レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2010年05月27日
- 登録日時
- 2010/11/02 10:00
- 更新日時
- 2011/01/22 13:25
- 管理番号
- 9000006455
- 質問
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解決
「身無遺憾常安枕 室有餘楽自煮茶」の出典、意味を知りたい。
- 回答
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書き下し文は「身に遺憾無く常に枕を安んじ、室に余閑有り自ら茶を煮る」、意味は「身の上に心残りに思う事がないから枕を高くして安眠できる、部屋にいてひまがあれば自身で茶を煮る」。出典は清の歴史学者・趙翼(ちょう,よく 1727-1814)の七言律詩「歳晏」。
- 回答プロセス
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1.『新註墨場必携(改訂12版)』(市河米庵輯 大文館書店 1985)に掲載あり。書き下し文は「身に遺憾無く常に枕を安んじ、室に余閑有り自ら茶を煮る」。意味は「「身の上に心残りに思う事がないから枕を高くして安眠できる、部屋にいてひまがあれば自身で茶を煮る」。出典については示されていない。他の漢詩には作者名の記載があるものもある。
2.漢詩、中国の名言、他の「墨場必携」と付く図書、茶道の茶掛けに関する図書などを見るが、該当の文は見つけられなかった。
3.インターネットの検索エンジンでこの文を検索すると、中国語のサイトが数件ヒットした。翻訳サイトで日本語に翻訳するが、出典や作者について手がかりとなるものはなかった。
4.【追記 2011.1.4】
近畿大学中央図書館さんより次の情報の提供があった。
・下記の文献に当該詩の収録あり。
『趙翼全集』(趙翼撰,曹光甫校點 南京:鳳凰出版傳媒集團 :鳳凰出版社 2009)全6冊
ISBN:9787807292821 [セット]
肆:(第4册) 甌北詩鈔 七言律七
P.479
歳晏
老猶頑健眼纔花、似覺年光尚未涯。
館閣人皆成後輩、詩文集頗列名家。
身無遺憾常安枕、室有餘閑自煮茶。
預喜麥収炊餅大、陳瑩中擬傲京華。
陸:(第6册) 甌北集 (下)
p.1082
歳晏
老猶頑健眼纔花、似覺年光尚未涯。
館閣人皆成後輩、詩文集頗列名家。
身無遺憾常安枕、室有餘閑自煮茶。
預喜麥収炊餅大、陳瑩中擬傲京華。
・古典籍総合データベース(早稲田大学図書館)で下記の画像が公開されており、当該詩を確認。
『甌北詩鈔(おうほくししょう)』(趙翼[撰] 湛貽堂 乾隆56[1791]序)全8冊
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/i13/i13_00951/ (2010/12/28確認)
7コマ → 72コマ
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/i13/i13_00951/i13_00951_0007/i13_00951_0007_p0072.jpg (2010/12/28確認)
- 事前調査事項
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『漢詩の事典』(松浦友久編 大修館書店 1999年)、『漢詩名句辞典』(鎌田正著 大修館書店 1980年)には掲載がない。
- NDC
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- 詩歌.韻文.詩文 (921 9版)
- 参考資料
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- 『新註墨場必携(改訂12版)』(市河米庵輯 大文館書店 1985) (p776)
- 『甌北詩鈔(おうほくししょう)』(趙翼[撰] 湛貽堂 乾隆56[1791]序)http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/i13/i13_00951/i13_00951_0007/i13_00951_0007_p0072.jpg (古典籍総合データベース(早稲田大学図書館)※2010/12/28確認)
- キーワード
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- 漢詩
- 身に遺憾無く
- 身無遺憾
- 照会先
- 寄与者
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- 近畿大学
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 人生訓・名言・ことわざ
- 質問者区分
- 図書館
- 登録番号
- 1000073098