レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 2013年06月28日
- 登録日時
- 2013/06/08 18:32
- 更新日時
- 2013/06/28 16:19
- 管理番号
- 岩手-143
- 質問
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解決
南部牛追いの鞭の素材を知りたい。
- 回答
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「堅い木」という記述は見つけられたが詳細が書かれた資料は見つからなかった。牛馬用鞭一般の素材も併せて紹介した。
【南部牛追いの鞭について】
参考資料1 『民俗文化 第11号』 p123-171 「南部牛追いの伝承 小本街道を事例として」(胡桃沢 勘司)
p129 本文一部抜粋
“手にはブツを持つ。ブツは牛を追うための棒で、結構長く、やはり牛方が自ら作っていた。”
p140 本文一部抜粋
“牛方は、手にブチ(棒)を持ち、これを振りながら牛を追って行く。ブチは、長さ三尺くらいで、固い木で作る。”
備考:注記があるが、素材については記載なし。
参考資料2 『野田村の歴史ものがたり』
p207 本文一部抜粋
“牛方は三尺余(約1メートル)のムチ(鞭)をもって、牛を統べる”
参考資料3 『野田塩ベコの道』
p23 本文一部抜粋
“牛方はムチ棒を振り上げ振り廻し、牛を追うのだが、長さ三尺三寸以内であれば、他人に当っても咎にはならぬという、不文律があったといわれている。”
【鞭一般について】
参考資料4 『絵引民具の事典』
p258 むち(鞭):「牛馬を制御するための道具」、「竹あるいは革が一般的だが、クマヤナギ・グミの枝なども使われた」とある。
参考資料5 『日本民具辞典』
p558 むち(鞭):上記『絵引民具の事典』と同様の記載のほか、「梅の木なども使われた」とある。
参考資料6 『国史大辞典 13』
p625 鞭(むち):「馬には刺激を与え、意図する行動をさせるための細長い強靭な棒」、「材質は木と竹を主」とある。
【牛追いの方法について】
参考資料7 『塩の道 野田街道』
p20 本文一部抜粋
“一人の牛方が追う一はずな(四-七頭)の牛のうち、最も強い牛をワガサと呼ぶ。牛にも、それぞれ個性があって何頭もの牛を一緒に引くのは難しい。そこで最も強い牛をリーダーに群れを統率させたのである。そのリーダーがワガサ。春先の角合わせで選ばれる。”
参考資料8 『岩手のあか牛物語 日本短角種と農村社会』
p45 「南部牛の輸出先と行方」本文一部抜粋
“牛を集団にして(およそ三十頭前後)牛追いが前後について、牛を追い立てて行く”
p46 “牛群全体の統制を乱さずに整然と現地迄送りとどけるには、先ず先立ち牛(リーダー牛)を早く見つけ出すことが重要で、この先立ち牛に叺をつけ、牛片の食糧とか牛の味噌を入れて、ふりわけにくくりつけて道中をしていった。”
p54 「牛追い行動調査」本文一部抜粋
“最も実力のある牛を「くがさ」といって先牛とし、力の序列に従って隊を組むと隊列がみだれることがなかった。(中略)これを早く見究めて隊列をつくりあげていくことが、牛片の重要な仕事であった。”
- 回答プロセス
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郷土資料で畜産業関連をブラウジング。得た情報を元に、「塩の道」「野田街道」をキーワードに蔵書検索。合わせて街道史と市町村史(野田・久慈)を通覧。
民俗関連資料で民具についての資料を通覧したが、記載は見つからなかった。
民具関連資料と、『国史大辞典』で「鞭」の項を参照。
国立国会図書館サーチで、キーワード「南部牛」×「街道」で検索。参考資料1『民俗文化 第11号』が該当した。
- 事前調査事項
- NDC
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- 畜産業 (640 9版)
- 交通史.事情 (682 9版)
- 風俗習慣.民俗学.民族学 (380 9版)
- 参考資料
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参考資料1 『民俗文化 第11号』近畿大学民俗学研究所∥編集・出版 1999年
pp.123-171 「南部牛追いの伝承 小本街道を事例として」(胡桃沢 勘司)
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I006877535-00 -
参考資料2 『野田村の歴史ものがたり』佐々木 勝三∥著 田村 栄一郎∥編 野田村(九戸郡) 1989年
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036190323-00 -
参考資料3 『野田塩ベコの道』野田村村誌編纂委員会∥著・編集 野田村(九戸郡) 1981年
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036167567-00 -
参考資料4 『絵引民具の事典』岩井 宏實∥監修 工藤 員功∥編 中林 啓治∥作画 河出書房新社 2008年
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009606489-00 , ISBN 9784309224879 -
参考資料5 『日本民具辞典』日本民具学会∥編集 ぎょうせい 1997年
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002609859-00 , ISBN 4324039127 -
参考資料6 『国史大辞典 13』国史大辞典編集委員会∥編 吉川弘文館 1992年
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002228337-00 , ISBN 4642005137 -
参考資料7 『塩の道 野田街道』 葛巻町観光協会 2002年
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I036173161-00 -
参考資料8 『岩手のあか牛物語 日本短角種と農村社会』千葉 明∥著 岩手出版 1987年
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001872811-00
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参考資料1 『民俗文化 第11号』近畿大学民俗学研究所∥編集・出版 1999年
- キーワード
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- 民具
- 鞭
- 照会先
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- 岩手県立博物館
〒020-0102 岩手県盛岡市上田字松屋敷34番地
電話 019-661-2831
- 岩手県立博物館
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 文献紹介
- 内容種別
- 郷土
- 質問者区分
- 社会人
- 登録番号
- 1000132276