レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2015/08/30
- 登録日時
- 2016/02/25 00:30
- 更新日時
- 2017/02/24 10:49
- 管理番号
- 千県東-2015-0010
- 質問
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解決
松尾芭蕉の句「枯枝に 烏のとまりけり 秋の暮」について、以下のことを知りたい。
(1)秋の暮れとは秋の季節の暮れか、それとも1日の終わりの暮れなのか。
(2)季語が二つ(「枯枝」と「秋の暮」)あるのは芭蕉だけに許されているのか。
- 回答
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(1)『新編俳句の解釈と鑑賞事典』【資料1】P47-48に「この句の〈秋の暮〉について、芭蕉自身は延宝末年の作句当時には暮秋の意味に用い、のち『あら野』に再録されるころには仲秋の夕暮れという読み方も許容するようになっていたのではないかと思われる。」とある。また、『芭蕉全発句』【資料2】p91には、「「秋の暮」は、当時暮秋・秋夕の両方に用いられた、気分本位の曖昧な季語である」とあり、秋の季節の暮れと一日の終わりの暮れのどちらの意味にもとることができると考えられる。
(2)『新編俳句の解釈と鑑賞事典』【資料1】p600に、一句の中に季語を二つ以上含む「季重り」について、「ふつうには、一句の統一が乱れることから避けるものとされるが、一方が主であることが明らかな場合や統一に支障のない場合には、一概にきらうべきではない。〈目には青葉 山ほととぎす 初鰹 素堂〉のように成功した例もある。」との記述がある。また、『山下一海著作集 第5巻』【資料3】p128-133には、芭蕉の門弟、去来が「俳諧作法書の類には、発句には当季の季語が必要であるとは説いてあっても、ことさらに一句は一季語に限るといったことが書かれているわけではない」「季重なりはいっこうにかまわないが、好んですることではない」と述べたとある。さらに、許六などの彦根蕉門の俳人が季重なりの句を多く詠んでいたことが示されている。
- 回答プロセス
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(1)自館の「俳句」(NDC 911.3)の参考図書、「松尾芭蕉」(NDC 911.32)の書架をブラウジングし、『新編俳句の解釈と鑑賞事典』【資料1】と『芭蕉全発句』【資料2】に「秋の暮」の解説を発見した。
(2)「秋の暮」の解説を参照した『新編俳句の解釈と鑑賞事典』【資料1】の「用語小辞典」の項目に、「季重り」があるのを発見。さらに、自館蔵書検索システムで全項目キーワード「季重なり」で検索すると【資料3】がヒットし、内容を確認したところ季重なりに関する記述があった。
- 事前調査事項
- NDC
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- 詩歌 (911 9版)
- 参考資料
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- 【資料1】『新編俳句の解釈と鑑賞事典』(尾形仂編 笠間書院 2000)| 2101268789 ;
- 【資料2】『芭蕉全発句』(山本健吉著 講談社 2012)| 2102488508 ;
- 【資料3】『山下一海著作集 第5巻』(山下一海著 おうふう 2015)| 2102694865 ;
- キーワード
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- 松尾芭蕉(マツオバショウ)
- 俳句(ハイク)
- 季語(キゴ)
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 事実調査
- 内容種別
- 一般
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000188513