レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2022年11月03日
- 登録日時
- 2022/11/11 12:33
- 更新日時
- 2023/04/06 14:07
- 管理番号
- 2022-12.1
- 質問
-
解決
江戸時代の逸話を探している。内容は以下の通り。井原西鶴が書いたのではないかと思う。
「江戸時代、隅田川の花火大火で、あまりの混雑に圧死者が出るという事件があったが、その際、機転を利かせた一人の武士がとっさに刀を抜いて振りかざし、押し寄せる群衆を押しとどめて被害を食い止めた」
- 回答
-
逸話は隅田川の花火大会ではなく、西鶴の時代から100年ほど下った文化4年(1807)8月19日、深川八幡祭に行く群衆のため永代橋が崩れ落ち多数の溺死者を出した(引き取られた遺体四百八十余人、死者行方不明者数二千人と言われている)、「永代橋崩落事故」で生まれたものと思われる。
以下の資料の、「永代橋崩落事故」を扱った記述の中に、質問者が語ったものと類似のエピソード(一人の武士がとっさに刀を振るって押し寄せる群衆を制止し被害を防いだ)が、記されている。
①「兎園小説余録」(曲亭 馬琴)『日本随筆大成 第2期 5 梅園拾葉』(吉川弘文館)収録(26頁)
②「蜘蛛の糸巻」(山東 京山)『日本随筆大成 第2期 7 筠庭雑録』(吉川弘文館)収録(326頁)
③『甲子夜話 [正]1 東洋文庫』松浦 静山/著(平凡社) 巻2-45 40頁
④「夢の浮橋」(太田 南畝)『燕石十種 第4巻』(中央公論社)収録(171頁~172頁)
⑤『大江戸橋ものがたり』石本 馨/著(学習研究社)33頁
⑥『楽しく読める江戸考証読本二』稲垣 史生/著(新人物往来社)24頁
⑦『禁断の江戸史』河合 敦/著(扶桑社)22頁~23頁
⑧『江戸の懐古』田中 優子/監修(講談社学術文庫)339~340頁
なお、資料①③④には、武士の名前は記されていない。②⑧は「南町奉行組同心 渡辺小右衛門」、⑤⑥⑦は「渡辺小左衛門」とある。
他に参考にした資料:『江戸逸話事典』(新人物往来社) 『国史大辞典』(吉川弘文館)(※「永代橋崩落事故」についてはこちらを参照)いずれも逸話については記載なし。
- 回答プロセス
- 事前調査事項
- NDC
-
- 日本史 (210)
- 橋梁工学 (515)
- 評論.エッセイ.随筆 (914)
- 参考資料
-
-
日本随筆大成編輯部 編. 日本随筆大成 第2期 第5巻. 吉川弘文館, 1994.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002346562-00 , ISBN 4642090282 -
日本随筆大成編輯部 編. 日本随筆大成 第2期 第7巻. 吉川弘文館, 1994.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002357739-00 , ISBN 4642090304 -
松浦 静山/[著] , 松浦‖静山. 甲子夜話 [正]1. 平凡社, 1977. (東洋文庫 ; 306)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I005590484-00 , ISBN 4582803067 -
[岩本活東子 編] , 岩本, 活東子, 1841-1916. 燕石十種 第4巻. 中央公論社, 1979.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001436723-00 -
石本馨 著 , 石本, 馨, 1957-. 大江戸橋ものがたり. 学習研究社, 2008.
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009307680-00 , ISBN 9784054037236 -
稲垣史生著 , 稲垣, 史生. 大江戸八百八町編. 新人物往来社, 2010. (楽しく読める江戸考証読本, 2)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I000007799-00 , ISBN 9784404038050 -
河合敦 著 , 河合, 敦, 1965-. 禁断の江戸史 : 教科書に載らない江戸の事件簿. 扶桑社, 2020. (扶桑社新書 ; 324)
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I030261878-00 , ISBN 9784594084196
-
日本随筆大成編輯部 編. 日本随筆大成 第2期 第5巻. 吉川弘文館, 1994.
- キーワード
-
- 江戸時代
- 逸話
- 永代橋
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000323940