複数の資料から1965年と判断しました。
「カストールアルバム」は「Albums du Pere Castor」のことで、『フランス児童文学の研究』(「ポール・フォシェと「カストール叢書」)によると、
「パリのフラマリオン社」から出版された絵本の叢書名であることがわかります。
日本では「カストール文庫」「カストール叢書」「カストールおじさん」「ペール・カストール画帖」などと訳されています。
『日本児童文学大辞典』第2巻 P17-18「中谷千代子」の項目に、「フランスのカストール文庫に加えられた」という記述があります。
参考文献として『絵本の時代に』松居直著 大和書房 1984.8(726.5/759N)が紹介されており、
この本のP144-150「中谷千代子の世界」の項には、絵本編集者ペール・カストールことポール・フォシェ氏が、
『かばくん』を「ペール・カストール文庫」という絵本シリーズの1冊として出版したいと語ったという記述があります。
出版年がわかる情報を3つ挙げます。
(1)『詩情のどうぶつたち:中谷千代子絵本の世界』の
最終ページ(ページ付けなし)の項目「Books Printed in foreign country」に
「HIPPOPOTAMUS by Eriko kishida Flammarion(france) 1965」とあります。
(2)『海外で翻訳出版された日本の子どもの本 1998』
「1965(年) Hippo/Flammarion/france」とあります。
(3)国立子ども図書館・児童書総合目録で、タイトル「hippo」著者名「nakatani」出版社「flammarion」で検索すると以下の本がヒットします。
『Debout!mon brave hippopotame』images de Chiyoko Nakatani ; sur un texte de Ericho Kishida ;
adapte du japonais et pressente par le Pere Castor / Flammarion
出版年の欄には、国際子ども図書館所蔵には「1965年」、東京都立多摩図書館所蔵には「c1962年」とあります。
「カストール叢書の『かばくん』がこの年に出版された」という記述は確認できませんでしたが、
以上を総合して判断しました。
「カストールアルバム」や人物「ペール・カストール」について、参考までに以下の本もご紹介しておきます。
・『フランス児童文学への招待』末松氷海子著 西村書店 1997.4(909/101N)
P131-140「”カストールおじさん”の絵本」
・『フランスの子どもの本』私市保彦著 白水社 2001.2(909/140N)
P148-153「ロシアの絵本運動と「カストールおじさん」の絵本叢書」
・『十二人の絵本作家たち』瀬田貞二著 すばる書房 1976.2(726.5/749N)
P177-192「ペール・カストール」
・『子どもの本の世界 300年の歩み』ベッティーナ・ヒューリマン著 福音館書店 1981(909/32)
P99-112 「ペール・カストールと一九三〇年以後の発展」
このP101-102からも、この叢書が「フラマリオン書店」から出ていることが確認できました。
なお「カストール叢書」は『Albums du Pere Castor』(出版社:Flammarion)として2002年まで発行され、
2003年からは『Albums du pere Castor Flammarion』(出版社:Pere Castor Flammarion)に引き継がれているようです。(NACSIS Webcat検索結果より)