 更新日時
- 2019/02/27 15:11
- 管理番号
- 埼久-2018-058
- 質問
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解決
鎌倉時代の日常生活におけるあいさつは、どのようなものだったか知りたい。
- 回答
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下記の資料を紹介した。
前田富祺著「あいさつ言葉の歴史」(『日本語学 1985年8月号』p79-89 明治書院 1985)
p83-85 「極楽寺殿御消息」「古今物語集」等の記述から、中世の挨拶について推測している。「中世は、“ものまう”“まうし”“さらば”“かたじけない”などの、あいさつ言葉が一般的に使われるようになってきたことが注目される」とあり。参照資料は誌面の関係から柳田国男「毎日の言葉」のみを挙げている。
小林千草著「中世武家のあいさつことば」(『國文學 : 解釈と教材の研究 1999年5月』p55-60 學燈社 1999.5)
p56 狂言を参考に、平和な状況下での名乗りの方法や、友の家を尋ねたときの挨拶など、中世における挨拶例とその解説あり。参考資料に「大蔵虎明本狂言台本(臨川書店刊複製、表現社刊翻刻)」とあり。
- 回答プロセス
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1 NDC分類〈810〉(日本語)の棚の、中世の言語について書かれていそうな資料を確認する。
『あいさつ語辞典』(奥山益朗編 東京堂出版 1985)
全編にわたって、各あいさつの言葉とその解説、出典が書かれている。年代の説明等はないが、p72「沙汰」の出典として宇治拾遺物語が挙げられるなど、鎌倉時代に用いられていた語も掲載されている。
『講座日本語の語彙 第10巻 語誌』(佐藤喜代治編 明治書院 1983)
p142 「さようなら」の項に「別れのことばとしての「さらば」は平安時代にはまだ稀であったが、中世以降次第に多くなり、室町時代・江戸時代にはもっと一般的になる」とあり。
2 《国会図書館サーチ》(http://iss.ndl.go.jp/ 国会図書館)を〈中世 & あいさつ〉〈中世 & 口語〉で検索する。
小林千草著「中世武家のあいさつことば」(回答資料)
3 《CiNii Articles》(http://ci.nii.ac.jp/ 国立情報学研究所)を〈あいさつ言葉〉で検索する
倉持益子著「あいさつ言葉の変化」(「明海日本語 18増刊」p259-284 明海大学日本語学会 2013)
《国会図書館デジタルコレクション》(http://dl.ndl.go.jp/ 国会図書館)でインターネット公開されている(http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10305401)。
「日本で最も早く定型化したのは、別れの言葉であるといわれる。それは平安時代に使われるようになった「さあらば」から成った「さらば」である可能性が高い。(中略)「別れの時のあいさつ言葉は比較的早く発達していたらしい。(中略)中古前期にはすでに“さらばよ”という別れの言葉が成立していたことがわかるのである。」(前田,1985:83)」とあり。
参考文献に前田富祺著「あいさつ言葉の歴史」(『日本語学 1985年8月号』p79-89 明治書院 1985)が挙げられている。
4 自館目録で上記の雑誌を検索し、内容を確認する
前田富祺著「あいさつ言葉の歴史」(回答資料)
『毎日の言葉』 (柳田国男 角川書店 1967)
主に江戸時代以降のことばについて書かれており、中世以前の記述は少ない。
p17 「カタジケナイという言葉なども(中略)中世以前には低い者から長上に向かって用いたもので」とあり。
p78 挨拶の名詞の形である「モノイイ」について、古今集の中に「物申すわれ」という言葉が見えるとあり。
ウェブサイト・データベースの最終アクセス日は2018年3月22日。
- 事前調査事項
- NDC
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- 日本語 (810 9版)
- 語彙 (814 9版)
- 参考資料
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- 『日本語学 1985年8月号』(明治書院 1985.8)
- 『國文學 解釈と教材の研究 1999年5月』(學燈社 1999.5)
- キーワード
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- 鎌倉時代
- 日本語
- 言葉
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 言葉
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000245389