レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2011/11/01
- 登録日時
- 2012/01/13 02:00
- 更新日時
- 2012/01/13 02:00
- 管理番号
- 1000000447
- 質問
-
解決
那覇の「馬場通り(ばばどおり)」について、その地名の由来を知りたい。
- 回答
-
「馬場通り」とは、戦前にあった古波蔵馬場(クハングゥ ンマフィー)の名残りであると思われる。どの資料にも具体的な「馬場通り」の説明はなく、通称であろうと思われる。
下記の資料を紹介する。
『沖縄の歴史的集落景観(マーウィ―等)整備に関する調査 別冊』(国建地域計画部、2003年)
p.14で、馬場跡の土地利用に関して、もっともよく転用されるのは道路であるとし、「馬場が細長く道路形状と似ていたこと、もともと道路と兼用される例があったことなどが影響していると考えられる。」と、その理由を述べている。表3-2「沖縄県の馬場跡の分布状況」に、那覇市の古波蔵馬場も載っているが、馬場通りという名称はない。
「馬場と馬勝負 -沖縄における農村娯楽の一側面- 」(西村秀三)『沖縄文化 第99号(第40巻1号)』(『沖縄文化』編集所、2005年)
『沖縄の歴史的集落景観(マーウィ―等)整備に関する調査』に基づいた論文。馬場と馬勝負の歴史にも焦点を当てている。馬場について、「…おそらく琉球王国時代から昭和初期ごろにかけて、沖縄には馬場が広く分布しており、そこではンマスーブ(馬勝負)などと呼ばれる競馬が折にふれ行われていた。」とし、馬場の形状については、「馬勝負は直線の競争だったため、幅が10?15メートル、長さが100?300メートルほどと細長く、現在の商業的な競馬場とはおもむきが異なる。両脇に…並木が植えられ、…走り終わった馬の身体を洗うため、馬場の近くにはかなりの割合でクムイ(ため池)があり…」と述べている。
表2「沖縄県の馬場跡の分布状況」に、古波蔵馬場の馬場名として馬場通りの記載はないが、いくつか類似の馬場名がある。伊江村東江前の「馬場通り」、同村東江上の「シリウプ道」、今帰仁村今泊の「フプミチ」、石垣市平得の「ウマバミチィ」(国道390号)などで、いずれの馬場跡も現在は道路になっている。
『那覇市立城岳小学校・幼稚園創立50周年記念誌』(那覇市立城岳小学校・幼稚園創立50周年記念事業実行委員会、2000年)
p.74 「子供たちが通う校門前の通りが今なお馬場通りと呼ばれていることからも、ここが戦前、見事な松並木に囲まれて、人々が自慢の馬を走らせ競わせる古波蔵馬場という馬の競技場であったことを…」、とある。
『真和志市誌 』(新垣 清輝、真和志市、1956年)
p.87-88 「古波蔵村」の項に、「村内の丘陵地の空地を古波蔵馬場と称え、近在の調馬所として 古くからよく知られていた」という記載がある。
『那覇市史 資料篇 第2巻中の7 』(那覇市企画部市史編集室、1979年)
p.40「楚辺」の項に、「古波蔵馬場跡に小学校、その近くに無線局、刑務所が建ち…」、とある。
『激動の記録 那覇百年のあゆみ』(那覇市企画部市史編集室、1980年)
見開きに「旧那覇市の歴史・民俗地図」があり、真和志村の楚辺尋常小学校の隣に古波蔵馬場跡が見られる。
『沖縄県の地名』(平凡社、2002年)
「馬場」の項目には馬場通りについての記述なし。
p179「古波蔵」の項に、「…ほかに旧跡として、古波蔵馬場(現城岳小学校一帯)や…」との記述はあるが、馬場通りに関する記述はない。
『沖縄の地名の由来』(崎原 恒新、月刊沖縄社、1985年)
p.313 「真和志」の項に、真和志の語源について、『馬場を中心とした馬路(ウマミチ)と馬揃い(ウマゾロイ)、馬追い(ウマオイ)と、更に転じて真地となり、この馬場の真地が真和志に転化してきたと考えられるが…」との記述あり。「馬場通り」に関しての記述はなし。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
- 参考資料
-
- 1 沖縄の歴史的集落景観(マーウィー等)整備に関する調査 別冊 国建地域計画部∥[編集] 国建 2003.3 K29/KU44/
-
2 沖縄文化 第99号(第40巻1号) 『沖縄文化』編集所∥編集 『沖縄文化』編集所 2005.6 K05/O52/99 p.79-112 -
3 [那覇市立]城岳小学校・幼稚園創立50周年記念誌 那覇市立城岳小学校∥編 那覇市立城岳小学校・幼稚園創立50周年記念事業実行委員会 2000.3 K376/J61/ p.74 -
4 真和志市誌 新垣 清輝∥著 真和志市役所 1956.2 K23/A63/ p.87 -
5 那覇市史 資料篇 第2巻中の7 那覇市企画部市史編集室∥編 那覇市役所 1979.1 K23/N27/2-2-7 p.40 -
6 那覇百年のあゆみ 那覇市企画部市史編集室∥編 那覇市 1980.3 K23/N27/ p.72 -
7 沖縄県の地名 平凡社 2002.12 K29/O52/ p.179 -
8 沖縄の地名の由来 崎原 恒新∥著 月刊沖縄社 1985.3 K29/SA42/ p.313
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 当館所蔵調査
- 内容種別
- 地名
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000099702