レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2002/03/09
- 登録日時
- 2006/06/29 02:11
- 更新日時
- 2009/02/20 14:49
- 管理番号
- 埼久-2001-165
- 質問
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解決
吉川英治の「新・平家物語 5」(吉川英治歴史時代文庫 51)に「火乃国の巻」があり、文中にも「火の国、伊豆…」という表現が見られる。
①一般的に〈火の国〉は熊本県を指すが、伊豆を〈火の国〉と称した歴史的事実があるか。
②伊豆を〈火の国〉と表現したことについて、著者等の解説はあるか。
③著作にあたって参考とした古典作品に、該当の記述はあるか。
- 回答
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①歴史的事実は確認できなかった。ただし、火山の多い日本を〈火の国〉と表現した論文や、伊豆諸島では古代から火山活動が活発だった旨の記述、火の神にまつわる熱海の民話があり。また、川端康成の作品にも伊豆を〈火の国〉と表現した記述が見られる。
②吉川英治が書いた随筆や、作家・作品研究資料にあたるが、見あたらなかった。
③『吉川英治全集 38』(「新・平家物語 6」)「完結のことば」にあげられていた史料にあたるが、該当の記述は見あたらなかった。
- 回答プロセス
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①各地名・歴史・百科事典、静岡県関係資料、『国会雑索 CD-ROM』等にあたるが歴史的事実は確認できず。
ただし、『月刊百科 1987.7』収載の「日本は火の国・水の国」(大木靖衛)では、火山の多い日本を〈火の国〉と表現し、1986年11月の伊豆大島三原山噴火を論じている。
『日本歴史地名体系 22 静岡県』〈伊豆国(イズノクニ)〉の項には伊豆諸島の火山活動」と題して、伊豆諸島では古代から火山活動が活発であった旨の記述あり。同様の記述は『郷土資料事典 22』等にも見られる。
また、『伊豆風土記』の「熱海という名の街」に、昔火の神が海底に火の腕を突っ込んで岩を引っぱり、「出ず」(伊豆)の国ができたという民話あり。
文学的表現では川端康成「伊豆序説」(『川端康成全集 26』所収)に、「伊豆が男性的な火の国のしるしである。」という文章が見られる。
②吉川英治が書いた随筆や、作家・作品研究資料にあたるが見あたらず。
③『吉川英治全集 38』(「新・平家物語 6」)「完結のことば」に、「『平治物語』『保元物語』『平家物語』『源平盛衰記』『義経記』『吾妻鏡』といったもの、すべてに踏みまたがっており、それに一つの系列とわたくしの創意を与え…」とあり。
以下の資料にあたるが確認できず。『日本古典文学大系 31、32、37』(「保元物語 平治物語」「平家物語 上」「義経記」)『新定源平盛衰記 2』『平家物語総索引』『平家物語研究事典』『吾妻鏡総索引』『吾妻鏡地名索引』『保元物語総索引』『平治物語総索引』。
以上を回答する。
- 事前調査事項
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調査済資料:「角川日本地名大辞典」「国史大辞典」「静岡県の歴史」「吉川英治人と作品」「随筆新平家」ほか
- NDC
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- 日本 (291 9版)
- 小説.物語 (913 9版)
- 参考資料
- キーワード
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- 伊豆-静岡県-地名
- 吉川 英治(ヨシカワ エイジ)
- 小説-日本文学
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 地名
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000029288