レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013/08/22
- 登録日時
- 2014/04/12 00:30
- 更新日時
- 2014/04/21 13:30
- 管理番号
- 6001001248
- 質問
-
未解決
大阪市中央区にある「小楠公義戦之碑(藤澤章による)」の碑文の全文が知りたい。
- 回答
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(【】内は、当館請求記号)
当館所蔵の『大阪史蹟辞典』287-288頁「小楠公義戦之趾」の項に、「…「正平二年(1347)十一月二十六日、楠木正行は山名時氏、細川顕氏の軍と渡辺橋で戦い、快勝、橋から大川に落ちた五百数十名の敵兵を救出、寒天で凍りつくのを暖め、衣食と薬を与えた。この恩に感謝した敵兵は帰順し、翌年正月五日、正行が四條畷で戦死する時、全員ともに討死、本当に忠孝、友愛、仁義の人、まさに彼は日本精神の化身である。明治の初め、わが国が赤十字に加盟する時、欧米人はこの話を聞いて感銘し、容易に加盟が認められた。また、楠木正成も元弘二年(1332)にやはりこの付近で北条方を破っている」との意の、藤沢章の文が刻まれている。…」と書かれておりますが、これが碑文の全文かは確認できておりません。
当館の大阪文献データベースで「小楠公」をキーワードにヒットした資料のうち、池田半兵衛/著「幻の淀川記念碑をー小楠公義戦碑に寄せてー」(『大阪春秋』第36号 95-97頁)の96頁には、「昭和十五年…小楠公の義戦の跡を記念する顕彰碑を建てた。…銘文は藤澤南岳の孫、藤澤章次郎(號・黄坡)が口語文で淡々と書いた。「「太平記(巻二十六)」は義戦をこう伝えている。「安部野の合戦は霜月二十六日の事なれば、渡辺の橋よりせき落されて流るる兵五百余人、甲斐なき命を楠に助けられて河より引上げられたれども、秋霜肉を破り暁の氷膚に結んで生くべきとも見えけるを、楠情ある者なりければ小袖を脱ぎ替えさせて身を暖ため、薬を与えて疵を療ぜしむ。かくの如く四、五日皆労わりて、馬に乗る者には馬を引き、物ノ具失える人には物ノ具をきせて、色代してぞ送りける。されば敵ながらその情を感ずる人はやがて彼の手に属して後、四條畷手の合戦に討死をぞしける。」」とあり、上掲『大阪史蹟辞典』とほぼ同様の内容が書かれています。
インターネットで「藤沢章」&「太平記」で検索すると、参考になりそうな記事が数件ヒットしました。
・「なにわ人物伝 -光彩を放つー 楠木氏の一族(7)」『大阪日日新聞』2001年5月28日
※上記2件とほぼ同じ内容のほか、「「…正行は真に忠孝、友愛、仁義の人だ。まさに日本精神の化身である。明治の初めわが国が赤十字に加盟するおり欧米人はこの話を聞いて感動し、容易に加盟が認められた。」との内容が、漢学者藤沢章の名文で刻まれている。『太平記』の「正月参吉野事」の項にもこの合戦は出る。碑は昭和15(1940)年「大阪市東区教育会」の建。」とある。
・「日本の旅 関西を歩く 大阪市中央区の八軒家船着場周辺」
※個人の方のページと思われるが、碑文の写真が掲載されている。
その他、以下の資料を確認しましたが、碑文の内容に触れているものを見つけることはできませんでした。
・『大阪の人と史跡:その伝承』大阪観光協会 1978【372/287/#】
※14頁「小楠公義戦顕彰碑」には、碑文の内容に関する手掛かりなし。
・『東区史 第一巻 総説篇』 大阪市東区役所 1942【328/89/#】
※「第二節 渡辺の合戦」218頁に、「渡辺橋忠義戦の意義は愈々深く、舊津の畔に義戦碑も樹てられた次第である。」とある。
・『東区史 第四巻 文化篇』 大阪市東区役所 1941【328/89/#】
※「二 渡辺橋の古戦場」1140-1142頁には、顕彰碑建立の経緯等が述べられているが、碑文の内容や藤澤章氏に関する情報は見当たらず。
・『東区史跡めぐり:ミニガイド』大阪市東区役所 1980【291.63/619N】
・『三惜書屋初稿』藤沢章次郎/著 藤澤黄坡先生華甲祝賀會 1936 【237.2/102/#】
・西田孝司「大阪南部に残る泊園書院藤澤南岳・黄鵠・黄坡の揮毫と碑文ー中河内郡恵我村別所の中山家資料を中心にー」『なにわ・大阪文化遺産学研究センター 2007』裏1-22頁 関西大学なにわ・大阪文化遺産学研究センター 2008【709.1/379N】
・『東区百景:東区制100周年を記念して』東区制100周年記念事業実行委員会 1979【435/1511/#】
・『紀元二千六百年の大阪』大阪市役所産業部観光課 1940【378/483/#】
また、朝日新聞DB「聞蔵Ⅱビジュアル」で「小楠公」「紀元二千六百年」「藤澤章(黄坡)」「大阪市東区教育会」等をキーワードに検索しましたが、手掛かりを得ることはできませんでした。
[事例作成日:平成26年3月27日]
- 回答プロセス
- 事前調査事項
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『中央区史跡文化事典』…「小楠公義戦之碑」についての記載はあるが、碑文の全文は、載っていなかった。
- NDC
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- 日本 (291 8版)
- 参考資料
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- 大阪史蹟辞典 三善/貞司∥編 清文堂 (287-288)
- 大阪春秋 新風書房 新風書房 11(1-4)<35-38> (96)
- キーワード
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 書誌事項調査
- 内容種別
- 大阪,人物・団体
- 質問者区分
- 個人
- 登録番号
- 1000152068